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「PM,PS,IMモジュールの説明書 No.7」 ~保全作業実施と完了・記録~

■1.はじめに

SAP Freelance Jobs運営事務局です。
第5回と第6回では、下図で示している”プランニング(仕様検討)”で使用するPMモジュールの一機能である保全指図について、ご説明させていただきました。今回は、実際に保全作業を実施し工事が完了した後の、保全通知と保全指図の完了処理についてご説明いたします。

■2.保全作業実施

保全作業着手に際して、指図より作業指示書や工事仕様書(以下、帳票)を発行し、協力会社と保全作業を実行します。帳票には、保全通知や保全指図で登録した内容が出力されます。また、上長へオフラインで帳票を回覧して押印するための、押印欄を設けることも可能です。ただし、クライアントには現業務において既に使用している帳票があるため、コンサルタントには基本設計フェーズでSAP標準のレポートを基に、できる限り既存に近い帳票にカスタマイズすることが求められます。

■3.保全作業完了・記録

(1)保全作業の完了

全ての工事の完了を確認したら、SAP上でも工事のクローズ処理を実施します。工事の完了とは、予定されていた作業がすべて完了し、設備(装置)が完成したことを指します(瑕疵期間や追加作業発生時は業務フローを定義して再度作業の実施に戻ります)。資産に計上する工事の場合、保全作業完了時にSAP上でシステムステータスの変更に加えて、人件費の計上処理を行います。SAPでは実際にかかった工事の金額に対して、一定の利率を乗じて人件費を自動で算出することができます。また、資産に計上する工事の場合、人件費も含めて工事にかかった総額を固定資産化する必要があります。固定資産化については、会計領域で実施する操作及び業務であるため本説明では割愛します。前述の予算や実績は、すべてSAP上の標準レポートを用いて確認することが可能であるため、SAPコンサルタントは現行システムで予実管理している表と比較し、有効なレポートを提供することが求められます。

(2)保全作業の記録

保全作業の記録には、保全通知を使用します。巡視点検等で発見した不具合の場合であっても、計画作業の場合であっても、指図は基本的に保全通知と紐づいているため、当該通知に作業結果を登録します。通知及び指図には、添付文書も付けられるので、工事に関連する資料を紐づけて運用することも可能です。

保全作業の記録は、第3回で項目の説明をした「故障情報や検査結果概要/勧告事項」にて行います。

【故障情報(第3回の再掲)】

故障情報は、”項目”、”原因”、”活動”の3つのタブに分かれています。
項目:通知で起票した不具合や検査の箇所をより詳細な単位で記載します。
原因:項目で入力した不具合や検査が何起因で発生したかを記載します。
活動:原因に対してどのような改修や検査を実施したかを記載すします。
各設備の種別によって各選択項目は分化されているため、要件定義時に適切な設計が必要になります。

【結果概要/勧告事項(第3回の再掲)】

ここでは、検査の開始終了日付や検査結果の報告事項、所見、勧告事項を記載します。上に記載した内容を報告書として帳票印刷する際に、使用することが多い項目です。

検査や工事の内容について、他設備や他拠点においても同様の対応が必要になり、所内及び全所へ水平展開をすることとなった場合や、次回定修時に再度検査や補修を要する際の留意事項を、記録しておかなければならない場合があります。所内及び全所に水平展開する場合には、留意事項・水平展開通知を起票して、記録タイプを水平展開として、本社で一元管理し対応していくのが一般的です。代表として、1つの水平展開通知とトラブル管理番号等を各所で起票した通知に紐づけて、各所の検査や補修の状況を管理します。また、留意事項として記録する場合は、留意事項・水平展開通知を起票し、記録タイプを留意として所内で管理することが一般的です。ただし、各所の留意事項を知見として本社管理したい場合等も考えられるため、運用ルールとして本社管理か各所管理かを定めることも必要です。

■おわりに

今回は、保全作業着手から保全作業完了後の処理及び、保全通知への記録についてご説明させていただきました。今回ご説明した内容で、プラントにおける一般的な保全作業の流れと関連するSAPの各機能(トランザクション)の項目や画面の説明は終了です。
標準的な項目や画面の説明に留めているため、他にも各クライアントに合わせて追加設定することで、より使いやすくなる機能や項目もあります(アドオン開発も含む)。そのため基本設計を行う際には、インタビューの中でどこまで既存のシステムに近づけるのか、もしくはこれを機に業務改善を図るためのシステムを再構築するか、徹底したヒアリングが求められます。一般的にアドオン開発が増えれば増えるほど、工数もかかりシステムも複雑になるため、保守性は低下します。
プロジェクトに参画したSAPコンサルタントには、現業務をどこまで標準機能で表現できるか(すべきか)、表現できない場合には、運用保守の工数までを想定したアドオン開発の提案が求められます。特に保全領域は、本社ではなく各プラントのエンドユーザがメインで使用する機能が多いです。そのため、現場の声がシステムに反映されることと、本社として全社管理を見据えたシステム設計のバランスを保つことが重要です。

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