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鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向#15

こんにちは!SAP Freelance Jobs運営事務局です。

弊社では、SAPジャパン株式会社出身で、ERP研究推進フォーラム講師でもある株式会社フロンティアワン 代表取締役 鍋野敬一郎氏をコラムニストとして迎え、「鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向」と題し、SAPのERP製品情報や最新技術情報をお届けしています。

第15回目である今回は、「SAP S/4HANA2020リリース!新バージョンの登場でDXは加速するのか」について取り上げます!

これからSAPに携わるお仕事をしたい方も、最前線で戦うフリーランスSAPコンサルタントの方も、ぜひ一度読み進めてみてください!

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鍋野 敬一郎 プロフィール

株式会社フロンティアワン 代表取締役
ERP研究推進フォーラム講師

  • 1989年 同志社大学工学部化学工学科(生化学研究室)卒業
  • 1989年 米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。農業用製品事業部に所属し事業部のマーケティング・広報を担当。
  • 1998年 ERPベンダー最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職し、マーケティング担当、広報担当、プリセールスコンサルタントを経験。アライアンス本部にて戦略担当マネージャーとしてSAP Business All-in-One(ERP導入テンプレート)立ち上げを行った。
  • 2003年 SAPジャパンを退社し、コンサルタントとしてERPの導入支援・提案活動に従事。
  • 2005年 独立し株式会社フロンティアワン設立。現在はERP研究推進フォーラムでERP提案の研修講師、ITベンダーのERP/SOA/SaaS事業企画や提案活動の支援、ユーザー企業のシステム導入支援など、おもに業務アプリケーションに関わるビジネスを行っている。
  • 2015年よりインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI):サポート会員(総合企画委員会委員、IVI公式エバンジェリスト)

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はじめに

2020年10月7日SAP社は、次世代ERP製品の最新版SAP S/4HANA2020をリリースしました。SAP S/4HANAのメジャーアップデートは、1年間に1回なので何が変わったのか気になるところですが、最初のトピックは製品命名方式が少し変わったところでしょうか。これまでのライセンス版SAP S/4HANAは“1909”と呼ばれていましたが、これは2019年09月リリース(下二桁YY年と月MM)という意味でした。これが、今回から“2020”とリリース年(YYYY)で表記されるようになりました。今回は、やっぱりERPが好き!ということもあって、SAP S/4HANAに関連する情報をご提供したいと思います。

SAP S/4HANA2020に関する情報はどこで入手できるのか

SAPジャパンやSAP社のニュースリリースには、実はまだリリースについてのアナウンスが掲載されていません。(2020年10月11日現在)では、どこでリリースのアナウンスが出ているのか?公式な正式の情報なのか?という疑問もあると思いますので、まずは情報入手先についてご紹介します。

SAP BlogsとYoutubeのSAP公式チャネルより

「SAP S/4HANA 2020 – Highlight in Seconds」
SAP Blogsは以下
https://blogs.sap.com/2020/10/08/sap-s-4hana-2020-highlights-in-seconds/
Youtubeは以下
https://www.youtube.com/watch?v=OrhPAEOBvUs&feature=emb_logo

ということで、実にあっさりとパブリックな場所に情報が掲載されています。とくにこのコミュニティのブログには、機能強化ポイントがピンポイントに紹介されています。

セールス&マーケティング:

特定の顧客に関する販売KPIを収集して、営業活動につながる情報提供の機能。

サービス

お客様から返品された製品を社内で修理する機能。修理計画やスケジュール、出荷手配や請求処理などと連携可能。

サプライチェーン

実地棚卸機能の強化。適切な情報を適切な人に時間通りに提供することが出来る。

生産管理

カンバン・ボード(ダッシュボード)に、リーン生産方式の表示機能が追加。

予測MRP(Predictive MRP)

新しいKPIで拡張された機能でMRPの予測精度が向上。

ソーシング(委託)とプロキュアメント(購買)

基本契約に基づいた標準価格の設定機能。価格の自動計算機能が追加。
サプライヤー評価機能の強化。評価基準を5つ持つことが可能となった。

保全管理

保守管理のバックログを効率的に処理するため、保守作業を“作業前”、“作業中”、“作業後”で分類可能。

トレジャリー・エグゼクティブ・ボード

SAP Analytics CloudとSAP S/4HANAの統合機能。

こうした機能ハイライトが紹介されています。
すでにサポートサイトには日本語で読める資料が提供されています。

また、デジタルコアのSAP S/4HANA2020を補完するクラウドアプリケーションに関する情報やリリースストラテジーが公開されています。

SAP S/4HANAへの移行はどうなっているのか

さて、SAP S/4HANA2020は新型コロナウイルスの影響をさほど受けることもなくほぼ予定通りにリリースされましたが。SAP S/4HANAへの移行はどの程度進んでいるのでしょうか。こういう状況ですから筆者が聞いているところでは、すでに移行プロジェクトに着手している企業は予定通り進んでいるようです。また、移行に関するサービスパートナーのノウハウやツールも拡充しています。例えば、先日9月に、富士通がSAP S/4HANAへの移行手段を提供している独シュナイダー・ノイライター・アンド・パートナー社(SNP社)との協業を発表しています。SAPシステムの移行方法は、既存SAP ERPシステムから単純移行(ブラウンフィールド)するテクニカルコンバージョンや、「SAP S/4HANA®」を新規構築する方法(グリーンフィールド)がありますが、SNP社はその2つの方法の利点を組み合わせた第三の移行手法である「BLUEFIELD™」アプローチを開発・提供しています。(参考URL:https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/09/24.html

SAP社からの公開情報では、2019年10月時点で、全世界約40,000社のユーザー企業のうち、12,600社以上がすでにSAP S/4HANAへの移行中/移行済みだと言うことです。

また、ASUG(米国のSAPユーザーグループ)が実施した調査によると、移行中/移行済みのユーザー企業が32%、SAP S/4HANAへの移行を計画しているユーザー企業が56%とのことです。

日本国内に置いては、未検討のユーザー企業が多く。新型コロナウイルスによる業績への影響が見通せるまで移行を先送りする企業が増えているようです。また、国内のSAPの技術者が不足していることや、DXプロジェクトを優先して取り組みたいという企業もあるため、国内の状況がクリアになるまでまだしばらく時間が掛かりそうです。昨年2019年10月に就任した新CEOのクリスチャン・クライン氏によると、“SAPが今、ビジネス戦略として最も注力しているのは、「インテリジェントエンタープライズ」の推進。インテリジェントエンタープライズとは、これからのエンタープライズITの在り方を見据えた同社のデジタルトランスフォーメーション(DX)ビジネス戦略のこと。その全体像は、図の通りで、下から「テクノロジー」「アプリケーション」「ビジネスプロセス」と大きく3層に分かれている。テクノロジー層の「ビジネステクノロジープラットフォーム」は、「データベース」「アナリティクス」「アプリケーション開発」「AIなどのインテリジェントテクノロジー」といった4つの要素で構成されている。”とのことです。
(参考URL:ITmediaエンタープライズ2020年6月22日記事より、
https://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/2006/22/news048.html

今回のまとめ

SAPは、ERPの最新版SAP S/4HANA2020をリリースして今後さらに製品に磨きを掛けています。新CEOのインタビュー記事によると、今後機能拡張はERP製品よりもこれを補完するクラウド製品にフォーカスされているようです。こうしたクラウド製品を利用するためにも、SAP S/4HANAへの移行はより重要なテーマです。そのインフラとして採用された4つのパブリッククラウド「Amazon Web Services」(AWS)「Microsoft Azure」「Google Cloud Platform」(GCP)「Alibaba Cloud」のベンダ動向も目が離せないでしょう。

お知らせ

今月10月30日に以下のオンラインイベントで、この内容に関して基調講演いたします。お時間がある方は是非ご参加ください!
https://pages.awscloud.com/sap-on-aws-webinar-with-partner_LandingPage.html

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