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モバイルERPは実現するのか?

はじめに

SAP公式サイトにてつい先日「2023年以降の11のERPトレンド」という記事が公表されました。

同記事の中で注目すべきトピックとして「モバイルERP」があります。

これまで、大規模な企業向けITの代表格だったERPが「モバイル化」する時代が来るのでしょうか。

今回はモバイルERPについての情報をまとめてお伝えします。

 

 

 

1.SAPが示した2023年以降のERPトレンド

SAP社の公式サイトには、2023年以降のトレンドとして11の要素が掲載されています。

その内容は実に様々で、「クラウドの未来」や、「アナリティクス」「ハイパーオートメーション」などが先端技術に関するトレンドが含まれていました。

その中でひと際目を引くトピックとして「モバイルERP」があります。

 

SAPの公式サイトによれば、モバイルERPは「マルチデバイスエクスペリエンス」へと進化していくとのこと。

ちょっとイメージしくにいのですが、おそらくモバイル端末でERPにアクセスすると、従来のように社内PCからアクセスしたときと同じように、アクセス者の権限に応じてメニューが表示され、承認や決済といった行為が行えるということでしょうか。

 

また、マルチデバイスという文言から、モバイル端末以外でも同じことができるようになると考えられます。

従来のERPのように、オフィスの机に座った状態でなければできなかったことが、移動中や外出先でもできるということなのでしょう。

 

 

 

2.主要各社のモバイルERPアプリ

実はモバイルERPというものをしっかりと触ったことがないので、いまひとつイメージしきれていないのですが、ここでは「モバイルデバイスで動かせるERP付属のアプリ」という前提で考えます。

2023年時点でモバイルアクセスを前提としているERP(もしくは付属のアプリ)としては以下があるようです。

 

・SAP Fiori

SAPのERPソリューションであるSAP S/4HANAをモバイルデバイスで利用するためのユーザーエクスペリエンスとアプリのコレクション。

リアルタイムデータへのアクセスや業務の実行が可能です。

 

・Oracle Mobile Hub

OracleのERP Cloudに統合されたモバイルソリューション。

モバイルデバイスでのビジネスプロセスの実行や情報の取得をサポートしています。

 

・Microsoft Dynamics 365

MicrosoftのクラウドベースのERPとCRMのソリューション。

モバイルアプリを通じて、さまざまな業務機能にアクセスすることができます。

 

・NetSuite

Oracleが所有するクラウドERPソリューション。

モバイルアプリを通じて、業務データへのアクセスや業務プロセスの実行が可能です。

 

・Epicor ERP

クラウドベースでもオンプレミスでも利用可能なERPソリューション。

モバイルアクセスをサポートしており、リアルタイム情報の提供や業務の実行が行えます。

 

調べてみるとそれなりに存在するようで、モバイルデバイスからのアクセスは海外ではすでに常識になりつつあるようです。

では日本ではどうかというと、やはりまだまだモバイルからのERP利用には慎重なようです。

 

 

 

3.スマートフォンでのアクセスには慎重な日本

もちろん、ノートPCや業務用タブレットからのアクセスという意味では、すでに何年も前から導入が進んでいます。

 

しかし、スマートフォンのレベルになると、社外利用や私的空間による利用が懸念されるため、セキュリティリスクが跳ね上がることは間違いありません。

SAPは2011年ころからERPにもモバイルアクセス機能を付与しているはずですが、日本のプロジェクトでモバイルアクセス対応を大規模に導入している企業がどれだけあるでしょうか。

例えば、SAPが公式サイトで表現したような、出張している決裁者が飛行機に乗ろうとしており、予算を承認する必要がある場合、システムはアラートを Apple Watch に自動的に送信し、タップして承認することができるといった利用形態は日本企業に導入されるでしょうか。

日本のERPは、汎用機やメインフレーム時代からの文化を引き継いでおり、「閉じた領域で重要なデータを可視化する」ことが目的とされてきました。

もちろん、業務プロセスを円滑に進めるという点も考慮されてきましたが、現実には情報の流動性よりもリスクを重視する傾向にあります。

 

つまり、SAP社が公式サイトで示したようなフレキシブルかつ軽快なビジネスシナリオは、ほとんど発生しないと考えられます。

仮に出張中の人間が決済・承認を必要とするならば、社内に残る部下や代理権者に代行させるでしょうし、ERPもその前提でユーザーと権限を紐づけていたりします。

 

このことから、スマートフォンで全ての業務を実行できる、という思想は根付きにくいのではないかと考えられます。

 

 

 

まとめ

海外ではすでにスマートフォンによるERPの利用が広まっていることもあり、今後は日本でも「モバイルERP」と呼ばれる製品が増えていきそうです。

しかし、その多くは「スマホアプリで在庫量が見れる」「申請・決済の承認を行える」といった程度で、業務のすべてをスマホで行うような仕組みは当分先になるのではないでしょうか。

 

また、モバイルアプリとして完結したERPパッケージが登場するのはさらに先になりそうです。

モバイルデバイスの性能は年々飛躍的に向上していますが、データの蓄積や保管、連携の問題を考慮すると、まだまだモバイルデバイスのみでは心もとないのが実情でしょう。

 

とはいえ、SAP人材もモバイルERP時代の到来を見越して、情報を集めていくに越したことはありません。

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