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ユーザー企業から見えるSAPの良いところ、悪いところ総まとめ

はじめに

SAPは世界No.1のERPシステムとして、多くの企業に導入されています。

「SAPはそろそろ無くなる」と言われつつ、20年以上シェアは1位です。

しかし、デメリットも存在します。

実際にプロジェクトに参画すると、ユーザーからSAPへの不満を色々ききますよね。

そこで本記事では、SAPの良いところと悪いところについて、まとめてみました。

 

 

 

1.SAPの良いところ

一般的にSAPの良いところは「機能の豊富さ」「信頼性」などが挙げられます。

具体的には次のような点ですね。

 

 

1-1.幅広い機能と柔軟性

SAPは、財務会計、人事管理、販売、調達、生産管理、倉庫管理など、企業の主要な業務プロセスをカバーする豊富な機能を提供します。

導入した企業は一元的に業務データを管理でき、ビジネスの効率性が向上します。

また、SAPは高度なカスタマイズが可能であり、各企業の固有のニーズに合わせて調整できる点も魅力です。

業界やビジネスモデルに応じた最適なソリューションを構築することが可能なので、これだけ幅広く受け入れられているわけです。

 

 

1-2.グローバル対応

SAPは、世界中の多国籍企業に利用されており、多言語、多通貨対応の機能を備えています。

多国籍企業特有の事情を加味し、異なる国や地域での業務運営がスムーズに行えます。

さらに、各国の法規制に対応したコンプライアンス機能も提供しており、グローバル企業にとって非常に重要な役割を果たしています。

 

 

1-3.リアルタイムデータ処理

SAP HANAを基盤とするSAP S/4 HANAのシステムは、インメモリーデータベース技術を利用しており、リアルタイムでのデータ処理と分析が可能です。

企業は迅速にデータを活用して意思決定を行うことができ、競争力を高めることができます。

リアルタイムの在庫管理、販売予測、財務分析など、ビジネス全体での迅速な対応が求められる場面で特に有効です。

 

 

1-4.高度なセキュリティ

SAPは、企業の重要なデータを保護するために高度なセキュリティ機能を提供しています。

データ暗号化、アクセス制御、監査ログなど、セキュリティ対策が徹底されており、企業は安心してシステムを利用することができます。

また、SAPは業界標準のセキュリティ認証を取得しており、コンプライアンス要件にも対応しています。

 

 

1-5.高い可用性と信頼性

SAPのシステムは、高可用性を実現するための設計がされています。

データのレプリケーションやクラスタリングにより、システムのダウンタイムを最小限に抑えることができます。

また、SAPは長年にわたり多くの企業で導入されてきた実績があり、その信頼性も非常に高いです。

 

 

 

2.SAPの悪いところ

一方、悪いところとしては下記があります。

 

 

2-1.導入コストの高さ

SAP導入の最大の障壁となるのは、高額なコストです。

SAPの導入には、製品自体の費用に加えて、コンサルタント費用、保守料、そしてオンプレミスの場合はサーバー費用などが必要です。

特にコンサルタント費用は高額で、月当たり300万円超/人というケースも珍しくありません。

さらに、SAPの各機能はモジュールごとに分かれており、複数のモジュールを導入する場合、それぞれに専任のコンサルタントや開発チームが必要となるため、コストがさらに増大します。

アドオン開発は徐々に減っているので導入コストは減少傾向ですが、要件定義など上流のコストは依然として高止まりの状態です。

 

 

2-2.設定の複雑さ

SAPシステムのもう一つの大きなデメリットは、その設定が非常に複雑であることです。

システムを動かすために多くの準備が必要であり、細かな業務の流れを制御するためのパラメーターも数多く存在します。

設定はまるでパズルのようで、専門的な知識がなければ対応が難しいです。

さらに、解説書やマニュアルは英語で書かれていることが多く、専門用語が多用されているため、初心者には理解が困難です。

このため、SAPをすみずみまで理解しているコンサルタントが非常に重宝されますが、その分コストもかかります。

 

 

2-3.人材不足

SAPのデメリットの一つに、コンサルタントやエキスパートの人材不足があります。

SAPのシステムは複雑であり、専門知識を持つ人材の確保が難しい状況です。

独学で学ぶハードルが高く、教材も高額なため、個人が学習するのは容易ではありません。

このため、SAPのコンサルタントやエンジニアの単価は非常に高額で、企業が優秀な人材を確保するためには多大なコストがかかります。

特に「2025年問題」として知られる、現行のSAP ERPの標準サポート終了に伴う「S/4HANA」への移行の必要性から、コンサルタント/エンジニアの需要が急増し、人材不足がさらに深刻化しています。

 

 

2-4.カスタマイズの難しさ

SAPは高度にカスタマイズ可能ですが、それは同時に難易度が高いということでもあります。

企業の固有のニーズに応じてシステムを調整するためには、高度な専門知識が必要です。

また、カスタマイズが過度に行われると、システムのメンテナンスやアップデートが困難になる可能性もあります。

結果として、システムの運用コストが増加し、長期的な視点で見た場合の総コストが非常に高くなることがあります。

 

 

2-5.導入期間の長さ

SAPの導入は、その複雑さとカスタマイズの必要性から、非常に長い期間を要します。

大規模な企業では、導入プロジェクトが数年単位で進行することも珍しくありません。

特にアドオンを多用する場合は、導入が完了するまでに多くの時間とリソースが必要となり、ビジネスに即時的な利益をもたらすのが難しい場合があります。

また、導入が長引いている間にビジネス環境が変化し、当初の計画通りに進まないリスクも伴います。

 

 

 

まとめ

SAPは、その豊富な機能、高度なカスタマイズ性、グローバル対応、リアルタイムデータ処理、そして高いセキュリティと信頼性など、多くの優れた点を持つ世界No.1のERPシステムです。

一方で、SAPには高額な導入コスト、設定の複雑さ、専門人材の不足、カスタマイズの難しさ、そして導入期間の長さといったデメリットも存在します。

これらのデメリットを理解し、適切な対策を講じることで、SAPの導入を成功に導くことができます。

 

我々SAP業界の人間も、SAPの悪いところを認識したうえでエンドユーザーに提案を行っていくべきでしょう。

正直なところこういったデメリットはユーザー側もある程度認知していて、正直に話したほうが信頼を得られる場合が多いです。

 

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