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    鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向#02

    こんにちは!SAP Freelance Jobs運営事務局です。

    弊社では、SAPジャパン株式会社出身で、ERP研究推進フォーラム講師でもある株式会社フロンティアワン 代表取締役 鍋野敬一郎氏をコラムニストとして迎え、「鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向」と題し、SAPのERP製品情報や最新技術情報を全12回にわたってお届けしています。

    第2回目である今回は、ERPを補完するSAPのクラウド製品について、主要なサービスを掘り下げていきます!

    これからSAPに携わるお仕事をしたい方も、最前線で戦うフリーランスSAPコンサルタントの方も、ぜひ一度読み進めてみてください!

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    鍋野 敬一郎 プロフィール
    株式会社フロンティアワン 代表取締役
    ERP研究推進フォーラム講師
    1989年 同志社大学工学部化学工学科(生化学研究室)卒業
    1989年 米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。農業用製品事業部に所属し事業部のマーケティング・広報を担当。
    1998年 ERPベンダー最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職し、マーケティング担当、広報担当、プリセールスコンサルタントを経験。アライアンス本部にて戦略担当マネージャーとしてSAP Business All-in-One(ERP導入テンプレート)立ち上げを行った。
    2003年 SAPジャパンを退社し、コンサルタントとしてERPの導入支援・提案活動に従事。
    2005年 独立し株式会社フロンティアワン設立。現在はERP研究推進フォーラムでERP提案の研修講師、ITベンダーのERP/SOA/SaaS事業企画や提案活動の支援、ユーザー企業のシステム導入支援など、おもに業務アプリケーションに関わるビジネスを行っている。
    2015年よりインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI):サポート会員(ビジネス連携委員会委員、パブリシティ委員会委員エバンジェリスト)

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    ■はじめに

    SAPというとERP(統合基幹業務システム)というイメージが強いのですが、実際には既にSAPの売上の半分以上はERP関連ではありません。では、何が売れているのか?と言うとBIやクラウド製品群です。

    2018年度の業績発表がありましたが、売上総額は247億4,100万ユーロ(約3兆7,000億円)で前年比5%増、クラウド・サブスクリプション&サポート売上は49億9,300万ユーロ(約6,200億円)で前年比32%増、クラウド製品売上は、18億1,000万ユーロ(約2,200億円)で前年比25%増加しました。

    ※出所:SAPジャパン社プレスリリースより

    https://www.sap.com/docs/download/investors/2018/sap-2018-q4-statement.pdf

     

    メディアの記事によると、クラウドやIoT/AI関連など成長領域にシフトするため4,000人以上の人員入れ替えを計画しているとのことです。SAPのコンサルタントを目指す人には、チャンス到来と言えるでしょう。さて、今回は、その成長領域であるSAPのクラウド製品についてご紹介します。

     

    ■ERPを補完するクラウドアプリケーションとは

    「SAPと言えばERP」というイメージが強いのですが、前述した通りERPビジネスの伸び率は10%程度ですが、クラウド製品関連(Cloud Subscription & Support Revenue)の伸び率は30%以上ですから「ERPだけじゃないSAP!」と考えを改めた方が良いようです。

    SAPのクラウド製品は、ERP製品(SAPでは“デジタル・コア“と呼ぶ)を補完するシステムです。調達管理や旅費経費管理など、主にSAPがM&Aによって取得した企業の製品をベースとなっています。では、SAPのクラウド製品にはどのようなものがあるのでしょうか。以下にその一部をご紹介します。

     

    ・SAP Ariba(エスエーピー・アリバ)

    調達管理サービスの提供。企業の間接材購買の業務をエンド・トゥ・エンドでサポートするクラウドサービス。

    ※参考情報:SAPジャパンブログ

    https://www.sapjp.com/blog/archives/20425

     

    ・SAP Concur(エスエーピー・コンカー)

    旅費経費管理サービスの提供。全世界44,000社以上(国内790社以上)、全世界利用ユーザー数5,610万人以上。スマートフォンのカメラで領収書を簡単撮影、経費精算・交通費精算を社外のどこからでも実施可能。

    ※参考情報:SAPジャパンブログ

    https://www.sapjp.com/blog/archives/17145

     

    ・SAP SuccessFactors(エスエーピー・サクセスファクター)

    人材の登用・育成・管理サービスの提供。クラウドベースのグローバル HCM (Human Capital Management)システム。全世界で4,000社以上、利用ユーザー数2,000万人以上。

    ※参考情報:デロイトトーマツ

    https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/human-capital/solutions/hcm/successfactors-jp-deloitte.html

     

    ・SAP Fieldglass(エスエーピー・フィールドグラス)

    企業と人財をつなぐ”人財シェアリング”を実現するプラットフォーム。世界180か国で650社以上の企業が導入。

    ※参考情報:AJS

    https://www.ajs.co.jp/solutionnavigator/solution/sapfieldglass.html

     

    ・SAP C/4HANA(エスエーピー・シーフォーハナ、旧製品名Hybris:ハイブリス)

    CRMスイートサービスの提供。データクラウドの「SAP Customer Data Cloud」を土台に、マーケティングの「SAP Marketing Cloud」、コマースの「SAP Commerce Cloud」、セールスの「SAP Sales Cloud」、サービスの「SAP Service Cloud」と5つのクラウドサービスから構成される。

    ※参考情報:メディア記事より(マイナビ)

    https://news.mynavi.jp/article/20180726-669925/

    https://news.mynavi.jp/article/20180607-sapphirenow2018_1/

     

     

    これらのクラウド製品は、業務アプリケーションとして単体で様々な機能を提供しています。また、サービスを提供すると同時にユーザーが、直接利用するフロントシステムとしてデータ収集する役割も担っています。

    それぞれの製品は、単体で機能を提供するだけではなくバックオフィスシステムのERP製品と連携することで業種業態、企業固有の要件にきめ細かく対応できます。さらに、SAP Leonardoを組み合わせることでデジタル・イノベーションを実現できるとしています。(IoT/AIや機械学習、ブロックチェーンなどデータ処理や解析を担う製品群、SAPではデジタル・イノベーションに対応する包括的ソリューションと位置付けている。)

     

    少し分かりにくいのですが、バックオフィス系システムのERPは業務プロセスと各マスタデータを安定的且つ継続的に維持管理する役割。ヒト・モノ・カネなど変化に柔軟な対応が求められるフロント系システムは、クラウド製品(調達管理/旅費経費管理/労務管理/次世代CRMなど)で対応してERPを補完する役割を担います。

    そして、その全てのデータを一元管理するデータ基盤(SAPでは、SAP HANA、SAP Cloud Platform)上のデータ処理・解析製品(SAP Leonardo)の3つを組み合わせるとインテリジェント・エンタープライズが実現できるという構図です。

     

     

    イーグル工業が実施したPoC(実証)事例では、『ERP製品+クラウド製品+データ処理・解析製品→インテリジェント・エンタープライズ』のシナリオ「入金消込の自動化を促進」が公表されています。イーグル工業では、毎月の月初に集中して発生する入金消込の作業負荷を減らすため、SAP Cash Applicationを利用して正しい消込先の提案正答率について2回の実証を行っています。その結果は良好で、アンマッチだった消込先に対して、消込先の提案率72%でその正答率が78%となり、期待した以上の効果が得られることを確認しています。

    ※出所:SAPジャパンブログ、記事より(2018年11月30日)

    https://www.sapjp.com/blog/archives/22107

     

     

    ■SAPクラウド製品の技術者になるためには

    SAPには、ERP以外にも様々な製品があります。ちなみに、SAPの全ての製品情報は以下のサイト「SAP Help Portal」で公開されています。(2019年1月現在では、約900の製品がリストに掲載されています。英語およびその他言語、日本語がある製品もある、Product Hierarchyより検索可能)クラウド製品の特長は、従来のERP製品よりもシンプルな機能、短い期間で導入が可能です。つまり、ERPのコンサルタントになるよりも短い時間で学習することが可能です。また、SAPのクラウド製品は、ERP製品との統合性も高いためERP側の機能や知見を学ぶのにも有効です。こうしたクラウド製品は高い顧客ニーズより、今後さらに高い成長率が期待することが出来ます。

     

    SAPのクラウド製品のコンサルタントになるためには、SAPの認定資格を取得する必要があります。SAPの導入サービスを提供しているパートナーは国内に200社以上ありますが、パートナー別SAP認定コンサルタント資格取得者数は公開されています。

    2018年12月分では、調達管理:Procuament(SAP Ariba/SRM)は155人、SAP SuccessFactorsは504人、SAP C/4HANAは137人となっています。参考までに、SAP ERPは11,417人、SAP S/4HANAは2,387人なので、2025年までにSAP ERP→SAP S/4HANAへの移行プロジェクトが加速することを考えるとSAP S/4HANAのコンサルタントが全然足りていないことが分かります。

    クラウド製品のコンサルタントも、今後拡大する需要に対してコンサルタント不足が予想されます。SAPのクラウド製品を導入するユーザー企業は、SAPジャパンから製品の認定コンサルタントが居るパートナー企業を紹介されます。つまり、このリストがその参考情報となります。

    ※出所:SAPより 2018年12月分パートナー別SAP認定コンサルタント資格取得者数

    https://www.sap.com/japan/documents/2019/01/e4ff0105-387d-0010-87a3-c30de2ffd8ff.html

     

    現在人気が高いSAPのクラウド製品は、調達管理のクラウドサービス:SAP Aribaと、旅費経費管理のクラウドサービス:SAP Concurだと言われています。日本には、2,000社以上のSAPのERP導入企業(インスタンス:導入システム数は、契約企業1社当たりグループ企業で数社~200社以上となります)の多くは、会計(財務会計、管理会計)のみ導入しています。SAPのクラウド製品は、SAPのERPとの親和性も高く即効性もあるので導入企業が急増しています。また、SAP S/4HANAへの移行に合わせて導入する企業も増えています。

     

    ■今回のまとめ

    さて今回はERPを補完するSAPのクラウド製品について、主要なサービスをいくつかご紹介しました。冒頭に2018年度のSAP業績をご紹介しましたが、このクラウド製品の成長率はERPを大きく上回っています。ERPとの統合性も高く、日本においても導入企業の拡大は確実ですが認定資格を取得するコンサルタントが少なく技術者の需要に供給が追い付いていません。