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    鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向#06

    こんにちは!SAP Freelance Jobs運営事務局です。

    弊社では、SAPジャパン株式会社出身で、ERP研究推進フォーラム講師でもある株式会社フロンティアワン 代表取締役 鍋野敬一郎氏をコラムニストとして迎え、「鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向」と題し、SAPのERP製品情報や最新技術情報を全12回にわたってお届けしています。

    第6回目である今回は、「SAP Fioriについて」について取り上げます!

    これからSAPに携わるお仕事をしたい方も、最前線で戦うフリーランスSAPコンサルタントの方も、ぜひ一度読み進めてみてください!

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    鍋野 敬一郎 プロフィール
    株式会社フロンティアワン 代表取締役
    ERP研究推進フォーラム講師
    1989年 同志社大学工学部化学工学科(生化学研究室)卒業
    1989年 米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。農業用製品事業部に所属し事業部のマーケティング・広報を担当。
    1998年 ERPベンダー最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職し、マーケティング担当、広報担当、プリセールスコンサルタントを経験。アライアンス本部にて戦略担当マネージャーとしてSAP Business All-in-One(ERP導入テンプレート)立ち上げを行った。
    2003年 SAPジャパンを退社し、コンサルタントとしてERPの導入支援・提案活動に従事。
    2005年 独立し株式会社フロンティアワン設立。現在はERP研究推進フォーラムでERP提案の研修講師、ITベンダーのERP/SOA/SaaS事業企画や提案活動の支援、ユーザー企業のシステム導入支援など、おもに業務アプリケーションに関わるビジネスを行っている。
    2015年よりインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI):サポート会員(ビジネス連携委員会委員、パブリシティ委員会委員エバンジェリスト)

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    ■はじめに

    SAP ERPからSAP S/4HANAへの移行について、これまでご紹介してきましたが今回はこの移行に伴って大きく変更されたもうひとつの機能であるSAP Fioriについてお話したいと思います。
    SAP Fioriとは、新しいユーザーインターフェースです。従来のSAP ERPの入力は、SAP GUI(サップ・グイと呼ぶ。SAP ERPにログオンするためのアプリケーション。WindowsのPCなどからSAPシステムへログオンするためにインストールするアプリケーション)や、SAPの開発言語ABAP(アバップと呼ぶ)で開発された複数画面で動的な処理が可能なプログラムをDynpro(ディンプロと呼ぶ、Dynamic programmingのSAP略語)からSAPシステムへアクセスします。
    特にこのDynproは、SAPのアドオン開発には必須となるツールで、強力で便利な開発機能です。
    例えば、テーブルコントロールというやり方で、表のような入力画面を作ったり、入力画面のレイアウト変更や内部処理、処理結果の保存処理などを自在に開発したりすることが出来ます。「SAPの画面は複雑で使いにくい!」と言っているのは、SAPの標準画面をそのまま利用しているケースで、実際には業務や用途ごとにカスタムした入力画面や、複数画面の処理を一括で行うような入力画面を作って使い分けることが可能です。
    筆者が今まで見た中で一番驚いたSAPの入力画面は、ログオンすると“ドラえもん”が走ってくる起動画面です。(それだけで、どこの会社か分かりますよね)こうした開発ツールは、大変便利だったのですが時代はPCからタブレットやスマホなどの時代に移りユーザーインターフェースにも、こうした対応が求められるようになりました。そして、2013年6月に登場したのがSAP Fiori(フィオーリ)です。
    (参考:SAPジャパンブログ、https://www.sapjp.com/blog/archives/3711

     

    ■SAP FioriとOdata

    SAP Fioriは現在第3世代の製品となっています。Fiori(フィオーリ)とは、イタリア語で花を意味する言葉で、誰もが直感的にあらゆるデバイスからSAPシステムにアクセスできる環境を目指して開発された新しい画面技術だそうです。第1世代のFioriの特徴は、次の4つです。
     
    ①直感的なインターフェース

    ②データから業務の状況や異常を把握し、すぐに業務処理を実行

    ③モバイル端末からも利用可能

    ④SAPシステムの画面を共通化

     

    SAP Fioriは、SAPのインメモリデータベースSAP HANAと合わせて利用することで、その効果を発揮することが出来ます。アプリケーションタイプには、Transactional(トランザクショナル)、Analytical(アナリティカル)、Factsheet(ファクトシート)の3つがあります。そのシナリオ数は、既に10,000万をこえています。この3タイプのアプリごとにシステム構成が少し異なります。

    図表1、SAP Fioriアーキテクチャ概要

     

    図表2、SAP Fioriアプリケーションタイプ別システム構成について

    また、SAP Fioriのアプリは、ここから見つけることが可能です。

    (URL:https://fioriappslibrary.hana.ondemand.com/sap/fix/externalViewer/

     

    SAP Fioriのアーキテクチャが、従来のSAP GUIやDynpro開発した画面と違うのは、Odata(オーデータと呼ぶ、Open Data Protocolの略)でHTTPを使ってサーバとブラウザでデータをやり取りするためのプロトコルです。マイクロソフトが作った仕組みだそうですが、SAPでも利用しています。ODataは”REST”の考え方がベースとなっています。

    REST(REpresentational State Transfer)とは、Webサービスにおけるアーキテクチャのスタイルの一つです。対象のリソースをURIで指定し、HTTPメソッド(GET, POSTなど)によって操作します。ODataには次のような特徴があり、1)URIを使ってデータを読み書きする、2)言語に依存せずに利用できる、3)JSONまたはXML形式でレスポンスを返す。その利点として、ODataはHTTPをベースとした仕組みなのでクライアント側、サーバ側とも言語の制約がありません。Odataのレスポンスの形式は、JSONまたはXML形式なので、どのようなデータ形式で欲しいかはリクエストで指定します。

     

    ■SAP Fioriの進化、第一世代から第三世代へ

    当初はモバイル端末への対応にフォーカスしていましたが、第二世代は、2015年リリースされたSAP S/4HANAへの操作性や使い勝手の良さを追求して、最新の第三世代ではSAPがインテリジェントエンタープライズと仕組みを実現する手段として位置づけられています。インテリジェントエンタープライズとは、「従業員がより価値の高い成果に 集中できるように人工知能 (AI)、機械学習 (ML)、モノのインターネット (IoT)、 アナリティクスなどの最新テクノロジーを活用する企業のあり方」を実現することだそうです。

     

    Fioriのアーキテクチャでは、UIとバックエンドがGatewayを通じて切り離されています。そのため、UIにはHTML5を初めとするWebの知識、Gatewayに関しては従来のABAPの知識という異なる二つの知識が必要となります。

     

    図表3、SAP Fiori拡張に必要となる知識・ツール

     

    ■SAP Fioriで変わる操作性と生産性の違い

    SAP GUIとSAP Fioriで同じ受注処理をするとどのように操作性や生産性が変わるのでしょうか。それを動画で紹介したものがYoutube上にあります。こちらをご覧ください。受注処理をSAP GUIで行う場合(左)と、SAP Fioriで行う場合(右)ではトランザクション数やオペレーション時間に差があります。ユーザーインターフェースの違いは、このように作業時間と作業効率に明確に差が出ます。

    (参考:SAP Fioriで業務が変わる。ユーザエクスペリエンス改革を実現するSAP S/4HANA 受注処理アプリ。

     

    図表4、Youtube画面より、S/4HANAの受注処理比較

    https://www.youtube.com/watch?v=uiwZsYfSSgU
     
    SAP Fioriは、新しいユーザーインターフェース製品としてリリースされて5年で第三世代と着実に進化しています。
    (参考:SAPジャパンブログ「SAP Fioriはどう始まり、どこへ向かっているか?」https://www.sapjp.com/blog/archives/25219
     
     SAP Fioriリリース当初は300ほどだったアプリは、現在10,000以上あります。多くのメリットや多種多様なアプリが登場していますが、それでもDynproの方が良いという開発者やコンサルタントもまだ多いようです。
    その理由は、SAP Fioriの開発に必要な技術にHTML5(最新のHTMLバージョン。使えるタグが増えて書き方もシンプルになりブラウザでも高度な機能が実現できるようになった仕様)が採用されているため、これまで必要だったABAPに追加して、このHTML5の知識も併せて理解しておく必要があるため難易度は高くなってしまいました。
    S/4HANAになって、SAPシステムもWebやネットに対応するための実装技術が搭載されたことが、開発のハードルを高くしているのです。
    また、ブラウザベースで利用するSAP FioriよりもWindows PCにインストールして使うSAP GUIなどの方が処理スピードは高速なのでブラウザで遅いSAP Fioriは馴染めないという声もあります。しかし、SAP Fioriは進化し続けているため、近い将来こうした課題も次第に解消されることでしょう。さらに、SAP S/4HANAがメジャーになれば、自ずとSAP Fioriが標準として定着していくと思われます。

     

    ■今回のまとめ

    今回は、SAPシステムのユーザーインターフェースを担うSAP Fioriにフォーカスしてみました。Webやモバイル端末は、苦手という声が多かったSAPが着実に進化を重ねていることが分かります。SAP Fioriの開発を得意とする技術者は、国内にまだ少ないことからSAP Fioriの技術に精通した技術の習得はチャンスかもしれません。

    (参考:英語、URL:https://experience.sap.com/fiori/