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    鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向#07

    こんにちは!SAP Freelance Jobs運営事務局です。

    弊社では、SAPジャパン株式会社出身で、ERP研究推進フォーラム講師でもある株式会社フロンティアワン 代表取締役 鍋野敬一郎氏をコラムニストとして迎え、「鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向」と題し、SAPのERP製品情報や最新技術情報を全12回にわたってお届けしています。

    第7回目である今回は、「SAPのERPコンサルタントになるハードルを下げるやり方について」について取り上げます!

    これからSAPに携わるお仕事をしたい方も、最前線で戦うフリーランスSAPコンサルタントの方も、ぜひ一度読み進めてみてください!

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    鍋野 敬一郎 プロフィール
    株式会社フロンティアワン 代表取締役
    ERP研究推進フォーラム講師
    1989年 同志社大学工学部化学工学科(生化学研究室)卒業
    1989年 米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。農業用製品事業部に所属し事業部のマーケティング・広報を担当。
    1998年 ERPベンダー最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職し、マーケティング担当、広報担当、プリセールスコンサルタントを経験。アライアンス本部にて戦略担当マネージャーとしてSAP Business All-in-One(ERP導入テンプレート)立ち上げを行った。
    2003年 SAPジャパンを退社し、コンサルタントとしてERPの導入支援・提案活動に従事。
    2005年 独立し株式会社フロンティアワン設立。現在はERP研究推進フォーラムでERP提案の研修講師、ITベンダーのERP/SOA/SaaS事業企画や提案活動の支援、ユーザー企業のシステム導入支援など、おもに業務アプリケーションに関わるビジネスを行っている。
    2015年よりインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI):サポート会員(ビジネス連携委員会委員、パブリシティ委員会委員エバンジェリスト)

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    ■はじめに
     
    米国トランプ政権が仕掛けた米中貿易戦争によって、世界の景気は次第に先行き不透明になりつつあります。しかし、前年度の業績は過去最高の売上、利益となった上場企業も多くIT投資は高い伸びをしめしています。
    自動車や工作機械など製造業では、受注額が前年を下回り業績悪化は確実だと言われていますが、IT業界はIoTやAIなど新しい領域への期待もあり堅調です。
    国内IT人材の人手不足は今後さらに厳しい見通しで、その中でもSAP関連の人材不足は深刻で、SAPのERP製品(SAP ERP、SAP S/4HANA、SAP Business ByDesign、SAP BusinessOneなど)でのべ1万人不足するという話もあります。毎年3,000人以上のSAP認定コンサルタントが追加されているそうですが、これでも不足しているのが現状です。
    しかし、ERPのコンサルタントになる為には業務知識とシステム知識の両方を学ぶ必要があり、さらに3年程度の経験を経て一人前になると言われています。つまり、SAPの主力製品であるSAP ERPやSAP S/4HANAのコンサルタントとして一人前になるのはハードルが高いと考える人も多いようです。
    そこで、今回はSAPのERPコンサルタントになるハードルを下げるやり方について考えてみたいと思います。

     

    ■SAP S/4HANAの認定資格を取得するのは容易ではない!?
     
    SAP ERPや次期主力製品のS/4HANAの認定資格を取得して、SAPの技術者になるというのが理想的なスキルアップなのですが、ご存知の通りアカデミーを受講して認定試験で合格するのは容易ではありません。
    東京理科大学や青山学院大学の経営学科あたりだとSAPを学ぶカリキュラムもあるのですが、SAPの認定資格を個人で取得することは掛かる費用と時間(アカデミー受講では約1ヶ月間程度のトレーニングが必要)からほぼ不可能だと言えます。
    また、SAPが触れる環境を持っているのは、SAPを導入しているユーザー企業や導入サービスなどを提供するサービスパートナーくらいです。SAPの技術者に興味はあるけれど、きっかけを掴めないし、どういうキャリアパスを考えれば良いのかさっぱり分からないという相談をされることがあります。
    やはり一番確実なルートは、ユーザー企業かパートナー企業へ転職するのが良いのですが、転職したからと言ってSAPの技術者として仕事をさせてもらえる人は少ないかもしれません。RPAやクラウド製品など、SAPよりももっと即効性と需要が高いソリューションが多数あるからです。

     

    SAP ERPやSAP S/4HANAといった主力ERP製品は、高機能であるためコンサルタントとして求められる知識も多くなります。また、モジュール/コンポーネントごとに役割分担して導入作業を行うため、システムの全体像を把握するのが難しいという人も居ます。
    大きなプロジェクトでは、100名以上のコンサルタントが作業するというのも珍しいことではありません。会計範囲だけの導入プロジェクトでも、財務会計、管理会計、固定資産管理、ベーシス担当など10名程度のチームが一般的です。しかし、中堅中小企業向けERP製品のSAP Business ByDesign(以下、ByD)や中小向けのSAP BusinessOne(以下B-1)などであれば、3人(プロジェクトマネージャー、会計担当、ロジスティクス担当)~5人程度で導入が可能です。ByDであれば、月額利用料が約20万円からと手頃な価格で利用することが可能であることから、SAPユーザー企業が子会社やグループ会社向けに導入したり、上場を目指すベンチャー企業などが採用するケースが増えています。
     

     
    図表1、SAP Business ByDesign
     

     
    図表2、SAP Business ByDesignの特長

    (参考:https://www.sap.com/japan/products/business-bydesign.html

     

     

    ■36の標準業務シナリオをベストプラクティスとして備えたByD
     

     
    図表3、ByD:36の標準ビジネスシナリオ
     
    ByDは、SAPが中堅中小企業向けにSaaS型で提供するクラウドERP製品です。日本国内では、2015年頃から提供がはじまり国内では100社以上が導入しています。(全世界では約6,000社)その特徴は、36の標準業務シナリオ(ビジネスシナリオと呼ぶ)をベストプラクティスとして備えていることです。
    ByDは、この36のビジネスシナリオの中から必要なシナリオを選んで導入します。このシナリオで対応できない業務要件は、ByDのスコープ外となり、原則アドオン開発はByDの外でシステム開発してこれと連携することで不足する機能を補完します。例えば、ByDでプロジェクト管理や生産管理を行いたいという要望がお客様からあるとします。プロジェクト管理は、標準ビジネスシナリオでお客様要件に十分対応できる範囲なのでこれをそのまま利用します。
    しかし、生産管理は品目マスタ管理や原価計算は要件に合致していても、生産計画や物流管理では機能不足があったりします。日本の製造業は、欧米よりもきめ細かい管理や対応が求められ、日本独自の業界要件対応が求められるケースがあります。こうした理由で、生産管理システムは別に国産のシステムを導入して連携するケースが多いようです。この場合、ByDではスコープ外となった生産管理システムは、対応可能な品目マスタ管理や原価計算のみ利用してそれ以外は別の生産管理システムとの連携で導入します。
     

     
    図表4、ByDの業務要件別の機能概要

     

    予めビジネスシナリオが36に絞られているため、お客様が必要とする機能要件の確認を迅速に行うことが出来ます。不足する機能は、外部システムとの連携で対処するため導入プロジェクトが想定外に長くなることや、アドオン開発による導入の遅延もほとんどありません。画面表示やその操作性は、SAP ERPやSAP S/4HANAと良く似ています。画面や操作性のみならず、システム設計思想がSAPのERP製品として踏襲されているためByDのオペレーションに慣れたユーザーは、SAP ERPやSAP S/4HANAのオペレーションも違和感なく馴染めるようです。
    現在、ByDからS/4HANAへの移行パスを作って欲しいという要望が多数出ていることなどから、SAPでは近い将来ByD→S/4HANAへの移行ツールを開発して提供することも計画されているようです。
     

     
    図表5、ByDの画面イメージ1(ダッシュボード画面)

     

    こうした状況を踏まえて、難易度の高いS/4HANAの認定コンサルタントを目指すよりもまずはByDのコンサルタントとなってから、SAP S/4HANAのコンサルタントになる方がハードルは低いのではないかと思います。
    ポイントは、標準業務シナリオが36と少ないこと、機能がシンプルなので1つのプロジェクトの導入期間が3ヶ月間程度と短いこと、製品コンセプトはS/4HANAと同じで画面やオペレーションに馴染みやすいこと。
    つまり、 S/4HANAのコンサルタントになるステップとして、手頃なByDで経験値を積むことが出来るのではないだろうか。さしずめByDは、S/4HANAのイージーモードという感覚で取り組むことが出来る。
     

     
    図表6、ByDの画面イメージ2(会計、伝票フローと会計仕訳)

     

    ■今回のまとめ
     
    SAPが直面している課題の1つが、「SAPの2025年問題」と呼ばれる主力製品SAP ERPの保守期限切れですが、これによって国内のSAP認定コンサルタントが著しく不足しています。
    IT技術者は、全般的に不足しているためSAPのコンサルタントはこの先5年は確実に足りないと予想されています。
    だからと言って、S/4HANAのコンサルタントを育成するのは時間とお金が掛かるため簡単に増やすことが出来ません。また、IT技術者のニーズは、ERPよりも、DXやAI/RPAなどの方が高いという状況もあります。
    SAPはERPの老舗企業ですから、ERPから撤退するということはまずあり得ませんし2025年以降も安定した技術者需要が確保されるのは確実だと思います。5年先、10年先でも安定した仕事を得る手段として、ERPのスキルと経験は手堅い選択です。今後ERPの世界は、オンプレミス型からクラウド型(IaaS型とSaaS型の両方)へトレンドが変わっていくと予想されるため、ByDからERPの世界に入るという選択もあると思います。