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    鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向#11

    こんにちは!SAP Freelance Jobs運営事務局です。

    弊社では、SAPジャパン株式会社出身で、ERP研究推進フォーラム講師でもある株式会社フロンティアワン 代表取締役 鍋野敬一郎氏をコラムニストとして迎え、「鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向」と題し、SAPのERP製品情報や最新技術情報を全12回にわたってお届けしています。

    第11回目である今回は、「S/4HANA時代のSAP Intelligent RPAについて(後編)」について取り上げます!

    これからSAPに携わるお仕事をしたい方も、最前線で戦うフリーランスSAPコンサルタントの方も、ぜひ一度読み進めてみてください!

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    鍋野 敬一郎 プロフィール
    株式会社フロンティアワン 代表取締役
    ERP研究推進フォーラム講師
    1989年 同志社大学工学部化学工学科(生化学研究室)卒業
    1989年 米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。農業用製品事業部に所属し事業部のマーケティング・広報を担当。
    1998年 ERPベンダー最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職し、マーケティング担当、広報担当、プリセールスコンサルタントを経験。アライアンス本部にて戦略担当マネージャーとしてSAP Business All-in-One(ERP導入テンプレート)立ち上げを行った。
    2003年 SAPジャパンを退社し、コンサルタントとしてERPの導入支援・提案活動に従事。
    2005年 独立し株式会社フロンティアワン設立。現在はERP研究推進フォーラムでERP提案の研修講師、ITベンダーのERP/SOA/SaaS事業企画や提案活動の支援、ユーザー企業のシステム導入支援など、おもに業務アプリケーションに関わるビジネスを行っている。
    2015年よりインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI):サポート会員(ビジネス連携委員会委員、パブリシティ委員会委員エバンジェリスト)

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    ■はじめに

    さて前回は、SAP Intelligent RPA前編ということで国内RPAの市場動向についてご紹介しました。さらに、人の作業をそのまま実行してくれる従来型の“オペレーショナルRPA”とプラットフォーム上に各システムのデータを集約してその上で一括自動処理する仕組みの“インテリジェントRPA”の違いについてご説明しました。
    急成長している国内RPAは大手企業から中堅中小企業へ普及が拡大すると思われます。またこれと並行して、RPA製品の機能と利用範囲は今後さらに拡大していくと予想されます。RPAは、定型業務を単純に自動化するというレベルから、AI(機械学習)などを組み込んで条件判断できる自律的なソリューションとして高度なレベルへ進化していくことが予想されます。
    今回の後編では、SAP Intelligent RPAの導入およびその活用ポイントを説明するとともに、RPAが今後どのように発展していくのかについてご説明したいと思います。

     

    ■SAP Intelligent RPAのインストールと対象となる業務領域

    「SAP Intelligent RPA」は、基本機能としてマニュアルで行う定型業務を自動化するRPAツールです。他社RPA製品同様に、導入すればすぐに効果を出すことができます。ユーチューブ上の「SAP Intelligent RPA」チャンネルから、実際の動作処理画面やその効果(マニュアル作業より4倍処理が早い)を見ることが出来ます。
     

     
    (図表1、SAP Intelligent RPAの事例:参考動画)
     
    ※参考動画:https://www.youtube.com/watch?v=JpOmYeq0NbU
     

    「SAP Intelligent RPA」には、他社RPAには無い2つの特徴があります。1つは、前編で説明した通りAPI経由で他システムのデータを収集して、SAP Cloud Platform基盤上にデータを集めて一括処理することが出来ます。またもう1つは、既にSAPのERP製品(SAP ERPやSAP S/4HANAなどやC.4HANAなど)を利用しているユーザー企業であれば、そのERPデータベースに蓄積された大量のデータを活用して、AIで高度な解析を行うことが可能となります。
    ERPのデータベースには、同じ業務処理をしたデータが大量に蓄積されていますが、このデータは、粒度もデータ品質も揃っています。AI(機械学習)にこのデータを読み込ませれば、AIの学習効果により完全自動で自律的かつ精度の高い業務処理を行う事が出来ます。SAPの資料(前回の図表より)では、デジタルワーカー(無人実行)と呼んで、RPAロボットが人間の監督下でのみ自律的に作業する完全自動化プロセスの処理が可能です。というのはカタログ通りなので、このコラムを読んでいる皆様なら実際に触ってみたいのではないでしょうか?
    SAPユーザー企業の方でしたら、ダウンロードして使ってみることができます。また、筆者と同じパートナー企業のSAPコンサルタントならSAPヘルプポータルより、関連情報を入手することが出来ます。インストールマニュアルも日本語版でクラウド版(SAP Cloud Platform版)とオンプレミス版が両方用意されていますので、百聞は一見にしかず!早速ご覧ください。
     
    SAP Intelligent RPAは、まだリリースされたばかりの新しいソリューションですが、SAPを長年利用してきたユーザー企業にとっては、膨大に蓄積されたデータを上手く活かすチャンスだと思います。また、上手く活用出来れば当然その効果として業務処理の自動化、効率化が実現できます。

     

     
    (図表2,SAP Intelligent RPAのSAPヘルプポータル)
     

     
    (図表3,SAP Intelligent RPAのインストールガイド)

     

    対象となる業務領域は、SAPのERP全般に渡っていて様々な利用場面に対応することが出来ます。その中でも最も多く利用されているのが、会計処理のデジタル化です。これは、月次処理や期末処理などで担当者の作業を減らす効果があるため決算早期化に即効性があります。また、複数システムにまたがってERPと他システムで連携して処理を行う場合に、オペレーションの自動化や会社間取引処理の省力化としてカスタマーサービスのセルフサービス化に役立ちます。
     

     
    (図表4,SAP Intelligent RPAでサポートされる主な業務領域)
     

    ■ERPとRPAを取り巻く周辺システムとの位置関係について

    RPAと最も親和性が高いのがERPシステムだと思います。
    RPAは、担当者がERPをオペレーションする手間を省いてくれる便利なツールです。そしてSAPでは、SAP Intelligent RPAで、ERPに蓄積されたデータを使って高度な自動化/自律化が可能です。
    ERP(S/4HANA)+RPAが中心となり、これを補完する連携ソリューションがここ最近大きく変化しています。RPAは、繰り返し処理(ルーティン)を自動化するロボットツールですが、これは業務プロセスに沿って一連の処理を行っています。つまり、業務プロセスが標準化されていればRPA導入効果は最大化出来ますが、属人化していたり例外処理ばかりだったりすると上手く活用出来ません。そういう場合には、業務プロセスを見直す必要があります。
    業務プロセスを描くための業務プロセス管理ツールには、ARIS(Software AG社)やSignavio Process Manager(シグナビオ社)などがありますが、これまでのやり方だと業務プロセスごとに関連する部門にヒアリングして1つ1つ表記して管理する煩雑な作業が必要でした。このBPMの管理作業は、手間と時間と高度なスキルが必要であったため欧米と違って日本では定着化出来ませんでした。近年、このBPM管理の問題点に対応するツールとして、「プロセスマイニング」という方法が利用可能となりました。これは、企業のあらゆるシステム(ERPやメール、EDIやワークフローなど)の処理データを自動収集して、標準処理と例外処理を自動的に表記してくれるというものです。SAPの調達クラウドサービス「SAP Ariba」では、このプロセスマイニングのツール(Celonis:セロニス社やSignavio Process Intelligence:シグナビオ社、myInvenio:Cognitive Technology社)などを利用するケースが増えています。
     
    これら、プロセスマイニングツールを使って、現状の調達プロセスを解析して、標準プロセスから外れる処理を洗い出します。例外処理のプロセスを潰して、標準化することで適正な業務プロセスに戻してからRPAを適用します。こうすることで、自動処理出来る範囲が広がり業務処理スピードと効果を引き上げることが出来ます。前述でご紹介した動画では、マニュアル処理していた作業をRPAに置きかえるだけで処理が4倍早くなるというデモでした。この例外処理を解析して、業務プロセスの標準化と見直しを行えば、それ以上のスピード(10倍以上というケースもある)と処理効果を上げることが可能です。実際の導入事例としては、BMWやシーメンスのケースが公開されています。
     
    現在、SAPパートナーベンダが、S/4HANAへの移行プロジェクトや新規導入プロジェクトでERP+RPAに加えてプロセスマイニングツールとBPMツールで最大効果を提案するケースが増えています。SAPユーザー企業のなかでも、DXやデジタルイノベーションを狙う先進ユーザー企業は、ERP+RPAの最大効果を狙った取組みを行っています。また、その効果は、業務処理スピードの短縮や担当者の時短(作業時間削減、省人化/省力化など働き方改革)として、ひと目で分かる費用対効果を訴求することが出来ます。

     

     
    (図表5,ERP+RPAの補完)

     

    ■今回のまとめ

    前編、後編でSAP Intelligent RPAを中心としたERP+RPAのトレンドを踏まえたソリューション紹介を行いました。
    単なる機能説明ではなく、SAPユーザー企業への訴求ポイントや関連情報を交えて今後の製品動向にご興味を持って頂けたのではないかと思います。
    ご存知の通り、SAPドイツ本社でトップの交替がありました。ビル・マクダーモット氏が退任して、これまでSAPのクラウド戦略を統括してきたジェニファー・モーガン(Jennifer Morgan)氏と、S/4HANAの開発を統括してきたクリスチャン・クライン(Christian Klein)氏が共同CEOとなりました。クラウドとパッケージ、ERP(デジタルコア)とERPを補完するクラウドサービスというそれぞれ2つの世界をつなぐソリューションの1つとして、SAP Intelligent RPAは期待されています。