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    鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向#17

    こんにちは!SAP Freelance Jobs運営事務局です。

    弊社では、SAPジャパン株式会社出身で、ERP研究推進フォーラム講師でもある株式会社フロンティアワン 代表取締役 鍋野敬一郎氏をコラムニストとして迎え、「鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向」と題し、SAPのERP製品情報や最新技術情報をお届けしています。

    第17回目である今回は、「エクスペリエンス・マネジメントに威力を発揮するクアルトリクスとは~ただのアンケートサービスではなく、360度の洞察と詳細な考察を導くソリューション~」について取り上げます!
     
    これからSAPに携わるお仕事をしたい方も、最前線で戦うフリーランスSAPコンサルタントの方も、ぜひ一度読み進めてみてください!

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    鍋野 敬一郎 プロフィール
    株式会社フロンティアワン 代表取締役
    ERP研究推進フォーラム講師
    1989年 同志社大学工学部化学工学科(生化学研究室)卒業
    1989年 米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。農業用製品事業部に所属し事業部のマーケティング・広報を担当。
    1998年 ERPベンダー最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職し、マーケティング担当、広報担当、プリセールスコンサルタントを経験。アライアンス本部にて戦略担当マネージャーとしてSAP Business All-in-One(ERP導入テンプレート)立ち上げを行った。
    2003年 SAPジャパンを退社し、コンサルタントとしてERPの導入支援・提案活動に従事。
    2005年 独立し株式会社フロンティアワン設立。現在はERP研究推進フォーラムでERP提案の研修講師、ITベンダーのERP/SOA/SaaS事業企画や提案活動の支援、ユーザー企業のシステム導入支援など、おもに業務アプリケーションに関わるビジネスを行っている。
    2015年よりインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI):サポート会員(総合企画委員会委員、IVI公式エバンジェリスト)

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    ■はじめに

     前回ご紹介したSAPのクラウド型人事ソリューション「SAP SuccessFactors」の、一押し最新ソリューションが“HXM(ヒューマン・エクスペリエンス・マネジメント)”です。このHXMは、従業員のエクスペリエンスを4つの観点(People & Culture:人材・カルチャー, Workplace:職場, Individual:個人, Transition:変革)から成長を促すソリューションで顧客の評判も良いようです。「従業員エクスペリエンス」とは、つまり業務スキルや熟練度の向上に効果を発揮するソリューションとなります。対象となる従業員個々のスキルを360度評価して、従業員自ら不足する知識や経験の気づきを得ることが出来ます。このエクスペリエンス・マネジメントXMの情報は、対象となる人やテーマに対する調査、集計によって示唆を得られるという仕組みです。従来のアンケート調査とは違って、集計とデータ解析をセットで提供するため、問題点の具体化や改題解決の糸口を掴みやすいソリューションとなっています。そのコアとなる機能が、クアルトリクスのコアXMというクラウドサービスです。クアルトリクスは、もともと大学のアンケート調査用に開発されたオンラインのアンケートサービスでその進化系がXMです。今回は、このクアルトリクスについてご紹介いたします。
     
    ■アンケート集計サービスではなくエクスペリエンスの改善アクションにつなげる仕組み

     一般的に、アンケート調査は対象の現状や問題点を把握するために行われます。身近なところでは、製品/サービスの市場動向や評判、政府の支持率、顧客満足度などと言ったさまざまな分野で毎日無数のアンケート調査が実施されていますし、その結果をニュースやレポートで目にすることも多いでしょう。このアンケート調査機能をベースとして、そのアンケート集計結果を即時に分析する機能や、その分析から導き出せる課題や改善点をダッシュボード、さらには顧客や従業員など対象者の気持ちや考えといったデータを取得してその成長や課題解決に導く仕組みを構築することが出来ます。単なるアンケート調査のツールとして無償で誰でも利用出来ますから、興味がある人はぜひ触ってみてください。
     
     クアルトリクスの使い方は、クアルトリクス社のホームページのみならずウェブ上に多数のマニュアルや動画がアップされています。その一部を、以下にご紹介します。
     
    ・クアルトリクス社ホームページより ※無償アカウントもここから入手可能
      「Qualtrics リモートワークパルス」在宅勤務の従業員を支援するソリューション
       https://www.qualtrics.com/jp/press/2020-04-xmsolution-remoteworkpulse/
     
    ・名古屋大学大学院教育発達科学研究科(五十嵐祐研究室)が作成したマニュアル
      (非公式版ですが、無償利用するときの参考になります)
       https://tasukuigarashi.com/lab/archives/category/all/qualtrics-all

     
    ■クアルトリクスの活用、OデータとXデータの融合による効果とは

     クアルトリクス社は、2018年にSAP社によって80億ドル(約9,000億円)で買収されました。この買収は、業務システムではないアンケート調査に特化したウェブシステムということで関連性がないことから、業界でも異色なケースとして話題となりました。SAP社が考えたことは、ERPなど業務システムで取得したオペレーションデータ(Oデータ)は、業務の生産性や効率化には効くけれど、これを扱う従業員や製品/サービスを利用する顧客の経験値や課題(ペインポイント)を見つけ出して、人の育成や改善へ導くなどエクスペリエンス(経験値)には、別の情報が必要だということです。その結果、クアルトリクスのコアXM(エクスペリエンス・マネジメント)と組み合わせることで、これが可能だと考えました。実際に、SAP内部で、SAPユーザーからのトラブル対応にOデータとXデータを組み合わせる試みを行い、その連携方法や効果についてブログで公開しています。
     
    ・SAPによる活用事例(SAP SolutionManagerとQualtricsの連携)
      https://blogs.sap.com/2020/01/22/sap-solution-manager-qualtrics-integration/

     

     クアルトリクスのホームページでは、早稲田大学や同志社大学などが従来の学術調査に利用しているケースや、BMWが市場調査(CX)に利用しているケースなどが紹介されています。日本企業では、メルカリが従業員エクスペリエンスに活用しているケースが紹介されています。(SAPジャパンブログ、https://www.sapjp.com/blog/archives/26023

     従業員エクスペリエンス向上のサーベイ「メルパルス」とマネジメントの効果を最大化するサーベイ「マネパルス」です。サーベイ結果は、ダッシュボードで可視化されて、重点改善エリアと重点継続襟がひと目で分かるようになっています。
     

     さらに、クアルトリクスが最も強い領域の1つが顧客向けの取り組みです。
     米国ジェットブルー社は、年間3,500万人以上のお客様のXデータを取得して、顧客満足度の向上に成功しています。現状の課題を見つけ出して、これを改善するアクションにつなげるツールとしてクアルトリクスを活用しています。また、保険会社やメディア、ホテルチェーンなどでは顧客満足度からさらに顧客離反防止プログラムへ導く仕組みとして活用しています。アンケートから顧客の不満を洗い出して、具体的なアクションにつなげることで、業務改善や効率化による効果を高めることに成功しています。SAP S/4HANAの最新版SAP S/4HANA2020のセールス機能を補完する“Customer 360°” は、クアルトリクスのカスタマー・エクスペリエンスCXによるものです。
     


    ■今回のまとめ

     2020年12月28日に、SAP傘下にあるクアルトリクス社は米証券取引委員会(SEC)に新規株式公開(IPO)の申請を行いました。IPO価格は1株当たり20~24ドルになる見通しです。上場先は、NASDAQ市場でティッカーシンボルは「XM」となるようです。クアルトリクス社上場後も、SAP社は過半数の株式保有を続ける予定でクアルトリクスの自律性と成長を伸ばすことが目的と説明しています。
    (参考URL:https://japan.zdnet.com/article/35164468/
    もともと学術データを取得するオープンなアンケート調査サービスだったクアルトリクスですが、その自由度を残しつつ、グループとして連携するやり方は密結合で階層型の組織から疎結合でネットワーク型の組織への転換をしめしているようにも思います。いずれにしても、クアルトリクスはSAPなど業務系システムのOデータを補完する存在として今後さらに広がることが予想されます。ユーザー企業向けに業務システムを導入するだけではなく、その後に業務システムに蓄積されたOデータを生かしたデータ活用を提案するソリューションとして、我々のビジネス道具としてぜひ身につけたい知識です。