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「SAP Basis概要の教科書」No.6 SAPの修正管理の考え方

1.はじめに

今回はSAPのバグ対応やマイナーバージョンアップ(SAPシステム自体のメジャーバージョンアップではなく)などの「修正管理」の考え方について説明いたします。SAPでは修正プログラム(=パッチ)の適用の考え方として、Note適用、SP(サポートパッケージ)適用、SPS(サポートパッケージスタック)適用の3種類があります。それぞれの修正内容と相関について下記に説明してまいります。

 

2.Note,SP,SPSの関係

①Note

通称SAPノートと呼ばれる、SAPの修正プログラムで、最小の修正単位になります。ABAPプログラムのコード修正やテーブル定義の修正などが主な内容になります。

②SP

サポートパッケージの略称です。SPはコンポーネント毎のNote修正プログラムを1つにまとめたものになります。コンポーネントとはSAPの各オブジェクト(プログラムやテーブル定義など)を機能単位に分類したものになります。

③SPS

サポートパッケージスタックの略称です。名称から推測できるかと思いますが、前述のSPを1つにまとめたものになります。

 

基本的にSAPシステムの動作に不具合があった場合には、まずその該当オブジェクトのNote

を適用することなりますが、システムの安定稼働を目的として定期的にSPやSPSを適用する

ことになります。

次にそれら3つの修正概要について説明いたします。

 

3.Note適用

SAP標準オブジェクトのバグ修正時に適用します。SAPのサポートポータル(通称:SAPサービスマーケットプレイス)にアクセスし、該当のプログラムやテーブルで起きている不具合を解消するNoteが公開されていないかを最初に確認します。公開されていた場合、そのNoteをダウンロードし、SAPシステムへ適用します。適用にはトランザクション:SNOTEを使用し、ボタン1つで適用できるものが多いですが、中にはプログラムを直接修正するもの、テーブル定義修正や索引の追加などを手動で行うものもあります。それら修正手順についてもポータル上のNoteの説明文に記載されていますので、まずはNoteの内容をよく読む癖をつけて下さい。(日本語訳が曖昧な場合も多いため、英文を読み込むようにして下さい。)

 

また、Noteには前提条件が記載されているケースがあります。その前提を、お使いのSAPシステム環境で満たしているかの確認も重要です。満たしていない場合は、その前提となるNoteも併せて適用することが必要になります。

 

さらに、Noteには当該修正が含まれているSPのバージョンも記載されています。もし、お使いのSAPシステムで、そのSPバージョンが既に適用済の場合、当該修正も適用済ということになるため、発生している問題を解消するためには別のNoteが公開されていないか確認する必要が出てきます(そのNoteが適用されているのに問題が発生しているので原因はそのNoteではない)。

 

Noteの適用は基本的に開発環境で行い、適用により問題が改善されたか動作確認を行った後、前回お伝えした移送の仕組みで、品質保証環境、本番環境へと修正を運ぶことになります。

 

4.SP適用

前述の通り、コンポーネント単位でNoteがまとめられたものになります。こちらは1部のオブジェクトのバグ修正のためではなく、定期的なメンテナンスなど、SAPシステム全体の安定稼働を目的として適用されるものです。

 

1つ目の注意点としては、前提のコンポーネントバージョンがあるということです。例えばSAP_BasisコンポーネントのSPを適用する場合、現在のレベルが50で、適用コンポーネントのレベルが70の場合、51~70までの全てのSPを適用する必要があります。

2つ目の注意点として、コンポーネント間で依存関係があるということです。例えばSAP_BasisコンポーネントのSPを適用する場合、SAP_ABAやSAP_APPLのコンポーネントも併せて適用する必要があります。(適用バージョンにより依存関係があるコンポーネントは異なります)

 

5.SPS適用

SPはNoteのまとまりであるという点や、その注意点からもわかるように、SP適用は修正内容の数も多く、広範囲になります。関連するコンポーネントの適用も順序立てて実施しないと、動作が不安定になる、あるいは正しく目的にレベルまで適用できないなどの問題が出てきます。そこで、それら依存関係などを考慮して全体的にコンポーネントのレベルを上げる仕組みがSPSの適用になります。SPSはSPを1つにまとめたものになり、SAP社がシステムの安定稼働を目的として、年に数回、定期的に公開しています。SAP社としては既知のバグ修正のため定期的にこのSPSを適用することを推奨しています。ただし、SAPシステム導入企業の実情を見ますと、カットオーバーまでは最新のSPSを適用する企業が多いですが、実運用に入り安定稼働した後にSPSを定期的に適用できているケースはそれほど多くない印象です。理由としては、SPSはSPのまとまり、そのSPはNoteのまとまりということで、1レベルSPSのレベルを上げる(適用する)だけでも、数多くのSAPオブジェクトに修正が入ることになります。レベルを上げることにより、適用後も従来通り安定動作する確認を取るための動作確認項目も比例して増えることになり、企業として、運用フェーズで大量の工数を動作確認に投入することができないことが足かせになっているようです。逆に定期的にSPSを適用できている企業は、動作確認項目を事前にピックアップし、今流行りのRPAツールを駆使して自動で動作確認を行うことで、検証工数を削減する努力をしています。

 

6.おわりに

いかがでしたでしょうか。今回はSAPの修正管理の仕組みである、Note・SP・SPSの適用について説明いたしました。SPSやSPは、適用頻度は多くないものの、その概念についてはBasisとしておさえておく必要があります。適用頻度が高いNote適用時にも、今使っているシステムのSPSやSPのバージョンを確認し、本当にそのNoteが有効であるか確認する必要が出てくるからです。Basis担当として配属されたら、まずSAPサービスマーケットプレイスにアクセスし、Noteの内容を的確に読めるよう熟読するよう心がけて下さい。次回はSAPシステムにおけるジョブの仕組みについてお話したいと思います。

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