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SAP ERPコンサルタント認定資格に難易度の差はある?

はじめに

SAP ERP関連のプロジェクトに参画するためには、何らかの「足掛かり」が必要です。この足掛かりとして「SAP認定コンサルタント資格」の取得を目指す方は少なくありません。特に実務経験がない場合は、SAP認定コンサルタント資格の取得こそがキャリアの第一歩。今回は実際の難易度や、モジュール間で難易度に差はあるのか、などについて紹介します。

 

 

 

1. SAP認定コンサルタント資格は難しいか、簡単か?

Google検索などで「SAP認定コンサルタント資格」と入力すると、資格に関する難易度や勉強方法を解説したブログが表示されますよね。どのサイトもそれなりに的を射ていますし、嘘は書いていないように思います。しかし、他のIT系資格試験と比較した場合の難易度についてはあまり言及されていません。

 

SAP認定コンサルタント資格は、世間で言われるほど難しい試験ではないと思います。ただし、実務経験の量によって難易度に差がでたり、他のIT系資格よりも独自性が強かったりと、資格取得のためにいくつかの障壁があることは間違いないようです。

 

 

1-1. IPA主催の試験と比較した難易度は?

難易度は相対的なものなので、他のIT系資格と簡単に比較してみましょう。例えば、IPA主催の基本情報技術者や応用情報技術者試験、そのほかの高度区分に属する試験などと比較した場合の難易度ですね。

 

あくまでも私見になりますが、SAP認定コンサルタント資格の総合的な難易度は、「応用情報技術者試験から高度区分試験の間」といったイメージを持っています。ただし、IPA主催の試験が過去問や対策本など準備資料が充実しているのに対し、SAP認定コンサルタント資格の試験は情報が限られています。学習に使用できるリソースが少なく、入手方法も限られているので、この点が難易度を押し上げていると思います。

 

 

1-2. 学習教材が入手しやすくなったことで易化傾向?

近年は学習教材の入手が容易になったため、総合的な難易度は下降気味になっていると言えるでしょう。かつてはアカデミーでのみ入手できた学習資料が、Web上に多数公開されている時代だからです。また、「Learning hub」のような公式のオンライン学習や、Amazonなどで販売される試験対策問題集などもあります。昔のように、受験者から試験問題の情報を集め、独自に過去問を作って受験希望者に配布している企業もありますが、個人でも十分に試験対策を進められる時代になっています。

 

 

1-3. 教材さえ揃ってしまえばやることは単純

一方、学習内容自体は暗記が主体であり、論理性を問われる問題はかなり少ないという特徴もあります。また、試験内容も選択方式であり、記述や論述はありません。この点は他のベンダー資格と似ているのですが、「暗記と問題演習を繰り返すだけで合格レベルの実力はつく」という点では、IPAの高度区分試験よりも難易度は低いと言えるでしょう。

 

 

 

2. モジュールごとに試験難易度の差はあるのか?

ここまでの内容から「試験に関する情報は入手しにくい」「過去問や教材さえ入手できれば暗記と反復学習で合格できる」ということが見えてきました。しかし、SAP認定コンサルタント資格は、モジュールごとに難易度が異なるという話を耳にします。この点についてSAP社からの公式見解はありません。そこで、これまで見聞きした範囲で難易度の差について考えてみたいと思います。

 

※今回はアプリケーションコンサルタントに限定した内容です。

 

 

2-1. 事前知識が生かしやすいのはFI?

もし、簿記や財務の知識があるのであれば、SAP認定コンサルタント資格で最も取得しやすいのはFI(財務会計)で間違いないはずです。FIに関しては簿記・会計の基礎的な知識がそのままモジュールの動きに結び付きやすいため、SAPの実機を触ったことがない方でも合格しやすいと感じています。

 

逆に難易度が高めなのは、ロジスティクス系と呼ばれるMMやSDなのではないでしょうか。これらはSAP独自の組織体系が取り入れられていたり、実機で確認しなければ定着しにくい知識が含まれていたりと、意外にやっかいな試験です。特にMM(在庫購買)は、物流の構築に対し、専門的かつそれなりの立場で関わったことがなければ知りえない知識が多いです。この点についてはSDも同様で、日本国内であまり馴染みのない「販売管理」という業務について深く知っていく必要があります。

 

SAP ERPは企業実務と密接に結びついており、「技術を知らなくても実務に精通していれば理解できる」とさえ言われるパッケージです。しかし、技術は独学できても企業実務はそう簡単ではありませんよね。したがって、技術面の理解よりも実務とSAP ERPの動きを結びつけるほうがはるかに大変なのです。ロジスティクス系の資格が難しいといわれる背景には、こうした「(未経験の)企業実務を想像しづらい」という実情があります。

 

試験としての単純な比較をすれば、MMとSDでは、MMのほうがやや難しいと言われることが多いようです。しかしこれも個人のバックボーン(経験した実務の範囲)によるため、一概には言えないでしょう。

 

 

 

3. 認定コンサルタント資格の複数取得が当たり前に?

SAP認定コンサルタント資格は、「いずれかひとつのモジュールのみ取得すれば良い」という時代は終わっているように感じます。かつては、プロジェクトに参画するための足掛かりとして重宝された資格です。しかし近年は、単一のモジュールに関する知識だけでは対応しにくい問題が増えており、モジュールをまたぐ部分で知識が問われます。

 

そのため、「FIを取得するならCO(管理会計)も」「MMを取得するならSDやFIも」といった具合に、関連性の深い業務領域を一括でカバーできるような取得が望ましいかもしれません。

 

SAP ERP認定コンサルタント資格は、モジュール間で共通した知識が多いため、実は複数取得しやすい資格でもあります。例えば、SDとMMは「価格決定プロセス」の部分でほとんど同じ内容を学びます。このように共通化された知識が多いため、単一のモジュールで満足せず、ある程度連続して取得してしまったほうが効率は良いのではないでしょうか。

 

 

 

4. 経験と資格取得の両輪でキャリアアップを目指す

認定資格を取得してSAPの基礎的な動きを知り、プロジェクトでの経験を通して企業実務を「塊」で理解することで、さらにSAP ERPの知識が深まっていきます。さまざまなプロジェクトを経験しながら、複数のモジュールで認定資格の取得を目指していきましょう。

 

やや易化傾向にあるとは言え、SAP認定コンサルタント資格はまだまだ希少価値がある資格です。専門的かつ高度な知識を問われることに違いはなく、資格取得者は人材市場で一定の価値を持つことになります。また、認定資格を取得することで未経験の分野に参入しやすくなることも間違いありません。「数年前に取得したが、更新すらしてない……」という方は意外に多いと思います。スキルの棚卸も含めつつ、もう一度新しい認定資格にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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