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SAPコンサルタント/エンジニアと相性が良い資格

はじめに

SAP業界には、技術とビジネススキルの両輪があることでキャリアアップしやすいという特徴があります。あるコンサルタントは「SAPは技術を知らなくても動きを理解できる数少ないパッケージ」と言い切るほどで、ビジネススキルは非常に重要です。

しかし、長年IT業界にいるとどうしても他の業界の知識は身に付きにくいもの。そこで、資格取得によってビジネススキルを鍛えていきましょう。

今回はSAPコンサルタント/エンジニアと相性が良い資格を一覧にしてみました。

 

 

1. ビジネスキャリア検定

ビジネスキャリア検定(Business Career Certification)は、中央職業能力開発協会(AVADA)が提供している資格試験です。この検定は、ビジネスにおける幅広い業務領域に関する知識とスキルを評価するために設計されています。

 

1-1. ビジネスキャリア検定の概要

ビジネスキャリア検定は、4つのレベル(BASICおよび1級から3級)に分かれており、レベルごとに難易度が上がっています。試験は基本的に選択式で行われ、出題される問題は実務に即したケーススタディやシミュレーション問題が中心です。

 

・ビジネス基礎知識: 経済学、会計学、マーケティング、経営戦略など、ビジネスの基本的な理論や概念に関する知識

・業務領域別知識: 人事管理、営業・販売、購買・調達、生産管理、経営情報システム、企業法務など、ビジネスの各領域における業務に関連する知識やスキル

・ケーススタディ・シミュレーション: 実務に即したケーススタディやシミュレーション問題を解くことで、実践的なビジネススキルを養う

 

このようにビジネスキャリア検定では、企業の構成要素をさまざまな視点から具体的に学びます。すでにお気づきの方も多いと思いますが、これはERPの考え方と同じであり、SAPコンサルタント/エンジニアの方にも非常に役立つものばかりです。

 

特に業務領域別の知識は、SAP ERPの標準機能とリンクする内容が多く、どのレベルの内容であってもそれなりに役立ちます。2023年時点では知名度こそ高くないものの、SAPコンサルタント/エンジニアとしての基礎を固めてくれる優秀な資格と言えそうです。特にロジ系のモジュールを担当する機会が多いのであれば、一度は勉強しておいて損はないでしょう。

 

 

2. 中小企業診断士

中小企業診断士試験は、中小企業に特化した経営コンサルタントの資格試験です。経営コンサルティングや中小企業の経営支援に携わる専門家としての知識やスキルを評価するために実施されます。

ただし、日本国内ではコンサルタント向けというよりも、実務家向けの資格として評価されていますね。

 

2-1. 中小企業診断士の概要

中小企業診断士試験は、公益財団法人中小企業診断士協会が年に2回(春季試験と秋季試験)実施しています。試験は筆記試験と面接試験の2部構成で合格基準は厳しいです。学習内容は主に以下4点に集約されます。

 

・経営コンサルティング理論: 経営コンサルティングの基本的な理論や手法に関する知識を学ぶ。経営分析、経営計画、問題解決手法などの学習が主体。

・中小企業経営に関する知識: 中小企業の特性や課題、経営環境などに関する知識を学ぶ。主な内容は中小企業の経営戦略、財務管理、人材管理、マーケティングなど。

・法務・労務関連知識: 中小企業における法務や労務に関連する知識を学ぶ。労働法、契約法、知的財産権など、中小企業が遵守すべき法的なルールについて学習します。

・ケーススタディ・実務演習: 実際のケーススタディや実務演習を通じて、中小企業の経営課題を解決する能力を養います。実践的な経験を通じて問題解決やコミュニケーション能力を高めます。

 

こちらはビジネスキャリア検定よりも経営者目線の内容が多いですね。どの業界でも必要とされる普遍的な経営に関する知識が身につくので、モジュールを問わず学習しておいて損はないと思います。

SAP ERP業界では上流工程を担当する人材に中小企業診断士の取得者が多い印象ですね。エンジニアからコンサルタントへステップアップするきっかけ、もしくはビジネススキル強化のために挑戦する方も珍しくありません。

 

また、前述のビジネスキャリア検定や中小企業診断士を持っていると、顧客課題がどのモジュールに紐づくものなのかを判断しやすくなります。したがって、Fit/Gapや要件定義、基本設計の際に必要とされる事前調査の精度が高くなるというメリットもあるでしょう。

 

 

3. 簿記2級/3級

簿記検定は、会計や簿記の知識とスキルを評価するための資格試験です。簿記検定には3級と2級の2つのレベルがあります。

SAP ERP業界で最もよく取得されている資格の一つかもしれませんね。日本国内では会計領域の導入・開発で簿記の知識が非常に役に立ちます。

 

3-1. 簿記2級/3級の概要

3級は基礎的な会計知識と簿記の基本的なスキルを持つことを目指すレベルです。

 

・会計基礎: 会計の基本的な概念や原則、会計帳簿の種類などに関する知識を学ぶ

・個人の会計: 個人の収支や資産、負債、純資産の計算方法や帳簿の作成方法を学ぶ

・事業の会計: 事業の収支計算や貸借対照表の作成方法、簿記の記帳手順などについて学ぶ

・給与計算: 社員の給与計算方法や源泉徴収税の計算、給与台帳の作成などを学ぶ

 

一方2級は、より高度な会計知識と簿記のスキルを持つことを目指します。

 

・会計原則と基礎: 会計原則や会計帳簿の基本、仕訳や伝票の作成方法などに関する知識を学ぶ

・財務諸表: 貸借対照表や損益計算書、製品別原価計算表などの作成方法や分析方法を学ぶ

・経営分析: 財務諸表を活用した財務分析や経営分析の手法、指標などについて学ぶ

・簿記の実務: 実際の企業の簿記実務に関する事例や問題を解析し、簿記の実践力を養う

 

FIやCOといった会計系のモジュールを使って仕事をするならば、簿記は実践力を身に着けられる非常に良い資格です。簿記の知識がそのまま要件定義や基本設計に活かせます。FIならば仕分けや勘定の機能を、COならば原価管理の機能をスムーズに理解できるでしょう。

また、ロジ系のモジュールをメインにしてきた方であっても、会計の知識を持つことで顧客との対話が楽になります。

なぜなら、ロジ系は会計側に向かってデータ集約されるからです。顧客側からも「出口としての会計を知っている」ことで信頼感を得やすくなりますし、取得しておいて損のない資格です。

 

 

4. 貿易実務

貿易実務検定は、国際貿易における実務的な知識とスキルを評価するための資格試験です。B級およびC級が提供されており、SAP ERPに役立つ知識という意味ではC級で十分だと思います。

 

4-1. 貿易実務検定C級の概要

貿易実務検定C級では、貿易実務と貿易実務英語を学びます。配点は貿易実務が150点、英語が50点の計200点なので、大部分が貿易実務に関する知識問題ですね。

 

SAP ERPのSDおよびMMモジュールでは、輸出入に関する機能が多数用意されています。貿易実務検定C級は、これらをビジネスレベルで理解するために役立ちます。

具体的には通関業務に関する用語や基礎知識がカバーされるので、輸出入業務のために実装される機能が理解しやすくなります。簿記やビジネスキャリア検定ほどの汎用性はないものの、ロジ系に限って言えばかなりお得度が高い資格だと言えるでしょう。

 

 

5. その他外国語

SAP ERP業界ではTOEICのスコアも評価対象になります。これに加えて、限定的ではあるもののドイツ語の知識も役立つと思います。これは「SAPはドイツ発祥の企業」というだけでなく、標準のロジックを理解する際に使えるからです。標準機能を調査していくとドイツ語のコメントが多数記述してありますよね。コメントをすんなり読み込むことができれば、標準機能の細かい仕様を把握することができるでしょう。

 

 

6. SAP ERPはサブスキルが活かせる

これらの資格は、SAPコンサルタント/エンジニアとしてのスキルセットを強化し、顧客のニーズに合わせたソリューションを提供するために役立ちます。

また、SAP ERPは「企業とは何か」「ビジネスとは何か」という視点で体系的な知識が問われるソリューションであり、技術以外の知識がキャリアアップに役立ちます。

そのため、ほかの分野に比べるとサブスキルが非常に重要であり、技術力と並行して自己研鑽を積みたいところです。

 

ABAPerやSEとして仕事を続けながら資格取得によってサブスキルを鍛えていくと、コンサルタントへスムーズに移行できるかもしれません。

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