トップ > 技術コラムNews > SAP技術情報 > 日本であまり使われていない「SAP Leonardo」についてどう学ぶか

更新日 

日本であまり使われていない「SAP Leonardo」についてどう学ぶか

はじめに

近年、SAP界隈でもERP以外のシステムと連携し、機能を拡張するケースが増えています。

今回紹介する「SAP Leonardo」もこうした周辺システムのひとつです。

すでにSAP界隈は、ERP(現在はSAP S/4 HANA)の知識だけを身に着けておけば良い、という時代ではないのかもしれません。

ここでは、SAP Leonardoの概要や学習方法などを紹介します。

 

 

 

1.SAP Leonardoとは?

まず、SAP Leonardoについて概要を紹介します。

SAP LeonardoはSAPが提供する「デジタルイノベーションシステム」という位置づけです。

少し抽象的な表現ですが、SAP Leonardoでは新しいテクノロジーを利用してビジネスプロセスを変革するための包括的な施策を提供するとのこと。

 

SAP Leonardoには「テクノロジーコンポーネント」と呼ばれる6つの分野(機能)があり、これらテクノロジーコンポーネントを必要に応じて SAPクラウド プラットフォーム上に展開し そのコンポーネントを組み合わせたアプリケーションを作成することができます。

 

デジタルコアと位置付けられているSAP ERPと接続連携できることはもちろん、 SAPクラウドプラットフォーム上に作成したアプリケーションをマイクロサービス化したり、 Open APIを活用したアプリケーションにすることで、外部サービスとの柔軟な連携も可能となります。

 

以下は、SAP Leonardoに設けられた6つのテクノロジーコンポーネントです。

 

・IoT (Internet of Things)

SAP Leonardoは、さまざまなデバイスやセンサーからデータを収集し、それを分析してビジネスインサイトを提供するためのIoT機能を備えています。

これにより、企業はリアルタイムでの意思決定を行うことができます。

IoTへの対応は近年の企業向けシステムにおけるトレンドのひとつですが、SAP Leonardoでも対応するようです。

S/4 HANAにおいてもIoTへの対応は重要なテーマのひとつに据えられています。

なぜIoTが重視されるかですが、これについてはERPがもともと主戦場としていた製造業において、IoTの活用が本格化しているからでしょう。

 

IoTは「センサー群を用いて、保全や予知を精密化する」ことができます。

製造業ならば、製造ラインの稼働状況を監視し、故障の前兆を検知するといった使い方が可能です。

ほかにも生産ラインの効率化や新規ライン設置時のシミュレーションデータ収集など、IoTと製造業は親和性が高い点がいくつもあります。

 

今後、SAP ERPが訴求力を維持するためには、IoT対応を専門に行う特化型ソリューションが必要と考えたのかもしれません。

その特化型ソリューションこそがSAP Leonardoなのです。

 

・マシンラーニング

SAP Leonardoでは、機械学習のアルゴリズムを使用して、データからパターンを学習し、予測分析を行う機能が搭載されています。

主に顧客の行動予測や、需要予測などに役立てられるそうです。

 

・ブロックチェーン

SAP Leonardoは、ブロックチェーン技術を活用し、より透明で安全なトランザクションを実現します。

これにより、サプライチェーンの追跡や、契約管理などが改善されます。

 

・ビッグデータ

SAP Leonardoは大量のデータを処理し、分析する能力を持っています。

これにより、ビジネスに関連する洞察を深め、より情報に基づいた意思決定が可能になります。

 

・データインテリジェンス

データを理解し、価値ある情報に変換することで、ビジネスプロセスを最適化し、新しいビジネス機会を発見するための機能です。

ビッグデータ解析との明確な違いは不明ですが、データ回りにもそれなりに強みを持っているということでしょう。

 

・クラウドベース

SAP Leonardoも近年のトレンドに乗り、クラウドベースで構築されています。

クラウド特有の柔軟性とスケーラビリティが売りのようです。

 

・API統合

こちらも最近のトレンドに沿っていますね。

既存のSAPシステムや他のアプリケーションとAPIで連携することが前提のようです。

API統合が容易になり、シームレスなデータフローを実現する、とされています。

 

 

 

2.日本ではマイナーなSAP Leonardoだが…?

このSAP Leonardoですが、日本企業への導入実績はそれほど多くないようです。

一方で、グローバルでは200社以上が採用しているという実績があります。

その背景には、近年重視されつつある「デザインシンキング」への配慮があるのだとか。

 

SAP Leonardoはキーコンセプトのひとつに「デザインシンキング」を掲げており、デザインシンイングの具現化がテーマのようです。

ちなみにデザインシンキングとは、以下5つのステップから成り立つ問題解決のためのアプローチです。

 

・共感 (Empathize): ユーザーや利害関係者のニーズ、感情、動機を理解します。

直接対話や観察により、彼らの視点から物事を見ることが重要です。

 

・問題定義 (Define): 共感のステップで得た情報を基に、解決すべき具体的な問題を定義します。

この段階では、問題を明確にし、焦点を絞ることが大切です。

 

・アイデア出し (Ideate): 問題定義に基づいて、様々な解決策を発想します。

ブレインストーミングなどの手法を用いて、自由にアイデアを出し合います。

ここでは、量より質を重視し、多様なアイデアを生み出すことが目的です。

 

・プロトタイピング (Prototype): アイデアを具体的な形にしてみます。

小規模で実現可能なモデルを作り、実際に試してみることで、アイデアの有効性を検証します。

 

・テスト (Test): プロトタイプを実際のユーザーに使ってもらい、フィードバックを得ます。

このフィードバックをもとに、さらなる改善を行い、最適な解決策を見つけ出します。

 

SAP Leonardoは、こうしたデザインシンキングのプロセスを念頭に置き「アイデア出しだけで終わらせない」ための仕組みを提供するシステムです。

デザインシンキングの向こう側には「イノベーション」があるので、要はイノベーションを起こすために最短距離で施策を実行するためのシステム、と言えるのかもしれません。

ちなみに、SAP Leonardoでは、

 

・8週間以内の導入とカスタマイズが可能な「express edition」

・プロトタイプの作成までを支援する「open innovation edition」

・具体的なソリューション作成までをサポートする「enterprise edition」

 

という3つのエディションが設けられており、顧客の要求によって使い分けられるようです。

 

 

 

3.マイナーなSAP Leonardoを学ぶ方法は?

さて、このSAP Leonardoですが、今後は日本企業でも徐々に採用が増えそうです。

しかしいざ学となると、SAP ERPのように練度の高い人材が多いわけでもなく、学習リソースも少ないのがネックになるでしょう。

 

 

3-1.オンライン学習サイト「SAP Learning Hub」

そこで注目したいのが、SAPのオンライン学習サイト「SAP Learning Hub」の活用です。

SAP Learning Hub では、SAPの6000を超えるサービスや機能に関して学習リソースが用意されていて、常に最新リリースの情報を得る事が可能です。

 

SAP Learning Hub で学ぶことができるのは、S/4HANA, SuccessFactors, HANA, Fiori, Ariba, Leonardoなどクラウドプラットフォームがメインとなっており、特にLeonardoについては数少ない学習リソースのひとつですね。

 

ラーニングハブのメリットはオンライン学習ならではの、時間や場所に縛られない自由さという点。

従来のアカデミーによる学習では、ひとつの科目につき3〜5日間、セミナー講義を直接受講する必要がありました。

SAP ERPのモジュール別講義を受けた方ならわかるかと思いますが、大抵の場合は会社を休んで出向き、みっちりと同じ部屋で勉強するスタイルです。

しかし、プロジェクトの進行具合によってはアカデミーに通う時間が取れないこともあり、何かと面倒な作業でした。

この点において、SAP Learning Hubの利便性は非常に高く、タイムパフォーマンスがよい学習方法といえるでしょう。

 

 

3-2.ヘルプポータルを熟読する

SAP人材ならばおなじみの、困ったときの駆け込み寺である「SAP ヘルプポータル」でもLeonardoについて学ぶことができます。

こちら(https://help.sap.com/docs/SAP_Leonardo_IoT)では、LeonardoのIoT機能について、さまざまな情報を得ることが可能です。

ヘルプポータルなので、学習というよりは実務家向けのリファレンスなのですが、それでもある程度SAPに慣れ親しんだ人材ならば参考になることは間違いありません。

 

すべて英語なのが少し煩わしいですが、残念ながら完全に日本語化されたドキュメントは公開されていないので、翻訳ツールなどを駆使して読み込むことをおすすめします。

 

 

3-3.Youtubeチャンネルで概要をつかむ

これからSAP Leonardoにはじめて触れる、という方ならばまずはYotubeチャンネルで情報を探しても良いでしょう。

 

SAP Leonardoの概要

https://www.youtube.com/watch?v=KXFbBl1jLRk&ab_channel=SAPJAPAN

 

こちらの動画は20分程度ですが、日本語での解説が行われているので理解しやすいと思います。

さらに、前述の6つのテクノロジーコンポーネントを活用した業務自動化の例なども紹介されていて、それなりに有益な動画です。

SAP Leonardoは単一で何かを生み出すソリューションではなく、SAP S/4 HANAとともにSAPクラウドプラットフォーム上で連携することで初めて価値が生まれるもの、という内容がよく理解できると思います。

 

ほかにもYotubeで「SAP Leonardo」と検索するとさまざまな動画が表示されますので、興味がある方はぜひ試してみてください。

正直なところ、ヘルプポータルや公式サイトの情報を見るよりも圧倒的に早くSAP Leonardoの概要を理解することができると思います。

 

 

 

まとめ

今回は、日本ではややマイナーなSAPのソリューション「SAP Leonardo」について紹介しました。

SAP Leonardoは、つかい方によっては日本企業のDXを強力に後押しするものだと思います。

SAP S/4 HANAと併用されるケースも増えそうですので、一度は情報に触れてみることをおすすめします。

LINEで送る
Pocket

SAP案件紹介や独立前相談

ほとんどのSAPコンサルタントの方は、独立すると、まずは当社へご登録いただいております。

60秒で無料登録

案件情報やSAP技術情報を
気軽に受け取る

メルマガ登録

つの情報を送るだけで案件紹介へ

    御氏名
    メールアドレス
    電話番号
    生年月日

    つの情報を送るだけで案件紹介へ

      御氏名
      メールアドレス
      電話番号
      生年月日