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RPAでSAPを操作するときのエラーにどう対処する?

はじめに

現在はRPAによって自動化を実現する企業が増えました。

しかし、出所が異なるツール同士だけに、エラーが発生することもしばしば。

今回はRPAでSAPを操作するときのエラーについて解説します。

 

 

 

1.意外に多い「追加開発禁止」

日本国内の企業であれば、SAPを標準状態で使用することは珍しいかもしれません。

しかし外資企業の日本支社などでは、本社主導のもと、ほぼ標準状態でSAPを運用することもあります。

つまり、「本社の指示で、開発やカスタマイズ権限がない」というケースがあるわけです。

このような場合には、SAPの外で何らかのツールを使い、オペレーションを自動化することがあります。

 

しかし、ここで問題が起こります。

SAPに限ったことではありませんが、ERPの中には「外部からのツールによるGUIアクセス」にチェックが入ることが多いのです。

その結果、RPA実行中にエラーを吐いてしまい、処理が完了しないという問題に発展します。

単体で完了する処理ならば良いのですが、ERPへの入力作業は業務横断型のタスクの一つであることが多く、基幹業務全体に影響を及ぼします。

 

追加開発が可能な場合は、バッチインプットなどで実装してしまうのですが、禁止されている状態ではそうもいきません。

そこで、何とかエラーを回避する必要がでてきます。

 

 

 

2.SAP ERPとRPAの間で起こるエラー

SAP ERPとRPAを接続すると、「スクリプトによってアクセスしようとしています」などのエラーメッセージが表示されて中断する場合があります。

 

エラーではなくアテンション(!)なのですが、ポップアップが出てしまうのでRPAによる処理が止まってしまうわけです。

 

具体的には、RPAのレコーディング機能からSAPの画面をクリックした時点で表示されます。

レコーディング中にポップアップが出てしまうので、RPA側と衝突が起こってしまい、フリーズのような症状が起こるのです。

 

この通知が出てしまうとRPA側ではどうしようもありません。

なので、SAP ERP側の設定変更で対処する必要があります。

 

 

2-1.ポップアップ通知をなくす設定変更

では実際に、ポップアップ通知を出ないようにする設定の手順を紹介します。

 

・SAP GUIのオプション設定

まず、SAP GUIのトップから左上にあるアイコンをクリックします。

「最小化」「最大化」などのメニューが表示されるので、その下にある「オプション」をクリックします。

 

・通知のチェックをオフにする

オプションを開くとメニュー一覧が表示されます。

一覧の中に「アクセシビリティ & スクリプト」という項目があるのでクリックして開きましょう。

開いた項目の中に「スクリプト」という項目があり、クリックすると右画面にユーザ設定が表示されます。

ユーザ設定の中の「スクリプトがSAP GUI にアタッチする時に通知」という項目がありますから、チェックボックスをオフにしましょう。

 

このチェックボックスがオンになっていると、前述の「スクリプトによってアクセスしようとしています」というエラーが出ます。

オフにしたら適用(A)をクリックしてOK(O)を押して画面を閉じましょう。

 

・設定が完了したら動作確認

以上の設定が終わったら、通常通りRPA側のレコーディング機能を動かしましょう。

ポップアップが出現せず、レコーディングが正常に完了すればOKです。

 

 

 

3.SAP ERPにも広がるRPA

このように細かなエラーが頻出するRPAですが、SAP ERPの世界でもどんどん導入が進んでいます。

今回は外部ツールとしてRPAを紹介しましたが、SAP謹製のRPAツールである「SAP Intelligent RPA(iRPA)」であれば標準機能との親和性が高いので、エラーも少ないでしょう。

せっかくですので、SAP Intelligent RPA(iRPA)についても簡単に触れておきます。

 

 

3-1.SAP Intelligent RPA(iRPA)の概要

SAP Intelligent RPAは、SAPのデジタルトランスフォーメーション戦略の一環として開発されました。

初期のRPAツールは主に単純なタスクの自動化に焦点を当てていましたが、SAP Intelligent RPAはAIと機械学習を組み込むことで、より複雑なプロセスの自動化を可能にしました。

 

 

3-2.SAP Intelligent RPAの特徴

・深いSAP統合

SAPのエコシステム内での動作に特化しており、SAPのアプリケーションとの統合が容易です。

これにより、SAPを基幹システムに採用している企業であれば、自社システムに簡単にRPAを組み込むことができます。

 

・高度なAI機能

SAP Intelligent RPAは、機械学習と組み合わせた自動化機能を提供します。

動的で複雑な業務プロセスや非構造化データを処理する能力が強化されています。

 

・拡張性とカスタマイズ

SAPは、モジュール式で拡張可能な製品設計を採用しており、RPAもその例外ではありません。

RPAボットをビジネスニーズに合わせてカスタマイズできるため、企業特有の業務要件にも対応できます。

 

・クラウドベースとオンプレミスに対応

SAP Intelligent RPAは、クラウドベースまたはオンプレミスの環境で展開することができます。

SAP S/4 HANAのようにレガシーシステムからの移行先として、オンプレミス/クラウドを提供していることが印象的です。

 

・エンドツーエンドの自動化

プロセスの発見から設計、実装、監視に至るまで、エンドツーエンドの自動化ソリューションを提供します。

エンジニアはプロセス全体を効率的に管理できます。

 

・有人/無人の2つに対応

SAP Intelligent RPAは友人実行と完全無人実行の両方をサポートしています。

一般的に有人実行は「業務補助(=効率化)」、無人実行は「業務自動化」(無人実行)の両方をサポートしています。

 

「RPAなのだからどちらもできて当たり前では?」と思うかもしれませんが、一般的にRPAは有人実行重視タイプと無人実行重視タイプに分かれます。

SAP Intelligent RPAは、どちらにもバランスよく対応しているという点が特徴です。

 

・ベストプラクティスを活用できる

この点が最も特徴的かもしれません。

SAP Intelligent RPAは、SAP ERPのようにビジネスのひな型となるベストプラクティスを活用できます。

例えば、

・Excelのデータを基にした伝票登録

・総勘定元帳転記のアップロード

などは、SAP Intelligent RPAに最初からテンプレート的に用意されています。

これらをそのまま使うことができれば、最小限の予算で自動化が進むでしょう。

 

 

 

まとめ

今回は、SAP ERPにおけるRPA実行時のエラーやSAP謹製のRPA「SAP Intelligent RPA」について紹介しました。

冒頭でも触れましたが、SAP ERP界隈はカスタマイズや追加開発ありきという時代から、徐々に「標準を作りこまずに使う時代」へと移行しています。

 

とはいえ、完全に標準のまま使うのは現実的ではありません。

特に日本企業はSAPのような外資企業が想定する「ベストプラクティス」の範疇に含まれないことも多く、どうしても「標準機能と業務をフィットさせるための工夫」が必要になるのです。

こうした工夫の過程においてRPAはとても重要な役割を果たします。

 

もしSAP ERPについて十分な経験を持っているのであれば、RPAのシナリオ作成・ロボット構築スキルも身に着けていきましょう。

自らの付加価値を高めるためにRPAの知見は必須に近いものになるはずです。

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