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EAMとは?SAPにも求められる設備資源管理

はじめに

日本のSAPではそれほどメジャーではありませんが、アセットマネジメントの一環としてEAMを採用する企業が徐々に増えてきました。

SAPでもEAMツール「SAP Intelligent Asset Management」を提供しています。

今回はEAMの概要と、SAP Intelligent Asset Managementの機能について紹介します。

 

 

 

1.EAM(エンタープライズ・アセット・マネジメント)とは

エンタープライズ・アセット・マネジメント(EAM)とは、企業が保有する設備や資産などを、一貫して管理し、品質を最適に保つための方法論です。

ここでいう設備・資産には、物理的なものだけでなくソフトウェア、システム、サービスなども含まれます。

 

企業のアセットマネジメントに関して、EAMは非常に重要な役割を果たします。

EAMは、企業の物理的資産の設計、建設、運用、保守、更新、処分を効率的に管理するプロセスおよびソフトウェアの体系です。

資産のライフサイクルを通じて、コストの削減、資産の利用効率の向上、運用効率の最適化を図ることができます。

 

 

1-1.EAMの特徴

EAMは日本でそれほど耳にしない方法論ですが、海外ではかなり一般的に活用されています。

以下はEAMの特徴です。

 

・ライフサイクル管理

EAMシステムは資産の購入から廃棄までのライフサイクル全体をカバーし、各フェーズでのコストと性能を追跡します。

例えば、製造業で使用される大型機械は、購入、運用、保守、最終的な廃棄に至るまで複数のフェーズを経ます。

EAMはこれらの各フェーズで発生するコスト、性能、必要なメンテナンスを記録し、最適なタイミングでの更新や改善策を提案します。

 

・予測保守

定期的な保守作業や緊急の修理が必要な場合に備えて、作業を効率的にスケジュールします。

また、資産のパフォーマンスデータを分析し、将来の故障を予測して事前に対処することも可能です。

 

実際に航空会社などでは、航空機のエンジンの振動データをリアルタイムで監視し、異常パターンを検知した場合には予測保守を実施。

これにより、予期せぬエンジン故障による運行停止リスクを大幅に減少させ、安全性と運用効率を向上させています。

 

・資産のパフォーマンス分析

収集されたデータを分析し、資産の性能とコスト効率を向上させるための洞察を提供します。

電力会社では、送電線や変電所などの資産データを分析し、エネルギー損失の原因を特定。

効率的なエネルギー配分とコスト削減につながる改善策を実施しています。

 

 

1-2.EAMのメリット

続いてEAMのメリットです。

 

・コスト削減

予防保守と予測保守により、予期せぬ故障やダウンタイムのコストを削減します。

石油・ガス産業では、予防保守プログラムにより、掘削装置や輸送設備の予期せぬダウンタイムを防ぎ、高額な緊急修理コストや生産損失を削減しています。

 

・運用効率の向上

資産データの一元管理と分析により、資産の使用と保守の効率が向上します。

大手物流会社がEAMを導入し、トラックや倉庫の設備管理を最適化。

リアルタイムで資産の状態を把握し、必要な保守作業を即座に計画・実行することで、サービスの品質と速度を向上させています。

 

・資産利用率の最適化

資産のパフォーマンスデータを分析することで、資産の利用率を最適化し、投資収益率(ROI)を高めることができます。

自動車メーカーでは、EAMによって製造ラインの機械と装置のパフォーマンスデータを分析し、生産効率の低下を引き起こす要因を特定。

その結果、不具合の早期発見と対応により、生産キャパシティの向上と廃棄率の低減を実現しています。

 

・リスク管理

資産の健全性とパフォーマンスデータを監視することで、リスクを管理し、安全性を高めることができます。

化学プラントなどでよく用いられており、EAMによって設備の老朽化や性能低下による事故リスクを管理しています。

また、定期的な健康診断とリスク評価を行い、事故の予防と安全性の向上にも効果があるようです。

 

・コンプライアンスと報告

規制要件に対するコンプライアンスを容易にし、必要な報告書の作成を自動化します。

食品メーカーにおいては、厳しい衛生基準や品質管理の規制に準拠していることを保証が求められます。

これに対応するために、EAMで自動化された報告システムを通じて、監査対応の迅速化とコンプライアンスの維持を実現しています。

 

 

 

2.SAP版EAM「SAP Intelligent Asset Management」

このようにEAMは、企業が持つ資産を管理し、予測やリスク管理などさまざまな分野で活用できるようにします。

SAPでも、EAMツールである「SAP Intelligent Asset Management」を提供しています。

 

SAP Intelligent Asset Managementは、クラウドベースのソリューションであり、IoT(Internet of Things)技術や

機械学習といった最先端技術を利用して、資産のパフォーマンスをリアルタイムで監視し、データ駆動型の意思決定を支援。

予測保守、資産戦略、パフォーマンス管理など、複数のコンポーネントで構成されています。

 

例えば、企業の資産を一元管理する「SAP アセットマネージャー」や設備の保全に関するリスク予測などを行う「SAP 予知保全とサービス」などはその代表例です。

 

いずれも日本企業の場合は独自のシステムで実現していることが多いのですが、今後はSAPのサービスに置き換えられる可能性もあります。

 

 

 

まとめ

EAMは、特に物理的資産がビジネスの中心をなす産業において、企業が資産をより効果的に管理し、

長期的な価値を最大化するのに役立つ重要なツールです。

適切なEAMソリューションを選択し導入することで、企業は資産のパフォーマンスを向上させ、運用コストを削減し競争力を高めることができます。

 

日本のSAP業界では滅多にみかけないツールですが、将来性はあると思いますので、機会があればSAP Intelligent Asset Managementについて学んでみてください。

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