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ABAPの2大開発ツール「ABAP Workbench Tools」「ADT」の特徴と違い

はじめに

SAP ERPの開発ツールといえば、「ABAP Workbench」が有名ですよね。

もうひとつSAP ERPの開発ツールとして「ADT」があるのですが、こちらはややマイナーな存在。

今回は、ABAP関連の2大ツールである、「ABAP Workbench Tools」「ADT」の特徴と違いについてまとめてみました。

 

 

 

1.ABAP Workbench Tools

ABAP Workbench Toolsは、SAPシステムの古典的な開発環境として広く使用されているツール群です。

SAP GUI(Graphical User Interface)を通じてアクセスされ、ABAP(Advanced Business Application Programming)プログラミング言語を使用してSAPアプリケーションを開発するための主要な手段となります。

以下はABAP Workbench Toolsの主要なコンポーネントとそれぞれの役割についての詳細な説明です。

 

 

1-1.ABAP Editor (SE38)

ABAPといえばSE38、というくらいには知れ渡っている機能ですよね。

後述のSE80、SE37とともに、開発が非常によく使う機能です。

ABAP Editorは、ABAPプログラムを作成および編集するための基本的なツールです。

ソースコードを入力、編集し、コンパイルすることができます。

ABAP Editorは、デバッグやプログラムの実行もサポートしており、プログラム開発の中心的な役割を果たします。

 

 

1-2.Object Navigator (SE80)

Object Navigatorは、開発オブジェクトを統合的に管理するためのツールです。

プロジェクト全体のオブジェクトを一元管理し、開発者が効率的に作業を進めるための包括的なビューを提供します。

Object Navigatorは、プロジェクトの整理と管理を簡素化し、開発プロセスの効率化に寄与します。

 

 

1-3.Function Builder (SE37)

汎用モジュール開発といえばSE37です。

Function Builderは、関数モジュールの作成および管理を行うためのツールです。

開発者はこのツールを使用して、汎用モジュールを定義し、他のプログラムから呼び出すことができます。

また、リモート関数コール(RFC)の設定も可能で、異なるSAPシステム間でのデータ通信をサポートします。

 

 

1-4.ABAP Dictionary (SE11)

ABAP Dictionaryは、データベースオブジェクトを作成および管理するためのツールです。

簡単に言えば、アドオン/標準テーブルの参照や、データエレメント、構造などの作成を行うためのトランザクション。

アドオンテーブル開発では必須の機能です。

ABAP Dictionaryは、データの整合性と一貫性を維持するために不可欠な役割を果たし、データベースとアプリケーションの間の橋渡しを行います。

 

 

1-5.Menu Painter (SE41)

Menu Painterは、ユーザーインターフェースのメニューバーやプルダウンメニューを設計・編集するためのツールです。

開発者はこのツールを使用して、ユーザーがアプリケーションを操作するためのメニュー構造を簡単に作成できます。

Menu Painterにより、アプリケーションの使いやすさとナビゲーション性が向上します。

 

 

1-6.Screen Painter (SE51)

いわゆる「Dynpro登録用のトランザクション」ですね。

Screen Painterは、ダイアログプログラム(Dynpro)の画面を設計するためのツールです。

このツールを使って、画面レイアウトを作成し、ユーザーインターフェースの外観と操作性をカスタマイズできます。

Screen Painterは、ユーザーが直接対話する画面の見た目と動作を設計する上で重要な役割を果たします。

 

 

 

2.ABAP Development Tools (ADT)

ABAP Development Tools (ADT)は、より現代的な開発環境としてEclipseプラットフォーム上に構築されたツールセットです。

ADTは、開発者がより効率的かつ生産的にABAPプログラムを開発できるように設計されています。

以下はADTの主要な特徴と利点についての詳細な説明です。

 

 

2-1.Eclipse統合

ADTはEclipse統合開発環境(IDE)上で動作します。

Eclipseは、多くのプログラミング言語をサポートするオープンソースのIDEであり、多機能で柔軟性に富んでいます。

ADTを使用することで、開発者はEclipseの豊富な機能(コード補完、リファクタリング、バージョン管理など)を活用してABAP開発を行うことができます。

 

2-2.モダンなユーザーインターフェース

ADTは、直感的で使いやすいモダンなユーザーインターフェースを提供します。

Eclipseのインターフェースは、視覚的に魅力的であり、開発者が簡単にナビゲートできるように設計されています。

これにより、開発プロセスがスムーズかつ効率的に進行します。

 

 

2-3.高度なデバッグ機能

ADTは、強力なデバッグ機能を備えています。

開発者は、ブレークポイントを設定し、コードの実行をステップバイステップで追跡することができます。

これにより、バグの特定と修正が容易になります。

また、リアルタイムでのデバッグ情報の表示もサポートされています。

 

 

2-4.コード補完とリファクタリング

ADTは、コード補完機能を提供しており、開発者が効率的にコードを記述できるよう支援します。

さらに、リファクタリングツールも備えており、コードの再構築や最適化を簡単に行うことができます。

これにより、コードの品質とメンテナンス性が向上します。

 

 

2-5.バージョン管理システムの統合

ADTは、GitやSAPのバージョン管理システムと統合されています。

これにより、開発者はソースコードのバージョン管理を簡単に行うことができ、チーム開発におけるコラボレーションが強化されます。

バージョン管理システムの統合により、コードの変更履歴の追跡やリリース管理が効率化されます。

 

 

2-6.モバイル開発のサポート

ADTは、SAP Fioriなどのモバイルアプリケーション開発もサポートしています。

これにより、開発者はモバイルデバイス向けの直感的でレスポンシブなユーザーインターフェースを簡単に作成できます。

モバイル開発のサポートにより、企業のデジタルトランスフォーメーションが促進されます。

 

 

 

まとめ

ABAP Workbench ToolsとABAP Development Tools (ADT)は、それぞれ異なる時代背景と目的に基づいて設計された開発ツールです。

ABAP Workbench Toolsは、SAPの古典的な開発環境として、長年にわたり広く活用されてきました。

一方のADTは、現代の開発者のニーズに応えるために設計された最新のツールセットであり、Eclipseプラットフォーム上で動作します。

どちらのツールも、SAPアプリケーションの開発において重要な役割を果たしており、開発者はそれぞれの特徴と利点を活用して効率的に開発を進めることができます。

 

ただし、「CDS View」など一部の新しい機能はADTのみで対応可能です。

この点から近年のSAPはADTを推奨する流れになっています。

もしECC6.0からの移行でADTのノウハウがない場合は注意しましょう。

 

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