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「SAP=使いづらい」は嘘?国内vs海外での使い方の差

はじめに

最近はネットでもSAPの情報が簡単に手に入ります。

一方で、「SAPは使いづらいのに、なぜ利用されているのか」という声も多く見受けられます。

実はこのテーマは、ネットが発達する以前からあるようです。

つまり、日本国内では「使いにくいらしいけど、とりあえずSAPを入れておくか」という風潮があったようなのです。

しかし、実際には「使いにくさ」に対する誤解が多く含まれています。

そこで今回は、日本企業におけるSAPの評価と、海外での評判の違いを解説し、SAPの本当の価値を再認識していただきたいと思います。

 

 

 

1.日本企業におけるSAPの評価

日本のユーザーからは「SAPが使いにくい」「値段が高い」「操作が面倒」といった意見がよく聞かれます。

特に現場の担当者からは、システムの操作が複雑で、業務の効率化につながりにくいと感じられるケースが多いようですね。

伝統的にSAPはUIの評判があまりよくありませんでした。

これは以下2点が関与していると思います。

 

・機能ベースのUIで、「使い方ベース」ではなかった

・SAPが想定するベストプラクティスの中に、日本企業の業務プロセスが含まれていなかった

 

上記2点を解決するために、日本ではアドオン開発が盛んになりました。

アドオン開発で最もポピュラーなのは「標準機能にアドオンの画面をかぶせる」という方法論。

これは今も昔も変わりません。

裏を返せば「UIは今一つだけども、根柢の機能としては優秀」と言っているのと同じですね。

 

SAP ERPは非常に強力な統合型業務管理システムであり、特に財務や経理分野においては他に類を見ない機能性が売りです。

これは、多くの大手企業がSAPを採用し続けている大きな理由です。

SAPは、半世紀以上にわたる実績と4万社を超える導入事例に裏打ちされた信頼性を誇り、経営者や金融機関からの高い評価を受けています。

 

まとめると、「ユーザーフレンドリーではないが、複雑で膨大なデータを管理して業務に活かす機能は評価されている」という感じでしょうか。

 

 

 

2.海外でのSAPの評価

一方、海外では「SAPが使いにくい」という声はあまり聞かれません。

もちろん、「標準状態で」です。

日本にオフィスを構える外資系企業では、本国の意向にしたがってSAPを使用していますが、画面使用は標準のままだったりします。

日本とは正反対なのですが、これには欧米諸国と日本の労働環境や業務プロセスに対する考え方の違いが大きく影響していると考えられます。

 

欧米ではホワイトカラー(管理者)とブルーカラー(実行者)の役割分担が明確であり、現場の担当者がシステムを自由に選べません。

システムを使いこなすことも含めての「業務」であり、もしこなせない場合は、別途適任者を雇用するという解決策が取られます。

つまり、「管理者が使えと命じたシステムにアジャストできないこと=解雇につながる」というわけです。

かなり厳しいですが、これは考え方の違いでしょうね。

このような違いから、システムに対する不満が表面化しにくいと考えられます。

 

また、欧米企業では、現場の作業者とデータ入力担当者が必ずしも同一ではなく、データ入力は専門のオペレーターやアウトソーシングに任せられます。

日本では現場の作業者がシステム入力も担当することが多く、業務負荷が増大しやすい状況にあります。

 

 

 

3.SAPの使いやすさを向上させるには?

日本企業がSAPをより使いやすく感じるためには、以下の点に注意することが重要です。

 

・適切なトレーニングと「評価」

SAPの機能を最大限に活用するためには、ユーザーに対する適切なトレーニングが欠かせません。

ユーザートレーニングは、どこの企業でもやっていると思いますが、「トレーニングの結果」を評価する仕組みはあまり目にしません。

形だけのトレーニングではなく、「実務をこなせるレベルにどれだけ早く到達できるか」という点での評価制度が必要かと思います。

 

・システムへのアジャストを「ミッション」として意識づける

日本企業では現場からの抵抗が、IT投資のハードルとして挙げられます。

これは「実務担当者の実質的な権限がかなり強い」ことを意味します。

この点は日本独特の文化なのかなと感じますね。

欧米企業の経営層は「日常業務を遂行する人材」に対してシステムへのアジャストを強く指示する傾向にあります。

例えば、本国が導入を決定したシステムに対しては、海外拠点のトップであっても意見できないことがあるほどです。

さらにカスタイマイズや追加開発も許されないので、どうしても「システムに業務を合わせる」しかありません。

こうした文化を根付かせることも、SAPのような業務システムを浸透させるきっかけになると思います。

 

・柔軟性を可能な限り維持する

欧米はシステムの運用に関して柔軟な考え方が一般的であり、アウトソーシングや専門オペレーターの活用が進んでいます。

こうした専門人材の活用で、システムの複雑さに対応しやすい状況を作っているようです。

一方、日本では一度設定された業務プロセスやシステム運用の変更が難しく、現場に負担がかかることが多いです。

デジタル化を進める際にも、現場の意見を過剰に取り入れすぎた結果、システムの導入がスムーズに進まないこともあります。

もちろん、現場の意見をないがしろにしろ、というわけではありません。

「システムをより有効活用にするために、どの程度ならば業務プロセスを変えてよいか」を真剣に考える場が少ないのだと思います。

組織論が絡むので難しいテーマなのですが、やはり今後は「システムに業務を合わせる」という考え方を強くプッシュしていかなくてはならないでしょう。

 

 

 

まとめ

「SAPは使いづらい」という評価は、日本に特有のものと言えそうです。

適切なトレーニングと業務プロセスの「変化」を積極的に行うことで、SAP ERPの真価を発揮させることが可能です。

海外進出を目指す企業にとって、SAP ERPは強力なパートナーとなり得ます。

この点を我々SAP人材もしっかりと理解し、顧客に説明していかなくてはならないですね。

 

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