SAPフリーランスの年収、独立準備、案件獲得方法、年収アップ方法
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独立に必要な4つの要素
近年、SAPの経験者からフリーランスとして独立しようか迷っているとの相談が増えております。この章では、SAPフリーランス(個人事業主)として独立するうえで、絶対に必要な4つの要素について説明します。
1.得意とするモジュール
まず、SAPフリーランスは、得意とするモジュールを持つべきです。これは言うまでもなく、フリーランスとして活躍するためには特定のスキル、つまり専門モジュールが必要であるということです。
実際に、何のスキルも持たないままフリーランスになろうとする方がいらっしゃいますが、非常にリスキーです。
SAPフリーランスがプロジェクトに参加する場合、即戦力として期待されます。会社員時代とは異なり、案件をこなしながらじっくりと習得できる状況はほとんどありません。そのため、得意とするモジュールを持っていなければ、活躍することが難しいのです。
ベンダーは、SAPフリーランスを活用される場合、外部からスペシャリストを確保するというメリットがありますが、パフォーマンスが低いとすぐにリリースされてしまいます。
そのため、会社員時代に最低でも1つ、できれば複数の得意モジュールを身につけておくことが肝心です。SAPフリーランスが未経験のモジュールで参画することは稀であり、仮に参画できたとしても即戦力が求められます。一度フリーランスになってしまうと、新たな得意モジュールを習得することが難しくなるためです。
独立後は、基本的に、会社員時代に身につけたスキルを磨いていくことになります。
SAP ERPを理解するためには、モジュールというものを把握することが重要です。モジュールとは業務領域・機能群のことであり、SAP ERPは様々なモジュールに分かれています…。
2.資格が重要
独立したSAPフリーランスになるための条件の二つ目は、資格です。特に、SAP認定コンサルタント資格は、SAPコンサルタントとして活動するために必須です。
職務経歴書は、SAP案件に参画する際に必要となり、面接前に必ずSAP認定コンサルタント資格の取得状況が確認されます。そのため、独立前に資格を取得しておくことが求められます。
会社員のうちに資格取得を済ませることが理想的です。フリーランスになってから取得するのは、金銭的な面で不利になる可能性があります。学習環境や受験費用など、資格を取るためのコストを会社が負担してくれるためです。
3.経験が必要
条件の3つ目は経験です。フリーランスとして独立するためには、平均的に10年以上の実務経験が必要とされています。
独立後、様々な案件に参加することになるため、独立前に複数の案件で経験を積むことが不可欠です。10年以上のキャリアがあっても、経験が1つの案件に限られている場合、引き出しの数が少なくなってしまいます。そのため、即リリースされるケースが多いです。
独立前に、少なくとも3つの案件で様々なフェーズやポジションを経験し、どの案件でもすぐにパフォーマンスが発揮できる、引き出しを増やしておくことが望ましいです。
- 資格取得は会社員のうちに済ませる
- 10年以上の経験をもつ
- 少なくとも3つの案件で全工程のフェーズやリーダーポジションを経験する
これらの条件を満たすことで、フリーランスとして独立し、SAPコンサルタントやSAPエンジニアとして活躍する道が開けます。
4.人脈の重要性
フリーランスとしてのSAPコンサルタントにおいて、成功を収めるための重要な要素は人脈です。
特に重要とされる人脈はプライムベンダーとの関係です。商流が浅い案件に参画するには、プライムベンダーとの人脈が特に重要です。実力やスキルを把握しているプライムベンダーであれば、フリーランス参画のリスクである当たり外れの回避が可能になります。
よくあるのが、独立前に所属していた企業の案件へフリーランスとして参画する例ですが、参画できる案件の幅が狭まってしまい、アベイラブルの危険性が高いです。
また、SAPフリーランス同士の人脈も重要です。案件情報や節税対策など、同業者でしか得られない情報が貴重です。
報酬・年収相場
SAPフリーランスの報酬相場は、5年以上SAPコンサルタントとしての経験があれば、月単価70万円~200万円が想定されます。
上流コンサルタントやプロジェクトマネージャーのポジションに近いほど、高い報酬が見込まれます。さらに、ニッチな特定スキルや経験があれば、月単価300万円で案件を獲得することもあります。
製造原価管理(CO-PC)や生産管理(PP)、固定資産管理(FI-AA)など専門性の高いモジュールのスキル・経験があれば、高単価でオファーが期待できます。
開発エンジニアや運用保守担当など下流工程は、月単価が低い傾向にありますが、希少性が高い専門分野をもっていると、一般的な言語を扱うエンジニアと比べ、高単価でオファーが得られます。
案件獲得方法
SAP案件は他の開発言語の案件と比べて高単価であり、魅力的です。
本章では、SAPフリーランスが案件を獲得する方法を以下の3つ紹介します。
- プライムベンダーや同業者との人脈を構築する。
- 専門性の高いモジュールのスキル・経験を磨く。
- 日常業務や実績を充実させ、信頼性を高める。
1.現職・前職のベンダーとの関係を活用した案件獲得
フリーランスとしてスムーズに案件獲得する方法の1つは、コンサルティングファームやSIerでSAP導入案件の経験を積んだ後、所属企業で雇用形態を正社員から業務委託に切り替えることです。信頼関係が築けていれば、慣れ親しんだ環境で働くことができるでしょう。
また、エージェントを利用せずに仲介手数料を節約し、高単価での契約が期待できます。
退職時には悪い印象を与えないよう注意し、良好な関係を維持することが重要です。
2.エージェントを利用した案件獲得
もう1つの有効な手段は、フリーランスSAPコンサルタント専門のエージェントに登録し、案件紹介を受けることです。SAP人材の不足から、豊富な案件があります。1年程度の経験でもオファーが得られる可能性が高いでしょう。
エージェント登録により、自身で営業活動をする労力や不安を軽減できますし、選択出来る案件の幅が広がりますし、看板があるエージェントの場合は、交渉力も強いため、個人で営業活動するより、高単価で案件に参画出来るメリットがあります。
幅広い職種のエンジニアを扱うエージェントは、SAPプライムベンダーとのリレーションが弱いため単価が安い、案件数が少ない、担当者の知識が乏しいので希望案件を紹介してもらえない、サポート体制がない、などのデメリットがあります。
3.クライアント企業からの指名での案件獲得
過去に担当したクライアントから評価が高い場合、クライアント企業からの指名で案件を獲得できることがあります。
ただし、この方法での案件獲得には、クライアント企業との取引口座開設が必要になりますが、クライアント企業は、大手が多いため、まず直接、個人事業主と取引をしてくれない場合が多いので、取引口座が豊富なエージェントに依頼しましょう。
これらの方法を踏まえて案件獲得に取り組むことで、より良いフリーランスとしてのキャリアを築くことができます。
また、各方法の長所や短所を理解し、自分に合った方法を選択することが重要です。
年収アップの方法について解説:SAPフリーランス編
本記事では、SAPフリーランスの単価を上げるための3つの方法を解説します。
1.SAP認定コンサルタント資格の取得
SAPの専門知識を証明するために、SAP認定コンサルタント資格を取得しましょう。この資格を持っていることで、高単価案件の獲得や年収交渉にメリットがあります。特に、S/4HANAの認定資格を取得することが推奨されています。
2.上流コンサルタントへのキャリアアップ
経営や業務に関連する上流コンサルタントのポジションは、高単価である場合が多いです。迅速に上流ポジションに就く方法は、コンサルティングファームに入社し、構想策定や要件定義の経験を積むことです。
ABAPエンジニアからキャリアを積む場合は、時間がかかりますが、しっかりと基礎を築いた上で、コンサルタント業務までステップアップされた方は、重宝される傾向にあります。
3.プロジェクトマネージャーへのキャリアアップ
プロジェクトマネージャーのポジションも、高単価が期待できる傾向にあります。具体的には、コンサルティングファームや一次請けSIerでチームリーダー・PMO・PMの経験を積むことで、フリーランスとして高単価案件を獲得できる可能性が高まります。
若い段階からリーダー経験を積み、マネジメントできる規模を広げていくことが大切です。
ただし、フリーランスSAPコンサルにプロジェクトマネージャーを依頼する企業は少ないため、実際は、PMOの立ち位置での参画となるケースがほとんどで、もっとも需要が強いのは、チームリーダーができるモジュールコンサルタントになります。
フリーランスSAPコンサルタントの報酬相場と年収アップの方法
この記事では、フリーランスSAPコンサルタントの報酬相場や案件獲得、年収アップの方法について説明します。
1.プロジェクト経験の積み重ね
まずは、フリーランスになる前にベンダに入社してプロジェクト経験を積むことが、高単価案件を獲得するための近道となります。ベンダに在籍している間に、上流工程やチームリーダー、マネジメント経験を積んでおくことも重要です。
2.英語スキルの習得
英語のスキルは、SAPコンサルタントとして高単価案件を獲得するうえで、非常に重要となります。SAPは日本法人のグローバル展開案件も多く、英語でのコミュニケーションが求められる場合、高単価になりがちです。
国内案件であっても、開発工程をオフショアに委託する場合、英語のスキルがあれば現地の開発者と円滑にやり取りができます。これは、報酬の交渉材料となるでしょう。
グローバル展開案件については、ベンダに在籍している間に経験しておくことが望ましいですが、実務レベルで英語でのコミュニケーションが可能であれば未経験でも紹介してもらえる可能性は高いため、英語を勉強しておくことは有効です。
3.信頼関係の構築
プロフェッショナルとして真摯に仕事に向き合い、取引先ベンダやクライアントとの信頼関係を構築していくことが、フリーランスSAPコンサルタントとして最も重要な要素です。
信頼関係の構築は、フリーランスSAPコンサルタントとしての成功において、極めて重要な要素です。このプロセスは、プロフェッショナリズムと真摯な姿勢に基づいて築かれます。仕事に対する真摯な姿勢は、お客様や取引先ベンダとの信頼を築くための基盤となります。
信頼関係の構築において、まず最も大切なのはプロフェッショナルとしての誠実さです。仕事に対して真剣に向き合い、細部にわたる注意を払い、品質を追求する姿勢は、クライアントや取引先ベンダからの信頼を築く第一歩です。プロジェクトにおいて、納期を守り、期待を超える成果を提供することが不可欠です。
さらに、コミュニケーション能力も信頼関係の構築において非常に重要です。クライアントや取引先ベンダとの円滑なコミュニケーションは、問題解決やニーズの理解に不可欠です。適切な情報を適切なタイミングで共有し、進捗状況を透明に伝えることで、信頼を築く手助けとなります。
信頼関係を築くためには、過去の実績も重要です。成功事例や満足したクライアントの声を積極的に共有し、自身の専門知識と実績をアピールすることで、信頼を高めることができます。また、誠実さと信頼性を示すために、約束を守ることは絶対的に必要です。
最終的には、信頼関係は時間をかけて築かれます。一度築いた信頼を維持し、長期的なパートナーシップを築くことが、フリーランスSAPコンサルタントとしての成功の鍵です。真摯な姿勢、高品質な成果、効果的なコミュニケーション、そして信頼性を大切にし、信頼関係を築く努力を継続的に行うことが不可欠です。
以上の点を意識して取り組むことで、フリーランスSAPコンサルタントとしての年収アップを実現できるでしょう。