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「SAPに集約されたデータの活用方法」NO.4 SAPとSalesforceは連携可能!事例や課題と実現方法を解説

はじめに

SAPとSalesforceは、どちらもビジネスに役立つソフトウェアソリューションとして人気があります。

すでにどちらかのアプリケーションを利用したことがある人は多いでしょう。

そしてこれら両方を利用している人の中には、「データが連携できれば良いのに」と考えている人が一定数います。実は、SAPとSalesforceは上手く利用することでデータの連携が可能です。それぞれに格納されているデータのうち何が連携できて、どのような課題や方法があるのかを解説します。

 

1. SAPとSalesforce

SAPは1972年にドイツで創業された会社の名前で、同社が発売する製品の名前でもあります。ERP(Enterprise Resource Planning)と呼ばれる製品で、企業の経営資源を効率的に管理するためのシステムです。

財務、人事、生産管理、物流などの様々な業務を統合的に支援できる、非常に高機能なアプリケーションに分類されます。

それに対して、SalesforceはCRM(Customer Relationship Management)と呼ばれる製品で、顧客との関係を強化するためのシステムです。営業、サービス、マーケティングなどの顧客接点を管理し、顧客満足度や売上を向上させます。

どちらも近年は、クラウドベースのサービスとして提供されているため、インターネット経由で利用できるようになっています。ただ、そのようなインフラ環境の変化が、これらのデータ連携を実現しにくくしている要因でもあります。

 

2. SAPとSalesforceのデータ連携

続いては、SAPとSalesforceが保有するデータのうち、どのようなデータを連携することが可能であるのか説明します。

2-1. マスタデータの連携

SAPとSalesforceで連携できるマスタデータの内容は、主に製品や商談に関するものです。例えば、SAPとSalesforce間で以下のようなデータの連携と同期ができます。

  • 製品リスト
  • SAP ERPにある在庫情報や価格情報

どちらからデータを参照するのかは決まっておらず、双方向のデータ連携が可能です。ただ、どちらかと問われるとSAPにマスタデータは、格納するケースが多いため、製品リストは、SAPから提供するイメージを持つと良いでしょう。基幹システムやその関連システムにマスタデータを集約し、それを他のアプリケーションにも提供することで、情報の一元管理が実現できます。

 

2-2. 取引情報の連携

日頃の取引に関する情報の連携も可能です。例えば、以下のようなデータが該当します。

  • Salesforce内の成約済みの商談データをSAPに連携し請求書の自動作成
  • Salesforceで作成した見積や受注情報をSAP ERPに反映

ただ、後ほど解説しますが、すべてのデータが連携できるわけではありません。また、SAPとSalesforceで情報を連携して活用できるものの、その方法は、検討が必要です。例えば「SalesforceからSAPには送信できないものの、SAPからSalesforceのデータを取得できる」などの条件があります。この点は、SAPとSalesforceでデータ連携やデータ活用する際に重要視すべき部分です。

 

3. SAPとSalesforceのデータ連携における課題

SAPとSalesforceでデータ連携したいという要望は多くありますが、課題が多いのも事実です。具体的にどのような課題があるのか解説します。

3-1. それぞれ別の部門が管理している

SAPとSalesforceは、用途が異なっているため、それぞれ別の部門が管理しているケースが多くあります。例えば、SAPは、製造部門とIT部門が管理し、Salesforceは、営業部門とIT部門が管理しているのです。これは、一例ですが、SAPとSalesforceの両方を同じ部門が管理しているケースは少ないでしょう。

このように異なる部門が管理していると、保存されるデータの内容などに微妙な違いが生まれてしまいます。例えば、全角と半角の違いや、日付フォーマットの違いなどです。それぞれの部門内では問題なく運用できていても、SAPとSalesforceをデータ連携するような機会には、障壁となりかねません。

 

3-2. 導入・保守ベンダーが異なる

SAPとSalesforceは、導入や保守を担当するベンダーが異なるケースが大半です。ベンダーが異なることで情報の連携がスムーズにいかず、SAPとSalesforceの連携においては課題となってしまいます。

特に導入フェーズではなく運用フェーズに突入すると、ベンダーのサービス内でしか対応してくれません。後からSAPとSalesforceを連携したいと考えても、拒否されてしまうことです。必要以上に負担の大きな作業は、それぞれのベンダーが積極的には引き受けてくれません。

また、仮にそれぞれのベンダーが引き受けてくれても、発注側が情報を仲介しなければなりません。ベンダー同士は相互に契約を結んでいるわけではないため、情報のやり取りをしてくれないのです。SAPにもSalesforceにも長けている人材が必要となり、ここが大きな課題となります。

 

3-3. リアルタイムな連携が難しい

それぞれ、相互に連携することを想定したアプリケーションではないため、即時連携が課題です。データ連携を実装しても、その方法によっては、使い勝手が悪くなってしまいます。

一般的にSAPとSalesforceを連携する際は、連携に少々の時間を要してしまいます。リアルタイムに連携することは難しく、一定の時間が経過してから連携される仕組みとなってしまうのです。技術的には難しいことですが、業務部門から使い勝手の面でクレームが入る原因となりかねません。

ただ、これはデータ連携における課題ではあるものの、後ほど紹介するデータインテグレーションツールを導入すればある程度は解決可能です。ネイティブなSAP間のようにすべてをリアルタイムに連携することは難しいですが、課題を解決する方法はあるのです。

 

3-4. バージョンアップを考慮した設計が難しい

SAPとSalesforceは、お互いを意識した設計となっていません。そのため、どちらかがバージョンアップすると、データ連携が崩壊しかねないという課題があります。データフォーマットや連携の仕様が変更されると、構築したものが使えなくなってしまうのです。

どちらのアプリケーションも非常にシェアが高いため、近年は大きな変更がなされていません。大きく変更してしまうと影響を受けるユーザー数が莫大となるため、最小限の変更にとどまっています。新機能は、リリースされますが、既存の機能は影響を受けない仕組みです。

とはいえ、どこかのタイミングでアプリケーションのバージョンアップが発生してしまいます。その際にSAPとSalesforceのデータ連携に影響を与える可能性はゼロではありません。ここは永遠の課題となってしまうのです。

 

3-5. 独自のデータを保有している

SAPもSalesforceもそれぞれ独自のデータを保有しています。それぞれのアプリケーションに最適なデータ構造となっていて、このような設計は多く見受けられます。

ただ、SAPとSalesforceのような異なるアプリケーションのデータ連携においては、大きな課題です。独自に保有しているデータを変換してから連携しなければなりません。

例えば、SAPは数値をそのまま保持しているのではなく、100分の1や1,000分の1して保有していることがあります。このようなデータは、アプリケーションで表示させる際に加工して、人間が理解しやすい表示に修正する仕組みです。アプリケーションを利用している限りは、特に影響がありませんが、データ連携にあたっては、課題となってしまいます。

この事例は一例であり、SAPにもSalesforceにも独自のデータが含まれる仕様です。データの仕様を熟知して、それを踏まえたデータ連携を実装する必要があります。

 

4. SAPはSalesforceとどのようにデータ連携すべきか

SAPとSalesforceでデータを連携すれば効率よくシステムを運営できるようになります。ただ、解説したとおり、これらのデータ連携には、課題もある状況です。その点も踏まえて、どのようにデータ連携すべきかを解説します。

4-1. SAPインテグレーションツールの導入

SAPとSalesforceを効率よくデータ連携したいと考えるならば、SAPインテグレーションツールの導入がおすすめです。SAPインテグレーションツールは、Salesforceに限らず、SAPを含む他のシステムなどを連携するためのツールを指します。SAP社以外の会社から提供されているものが多く、これを利用することで簡単にシステム間の連携を実現可能です。

 

SAPとSalesforceでデータ連携したい場合は、Salesforceに対応したSAPインテグレーションツールの導入が求められます。すべてのツールがSalesforceに対応しているとは限らないため、対応している製品を選択するようにしましょう。

なお、SAPコンサルタントへ依頼すると、このようなツールの選定からベンダーとのやりとり、要件定義などをサポートしてもらえます。依頼したい人も依頼を受けられる人もぜひご相談ください。

 

4-2. ポイント・ツー・ポイント接続

単純にSAPとSalesforceを接続したいならば、ポイントツーポイント接続を開発します。これは、ふたつのシステムを直接接続する方式です。システム間インターフェースと呼ばれることもあります。

こちらの方法であれば単純に必要なデータを出力し、連携して取り組む方法があれば実装可能です。SAPやSalesforceからデータを出力して割り込む仕組みを実装します。

考え方としては単純ですが、実際には単純に実装できるものではありません。それは、そもそもSAPとSalesforceは連携を前提としていないため、このようなデータの出力や取り組みができないからです。考え方としては単純ですが、実際の実装にはハードルがあります。

また、課題でも説明したとおり、それぞれのアプリケーションで仕様変更があると大きな影響を受けかねません。実装に負担がかかるかつリスクを抱える実装方法です。

 

4-3. SOAの開発

大きな負担がかかりますが、SAPとSalesforceをひとつの塊とみなすSOAの開発が可能です。独立したアプリケーションではあるものの、連携しやすい基盤を構築しておけば、簡単にデータ連携できます。

ただ、一般的にSOAの構築には莫大なコストが必要です。異なるベンダーが開発した独立したアプリケーションを大きな塊とみなすため、多くのテクノロジーでカバーしなければなりません。

要件定義から実装やテストまで踏まえると、費用対効果には疑問があります。実装方法の選択肢にはありますが、優先度は非常に低いと考えましょう。

 

まとめ

SAPとSalesforceのデータ連携について解説しました。どちらも重要なアプリケーションであり、データ連携を検討する企業は多いのではないでしょうか。

ただ、どちらも緻密に設計されたアプリケーションであることから、データの連携は難しい部分があります。データ連携についてSAPエンジニアなどを交えながら、細かく設計しなければなりません。

なお、SAPとSalesforceを素早くデータ連携させたいならば、データインテグレーションツールの利用がおすすめです。SAPコンサルタントなどを含めてツールを導入すれば、相互のデータ活用がスムーズになるでしょう。

 

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