【中小企業のSAP】リアルタイム経営の鍵はSAP!?現状を把握して経営に活かす
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【コラム監修者 プロフィール】
クラウドコンサルティング代表取締役 岸仲篤史
新卒でSAPジャパン株式会社に入社。
SAPジャパン在籍中にCOコンサルとして従事したことで、会計コンサルの面白さに目覚め、
大和証券SMBC株式会社 投資銀行部門、新日本有限責任監査法人、アビームコンサルティングにて、
一貫して約10年間、会計金融畑のプロフェッショナルファームにてキャリアを積む。
その後、2017年クラウドコンサルティング株式会社を設立し、SAPフリーランス向けSAP free lanceJobsを運営し、コラムの監修を手掛ける。
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はじめに
中小企業が抱える課題として「現在の状況がすぐに把握できない」ということがあるでしょう
経営者はもちろん、従業員も含めて忙しく働いているものの、それぞれのタスクまで掴めていないことが多々あります。
この原因は、社内の状況をリアルタイムに見える化できていないことかもしれません。
今回は今まで以上に中小企業向けのソリューションが強化されたSAPで、リアルタイム経営を実現する方法を紹介します。
中小企業の経営者は現状を把握できていない?
意外かもしれませんが、中小企業の業務は全体像を把握できないまま進んでしまうことがあります。
経営者自身が忙しいことで、それぞれの従業員まで目が回らず、何がどのようなステータスであるのかを知ろうとしても時間を取れないのです。
正確な状況を把握できないことで、経営者が思うようにビジネスプランを立てられないなどの問題を生み出します。
この問題を解決するために、データドリブンな経営である「リアルタイム経営」を意識することが重要です。
中小企業の経営を阻害するシステムのブラックボックス化
中小企業のリアルタイム経営を阻害する原因として、システムのブラックボックス化が挙げられます。
リアルタイム経営を実現したいと考えていても、システムが整備されていないことが問題なのです。
複数のレガシーシステムが混在
多くの場合、中小企業であっても何かしらのシステムが導入されています。
全くシステムを導入せず、紙などアナログな手法だけで経営している企業は限られているでしょう。
システムとして称されるものは導入していなくとも、パソコンでExcelを起動して、データを処理していることはあるはずです。
ただ、何かしらシステム化されていても、導入から年月が経ち「レガシーシステム」に該当していることが多々あります。
システムの寿命は5年から10年程度と考えられ、中小企業のシステムはこの期間を過ぎているのです。
その結果、システムは導入されているが、リアルタイム経営には全く役に立たないということに陥ってしまいます。
しかも、このようなレガシーシステムが混在している点にも注意が必要です。
例えば、営業担当者と会計担当者がそれぞれ別のシステムを利用して、どちらもレガシー化しているなどです。
中小企業では「システム化しているから大丈夫だ」との認識を持つ経営者が見受けられます。
しかし、レガシーシステムの継続利用は、ブラックボックス化の原因です。
ブラックボックスが続くことによる弊害
システムのブラックボックス化が続くことで、経営者には様々な弊害が生じます。
例えば、リアルタイム経営など、データドリブンな経営を目指しても、活用するためのデータがどこにあるか判断できません。
データは、企業経営において宝の山だと考えられますが、宝の持ち腐れ状態に陥ってしまうのです。
また、古くにシステムを導入していると「一部の担当者しか利用できない」ということも考えられます。
仮にデータが保存されているツールが判明しても、使い方がわからずデータを取り出せないのです。
このような状況は早急に回帰しなければなりません。
データドリブンが求められる時代のリアルタイム経営
繰り返しですが、これからの時代はデータに基づいたデータドリブン経営が重要です。
その中でも、データの収集頻度を高め、短期間で経営に活かすリアルタイム経営が求められています。
中小企業でこれを実現するための方法を考えていきましょう。
SAPなどデータ基盤が必須
中小企業でリアルタイム系を実現するためには、データを一元管理して、取り出しやすい仕組みを構築することが重要です。
大量のデータが蓄積されている場合は、データウェアハウスを利用しますが、中小企業の場合はデータを蓄積するプロセスから見直した方が良いでしょう。
そこで役立つ手法として、SAPなど基幹システムを導入し、データ基盤を確立する作業が必須です。
データがどこに保存されているか、スマートに取り出せるか、という部分がリアルタイム経営の実現を左右します。
言い換えると、データが保存されている基盤さえあれば、今すぐにでもリアルタイム経営を実現できるのです。
業務プロセスの標準化とIT化を推進
データ基盤を構築するためには、可能な限り業務プロセスを標準化し、これをITで管理するべきです。
まず、プロセスが標準化されていないと、担当者によって違ったデータを生み出すことになりかねません。
これは、データ分析を阻害し、リアルタイム経営も阻害することになるのです。
また、多くの業務がシステム化されていないと、データを分析する対象がなくなってしまいます。
そのため、プロセスを標準化して、その結果をシステムに保存することが重要です。
中小企業の経営改善にはSAP S/4HANA Cloudがおすすめ
中小企業で経営改善を目指しているならば「SAP S/4HANA Cloud」の導入を軸に考えてみましょう。
SAPは世界中で利用されている基幹システムで、中でもSAP S/4HANA Cloudは簡単に導入できるクラウドサービスです。
SAPのような基幹システムの導入は難しいと思われがちですが、クラウドシステムならば大きな負担を被ることなく導入できてしまうのです。
しかも、SAP S/4HANA Cloudならば、中小企業に適した業務プロセスが標準で用意されています。
本来、基幹システムを導入する際は「どのような業務プロセスにするか」を検討する作業が必要です。
現在の業務プロセスを明らかにして、システムとのFit&Gapを評価します。
ただ、中小企業においては、そもそも業務プロセスが確立されていないことがあります。
また、現在のプロセスに無駄が含まれていることも考えられ、基本的には全体を見直す方針で進めるべきです。
リアルタイム経営に向けた無理な標準化は避ける
SAPが標準プロセスを提供していることで、どのように業務を進めれば生産性を高められるかを直感的に理解できます。
そのため、解説したように、基本的には業務プロセスを見直す方向で考えるべきです。
ただ、完全に固まった業務プロセスが存在するならば、無理に変更することは避けた方が良いでしょう。
例えば、社内ではなく、取引先を含めた業務プロセスが確立されているならば、大幅な変更は業務へのインパクトを大きくする可能性があります。
社内で取り組みが完結せず、取引先にも影響を与えてしまい、場合によっては迷惑に思われてしまうことにもなりかねません。
実際、大手外資系企業の調査によると、無理な業務プロセスの見直しは導入を破綻させる原因と説明されています。
まとめ
データドリブン経営が中小企業にも広がり、現在はリアルタイム経営と呼ばれるものが求められています。
これを実現するためには、データを取り出しやすい基盤を構築することが重要です。
データ基盤を構築する方法はいくつもありますが、業務プロセスの標準化も含めてSAP S/4HANA Cloudの導入をおすすめします。
基本的な業務についてはプロセスが用意されているため、それに沿った業務を設計することで、生産性の向上とデータの蓄積を一気に実現できるのです。