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    鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向#18

    こんにちは!SAP Freelance Jobs運営事務局です。

    弊社では、SAPジャパン株式会社出身で、ERP研究推進フォーラム講師でもある株式会社フロンティアワン 代表取締役 鍋野敬一郎氏をコラムニストとして迎え、「鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向」と題し、SAPのERP製品情報や最新技術情報をお届けしています。

    第18回目である今回は、「RISE with SAPとは?~SAPのクラウド戦略はビジネストランスフォーメーションを加速する~」について取り上げます!

    これからSAPに携わるお仕事をしたい方も、最前線で戦うフリーランスSAPコンサルタントの方も、ぜひ一度読み進めてみてください!

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    鍋野 敬一郎 プロフィール
    株式会社フロンティアワン 代表取締役
    ERP研究推進フォーラム講師
    1989年 同志社大学工学部化学工学科(生化学研究室)卒業
    1989年 米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。農業用製品事業部に所属し事業部のマーケティング・広報を担当。
    1998年 ERPベンダー最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職し、マーケティング担当、広報担当、プリセールスコンサルタントを経験。アライアンス本部にて戦略担当マネージャーとしてSAP Business All-in-One(ERP導入テンプレート)立ち上げを行った。
    2003年 SAPジャパンを退社し、コンサルタントとしてERPの導入支援・提案活動に従事。
    2005年 独立し株式会社フロンティアワン設立。現在はERP研究推進フォーラムでERP提案の研修講師、ITベンダーのERP/SOA/SaaS事業企画や提案活動の支援、ユーザー企業のシステム導入支援など、おもに業務アプリケーションに関わるビジネスを行っている。
    2015年よりインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI):サポート会員(総合企画委員会委員、IVI公式エバンジェリスト)

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    ■はじめに
     SAPは、2020年業績の発表とグローバルに向けた新しいソリューション「RESE with SAP(ライズ・ウィズ・エスエーピー)」を発表しました。今回はこの内容についてご紹介したいと思います。新型コロナウイルスで世界経済が大きく影響を受けた2020年業績ですが、売上高27,897百万ユーロ(約3兆5,708億円、1ユーロ=128円で換算)前年比+1%、営業利益5,800百万ユーロ(約1兆880億円)前年比+4%と堅調でした。特筆すべきは、クラウド売上8,241百万ユーロ(約1兆548億円)前年比+18%とソフトウェアライセンス売上減少をクラウド売上がカバーしたことです。つまりSAPは、ERPのライセンス販売ベンダというポジションから、クラウドを主力とするベンダへシフトチェンジしていることを示しています。ライセンスからクラウドへのビジネスモデルの移行が、今回の「RISE with SAP」のテーマなのです。SAPでは、この取り組みを“Business Transformation as a Service”(ビジネス変革をサービスで提供するパッケージ)と呼んでいます。

    ■SAP流DXへの取り組み、SAPのクラウドシフトとは
     SAPのホームページに行くと、「RISE with SAP」という専用サイトが公開されていて、そこではCEOのクリスチャン・クラインが動画で「RISE with SAP」の目的とそのアプローチについて動画で説明しています。30分以上の動画で熱く語っているのですが、その内容を理解するのはひと目見てすぐ分かるという感じではではありません。その理由としてSAPが目指しているのは、「ビジネスとシステムの統合によるビジネス・トランスフォーメーション(ビジネス変革)を支援するサービス」の提供だからです。とても複雑で難しい取り組みです。これを実現するSAP流の戦略は、「ERPとクラウドサービスを連携統合する」というやり方を強力に推し進めるものです。

    ・ERP+クラウドサービスで柔軟性と即応性を実現
     ご存知の通り、SAPはパッケージビジネスの老舗です。クラウドビジネスにも取り組んで来ましたが、これはSAP AribaやSAP Concur、Successfactorsなどクラウドベンダを買収してこれをERPに連携統合するというアプローチでした。安定稼働しているERPに、クラウドサービスを連携することで機能を拡張しています。中心となるデジタルコアのERPは“SAP S/4HANA Cloud”を推奨しています。アドオンやカスタマイズすることなく標準機能をそのまま使う「フィット・トゥー・スタンダード」がSAPの基本スタンスです。不足する機能は、SAPが買収したクラウドサービスやパートナーが提供するサービスや連携¥ソリューションで拡張補完されます。(SAPはライセンスパッケージ版のSAP S/4HANAやSAP ERPなどにも対応可能としています)
     
    ・「RISE with SAP」がツールやサービスの寄せ集めではない理由
     様々なツールやサービスをウェブAPIやクラウドなどで連携するやり方は、既にどの企業でも取り組んでいますが、「RISE with SAP」はこうした取り組みとは違うとSAPでは言っています。組み合わせて必要な機能を作ることが目的ではなく、ビジネス・トランスフォーメーション(DX)を実現するクラウド連携統合が目指すゴールです。そのためには、①ビジネスプロセスを再設計して(買収したBPIツールシグナビオによるプロセス設計)、②必要なツールや機能を連携統合してテクニカルマイグレーションを行い(ERP+クラウドサービス)、③クラウドプラットフォーム(SAPが提供するプライベートクラウドやAWS/Azure/Alibaba Cloud/GCP)に蓄積されたデータによるインテリジェントエンタープライズの実現が必要となります。SAPは、これをサブスクリプションで提供していくとしています。

    ■インテリジェントエンタープライズを実現するSAP BTPの考え方
     SAPはインテリジェントエンタープライズを実現する仕組みとして、SAP BTP(ビジネス・テクノロジー・プラットフォーム)という考え方を説明しています。そのソリューション「RISE with SAP」では、ビジネス変革に向かう顧客の“ジャーニー”を、(1)ビジネスプロセスの再設計、(2)テクニカルマイグレーション、(3)インテリジェントエンタープライズの実現、という3つのステップで定義しています。
     
    (1)ビジネスプロセスの再設計は、業界のベストプラクティスとSAPが蓄積してきた大量のデータベースを土台に、顧客企業のビジネスプロセスを変革します。2万社以上のERPユーザー企業から得られたベストプラクティスとデータを利用して、1,300以上のKPIを足掛かりとしています。
    (2)テクニカルマイグレーションは、SAPのモジュラー型の標準ソリューションを利用して移行を実現します。SAPおよびパートナーが提供する標準ソリューションをそのまま利用して、移行を行う際に「モディフィケーションやカスタムコードを独自開発しない」取り組みを目指します。標準機能を利用することで、「単一のセマンティックなデータレイヤー」をそのまま利用できるためシンプルでムダやミスの無いビジネス処理を行うことが出来ます。標準機能で不足する機能や業務処理は、ウェブAPI(BAPIなど)を利用したシステムやクラウドサービスを利用して補完することが出来ます。
    (3)インテリジェントエンタープライズの実現については、その具体的な実現方法を説明しています。その手段とは、インフラ、プラットフォーム、ビジネスネットワーク、アプリケーションという4つの領域で変革を進めます。インフラは、SAPによるホスティングあるいはパブリッククラウドを選択して、その上で「SAP S/4 HANA Cloud」を実装します。プラットフォームは、「SAP Business Technology Platform」を指していて、ビジネスネットワークでは、SAP Aribaの購買/調達ネットワークにアクセスできる。アプリケーションは「SAP S/4 HANA Cloud」に、AI、RPA、高度なアナリティクスなどを組み込み、プロセスの標準化や簡素化を実現しています。
    今後SAPでは、その契約をサブスクリプションで提供する予定としています。(詳細については今後説明される予定)さらに、今回の発表では、ゲストとしてマイクロソフト社CEOのサティア・ナデラ氏が登場して、コラボレーション機能をSAP S/4HANAとMicrosoft Teamsの連携によって実現されることが紹介されました。
     
     こうした発表より、SAPは今後クラウドサービスを成長戦略の中心とすることと、そのビジネスプロセスをライセンス型からサブスクリプション型へ移行することが明確となりました。ERPを中心としたビジネスモデルから、クラウドサービスを中心としたビジネスモデルへ移行するとともに、その目的を機能実現からビジネストランスフォーメーション(デジタル・トランスフォーメーションDX)をサービスとして提供するソリューション「RISE with SAP」へシフトするとしています。これまえERPやコンポーネントごとのコンサルティングから、複数のシステムやクラウドサービスに跨るビジネスプロセスの変革を実現するコンサルティングへ求められる役割が変わることとなります。




     
    <RISE with SAPでシフトチェンジすること>
     ・ERPは成熟 → クラウドサービスは急成長
     ・アドオン+カスタマイズ(つくる) → 標準機能+クラウドサービス(つかう)
     ・ERP導入コンサル → ERP+サービス連携によるソリューションコンサル
     ・ライセンスモデル → サブスクリプションモデル
    など
     
    ■今回のまとめ
     今回は「RISE with SAP」について、その内容を出来るだけ分かりやすく説明してみました。この取り組みによって、SAPは基幹システムのソリューションベンダからビジネストランスフォーメーション・アズ・ア・サービスを提供するサービスベンダへその役割を大きく変えていくと予想されます。これまでのように1つのモジュール/コンポーネントを深堀するのではなく、関連するモジュールや関連するクラウドサービスの連携によるソリューション実現が求められる役割となるでしょう。