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    鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向#26

    こんにちは!SAP Freelance Jobs運営事務局です。

    弊社では、SAPジャパン株式会社出身で、ERP研究推進フォーラム講師でもある株式会社フロンティアワン 代表取締役 鍋野敬一郎氏をコラムニストとして迎え、「鍋野敬一郎のSAPソリューション最新動向」と題し、SAPのERP製品情報や最新技術情報をお届けしています。

    第26回目である今回は、「SAPで実現するサステナビリティ経営~SAP社の取り組みから学ぶゼロエミッション/ゼロ・ウェイスト/ゼロインクエリー~」について取り上げます!

    これからSAPに携わるお仕事をしたい方も、最前線で戦うフリーランスSAPコンサルタントの方も、ぜひ一度読み進めてみてください!

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    鍋野 敬一郎 プロフィール
    株式会社フロンティアワン 代表取締役
    ERP研究推進フォーラム講師
    1989年 同志社大学工学部化学工学科(生化学研究室)卒業
    1989年 米国大手総合化学会社デュポン社の日本法人へ入社。農業用製品事業部に所属し事業部のマーケティング・広報を担当。
    1998年 ERPベンダー最大手SAP社の日本法人SAPジャパンに転職し、マーケティング担当、広報担当、プリセールスコンサルタントを経験。アライアンス本部にて戦略担当マネージャーとしてSAP Business All-in-One(ERP導入テンプレート)立ち上げを行った。
    2003年 SAPジャパンを退社し、コンサルタントとしてERPの導入支援・提案活動に従事。
    2005年 独立し株式会社フロンティアワン設立。現在はERP研究推進フォーラムでERP提案の研修講師、ITベンダーのERP/SOA/SaaS事業企画や提案活動の支援、ユーザー企業のシステム導入支援など、おもに業務アプリケーションに関わるビジネスを行っている。
    2015年よりインダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI):サポート会員(総合企画委員会委員、IVI公式エバンジェリスト)

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    ■はじめに
     CES2022や東京オートサロン2022において、ひときわ存在感があったのはEV電気自動車やEV関連の発表でした。2050年にCO2排出量実質ゼロを目指すカーボンニュートラルへの取り組みがさらに加速していくと予想されます。自動車業界は、カーボンニュートラル対応への取り組みが最も先行しています。EU(欧州連合)は、2035年にガソリン車の新車販売を、ハイブリッド車(HV)も含めて事実上禁止する案を発表しています。つまり2035年以降は、欧州市場でEV以外は販売できなくなります。このEVシフトはさらに加速していて、EV対応できない自動車メーカーや自動車部品メーカーなど関連産業は事業が継続できなくなる可能性が高いのです。自動車以外の業界でも、IT業界やハイテク業界などがこれに追従することが予想されます。今回は、SAPにおけるカーボンニュートラル対応の考え方についてご紹介します。
     
    ■EV/HV/ガソリン車で異なるCO2排出量とその対応
     自動車業界は、カーボンニュートラル対応が最も先行している業界のひとつです。自動車は、その材料・部品生産、車両生産、車両の走行、走行に必要な燃料製造それぞれでCO2排出量が大きく違います。ガソリン車の場合は、材料・部品生産6トン、車両生産1トン、車両の走行16トン、走行に必要な燃料製造3トンの合計26トンのCO2が排出されます。EV電気自動車の場合は、材料・部品生産12トン、車両生産1トン、車両の走行0トン、走行に必要な燃料製造9トンの合計22トンのCO2排出量です。合計値の比較で26トンと22トンの4トン差となります。将来EVの走行に必要な燃料製造(電気)が再生可能エネルギーなどの比率が高まれば9トンがさらに減らせる可能性があります。このように、EUではEVシフトを加速させていくことになります。

     
     こうしたEUなどの状況を踏まえて、国産自動車メーカーもカーボンニュートラル対応を急いでいます。トヨタ自動車は、工場のカーボンニュートラルを2050年から2035年に前倒しする方針を示しています。具体的には、2021年より主要サプライヤ約400社に対してCO2排出量前年比3%削減を求めています。その取り組みで重要なのが、サプライチェーン排出量の削減という考え方です。サプライチェーン排出量とは、「その企業の事業だけでなく、その原材料調達・製造・物流・販売・廃棄など、一連の流れ全体から発生する温室効果ガス排出量」です。自社の直接排出(スコープ1)と間接排出(スコープ2)に加えて、サプライチェーンの上流と下流についてCO2排出量を把握しなければなりません(スコープ3)。特にスコープ3のCO2排出量把握は容易ではありません。



     
    ■SAPが考える脱炭素経営の進め方とは
     SAPが考える脱炭素経営の活動の流れは、次の通りです。まず、脱炭素経営の目標設定「Purpose策定」を行います。これを踏まえて、具体的なCO2排出量の削減を決めます「GHG削減目標と方針」。ここから具体的な実務レベルの取り組みとなります。「実務リソースへの配置」を決めてから、「プロセスへの落とし込み」脱炭素につながる業務プロセスを洗い出して行動計画に落とし込みます。準備が整ったところで「各活動での実行/評価」を廻します。まずは現状の見える化を行ってCO2排出量を業務プロセス単位に把握します。その結果からボリューム/影響の大きい活動からCO2排出量削減に取り組みます。ポイントとなるのは、「非財務指標から具体的な数値でCO2排出量を管理する」ことと、その状況を「サステナビリティダッシュボードで見せる化」することです。非財務指標と財務指標の相関性を解き明かすことで、非財務指標の先行値が収益(営業利益)にどのように貢献するのか分かります。SAP車では、IRの統合報告書でその内容を説明しています。さらに、SAP PCFMを利用してERPの購買データから自動的に製品別CO2排出量をレポートすることが出来ます。原材料を購入するサプライヤ選定は、CO2排出量が少ない仕入先を選ぶことが出来ます。


     
     製造業におけるカーボンニュートラル対応は、まず現状の把握、つまりCO2排出量の見える化からはじまります。GHG(環境効果ガス)の元となるガソリンや軽油など化石燃料(直接排出:スコープ1)や、工場設備やエアコンプレッサー、空調機器などに必要となる電力(間接排出:スコープ2)、そして原材料や製品とその輸送・配送などその他(他社の排出:スコープ3)は、調達部や物流部、経理部など社内各部門からデータ収集出来ます。そのデータの大半は、ERPシステムのデータベースに蓄積されています。SAPのサステナビリティ製品の特徴は、製品別CO2排出量の分析に必要なデータの大半をERPシステムから自動集計してダッシュボードで表示できるところにあります。但し、製品当たりに按分するための配賦ロジックや計算式は企業それぞれが決めなければなりません。企業ごとに、製品の原材料や生産工程の内容は異なりますからケース・バイ・ケースで判断/評価する必要があります。SAP導入ユーザー企業は、幅広い領域に居ますからユーザー会や導入事例などを参考にしたカーボンニュートラル対応が今後急速に広がると思われます。


     
    ■今回のまとめ
     今回は製造業のカーボンニュートラル対応について、SAPが考える脱炭素経営に向けた活動の取り組み方についてご紹介しました。CO2排出量の見える化に必要となる元データの大半は、ERP(SAP S/4HANAやSAP S/4HANA Cloudなど)から取得可能であり、その元データから自動集計してサステナビリティダッシュボードで即時に可視化出来ます。製品別CO2排出量の分析は、元データの収集に煩雑な作業が必要となりますが、SAPはその手間を大きく省くことが可能です。サステナビリティ経営を実現する手段として、SAPは最適なソリューションと言えるでしょう。次回は、SAPのサステナビリティ製品とその画面イメージをご紹介いたします。