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    「SAP FI概要の教科書」No.1 GL編

    ■はじめに
     
    SAP Freelance Jobs運営事務局です。
    2022年より新連載シリーズとして、「SAP FI概要の教科書」を始めます。
    本コラムを読んでいただきたい方は、”SAPをあまり触ったことがない”や”初めてSAPプロジェクトにアサインされたがモジュールごとの機能についてよく分からない”といったSAP初心者の方を想定しております。
    GL,AP,AR,AAといったサブモジュール毎に、連載を予定しておりますので、是非日々の業務のご参考になさってください。
     
    ■FIモジュールの目的
     
    SAPシステムは「ヒト・モノ・カネ」の経営資源をリアルタイムで一元管理するパッケージソフトとして1990年代に日本企業への導入が始まりました。
     
    SAPシステムの代表的な会計モジュールは、FI(財務会計)とCO(管理会計)の2つから成ります。セットで導入されることが多いこの2つの会計系モジュールですが、FIとCOの違いは何なのでしょうか。
    財務会計(FI)は「外部報告会計」、管理会計(CO)は「内部報告会計」とも呼ばれます。つまりFIの目的は、企業で発生した会計取引を正しく仕訳し、決算を行い、(単体の)財務諸表を作成することにあります。それらを利用し、社外のステークホルダー・銀行・取引先等の利害関係者に、企業の経営状態の結果を報告します。財務諸表の作成は、定められたルール(法律、会計基準)に従います。
    これに対しCOは、企業内部の経営者、部門長等の利害関係者に、事業活動に関する意思決定と、実行の管理に必要な情報を提供することを目的とします。社内目的のため法律に縛られたルールはなく、自社の状況に合わせて管理会計の方針は決定されます。
     
    本コラムでは4回に渡ってFI(財務会計)モジュールの概要を説明していきたいと思います。
    初回はFIの観点でSAPシステムの特徴である「リアルタイム」「データの一元管理」をご説明させていただいた後、続けてFIのサブモジュールであるGL(総勘定元帳)についてご紹介させていただきます。
     
    ■リアルタイム統合を支える2つの特徴
     
    1.会計仕訳の自動生成
    企業のすべての会計取引を勘定科目ごとに記録している帳簿を、総勘定元帳と言います。
    SAPシステムはリアルタイムシステムのため、取引が発生した(伝票が入力された)モジュールが何であれ、その内容が会計取引であれば会計仕訳を自動仕訳し、リアルタイムで総勘定元帳の勘定残高を更新します。
     
    SDモジュールでは販売のために商品を倉庫から出庫する際、「出庫伝票」を登録し、仕入れた原材料を倉庫に入庫する際にはMMモジュールで「入庫伝票」を登録します。この時、同時に会計仕訳が生成され、以下の会計伝票が自動で転記されます。
    出庫時 売上原価/商品
    入庫時 原材料/入庫請求仮勘定
     
    他にも、売掛金管理、買掛金管理、固定資産管理といった補助元帳(FIのGL以外のサブモジュール)ともリアルタイムで統合しています。
     
    2.統制勘定
    GLでは勘定科目単位での管理を行うため売掛金勘定残高は、複数の得意先との取引の合計額で表されます。それぞれの得意先との取引はFI-AR(売掛金管理)で管理します。得意先ごと、仕入先ごと、固定資産ごとの管理を補助元

      帳側で行いたい勘定科目を「統制勘定」と言います。
       
      得意先に対して売上を計上する際に、SAPでは、売上/得意先と仕訳を入力します。得意先の得意先マスタで統制勘定に「売掛金」を設定しておくと、総勘定元帳では売掛金勘定に転記が行われる仕組みです。

       
      一般的な統制勘定は、売掛金、買掛金、未収入金、未払金です。これらの勘定科目について勘定コードマスタで統制勘定の設定をおこなうと、統制勘定を使った仕訳入力(売上/売掛金)は出来なくなります。このようにして補助元帳と総勘定元帳データの整合性は担保されます。
       
      ■データの一元管理のメリット
       
      1.ドリルダウン
      残高一覧レポートから明細一覧、明細一覧から指定した仕訳を照会し、その仕訳の発生源となる原始帳票へとマウス操作でドリルダウンすることが出来ます。

       
      例えば、FI-GLの標準レポートである「勘定残高一覧」から勘定コードでダブルクリックすると、明細一覧にドリルダウンします。明細一覧からFI伝票、FI伝票から金計上の元となったSDやMMの伝票に遡ることが出来ます。これにより会計取引の正当性が担保されるだけでなく、耐監査性が向上します。
       
      ■FI-GLの目的
       
      FIモジュールにはGL(総勘定元帳)、AP(買掛金管理)、AR(売掛金管理)、AA(固定資産管理)というサブモジュールがあります。GLはFIの中心的なサブモジュールで、SDやMMといった他モジュールから自動的に転記された会計仕訳と、FIで直接伝票入力した会計仕訳すべてを記録する総勘定元帳として位置づけられています。勘定科目ごとの残高管理はGLで行われるため、勘定残高一覧レポートや貸借対照表・損益計算書レポートはGLの機能になります。(単体)決算のための機能もGLの機能です。
      GLには大まかにマスタ関連、伝票入力・照会機能、決算処理、レポート機能があり、メニューで分類されています。
       
      ■FI-GLの主な機能
       
      1.伝票入力機能
      貸借共に勘定科目の仕訳を入力する画面があります。
      他モジュールからの自動仕訳で多くの会計伝票が登録されますが、FIで直接伝票入力する業務に備え、入力負荷を軽減させるための様々な伝票入力機能が用意されています。
      【勘定割当テンプレート】 仕訳パターンの登録機能です。伝票入力時に呼び出して使います。
      【参照伝票】 伝票のコピー機能です。コピー元は転記済みのFI伝票を伝票番号で指定します。
      【反対仕訳】 伝票を取り消す場合に使います。転記済みのFI伝票を伝票番号で指定し転記すると、貸借が逆の仕訳を転記します。
      【繰返伝票】 家賃や保険料といった「同額の取引を、決まった期間、定期的に転記させたい場合」に利用可能な機能です。
      【未転記伝票】会計伝票を保存後、承認業務を経て転記を行うことができる機能です。
       
      2.決算処理機能
      決算時には、会計基準に則した財務諸表を作成することが必要です。日本の会計基準に則して作成する、IFRSを適用している等、企業によって要件は様々です。
      FIでは複数の会計基準に沿った会計数値を管理するために、複数の元帳を定義することが出来ます。仕訳入力時には通常定義されたすべての元帳に転記が行われますが、転記したい元帳を特定して仕訳入力を行うことも可能です。
       
      決算処理の仕訳入力を支援するいくつかのプログラムが用意されています。
      【見越繰延】 翌期振り戻し(翌月反対仕訳)用に使います。
      【各種評価】 外貨建勘定(外貨預金等)や外貨建債権債務の評価と仕訳転記を行います。外貨評価以外にも評価プログラムが用意されています。
       
      新年度への残高を繰越す機能や今年度への転記を締める機能を実行します。
      以下のような機能があります。
      【残高繰越】 年度末残高を新年度へ繰り越す処理用のプログラムです。
      【会計期間オープン/クローズ】 転記可能な会計期間(月)を定義する機能です。
      締めた月に誤って転記が行われないように、また、次の月に対する転記を行うことが出来るように制御します。
       
      3.レポート機能
      勘定残高試算表(TB)や貸借対照表・損益計算書は、標準レポートが提供されています。
      【財務諸表レポート】
      貸借対照表や損益計算書レポートを実行する際に、財務諸表バージョンを指定します。財務諸表バージョンとは貸借対照表と損益計算書のレイアウトを定義するものです。
       

       
      ■おわりに
      今回はFIモジュールの概要として、FIの目的と特徴について、またFI-GL(総勘定元帳)の目的と機能2つをご紹介いたしました。
      次回以降は、FI-AP(債務管理)、FI-AR(債権管理)、FI-AA(固定資産管理)について順次ご紹介させていただきたいと思います。