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「SAP FI概要の教科書」No.7 FI伝票入力と承認-未転記伝票-

本コラムでは前回に続き、伝票入力機能についてご紹介いたします。

今回は「未転記伝票」機能と、SAPの承認機能についてです。

■未転記伝票

未転記伝票は、FI伝票の転記承認業務に使うことを想定した機能です。
前回ご紹介させていただいた、T-cd:FB50、FB60、FB70(FB01相当)等は、フロッピーアイコンを押すと、FI伝票番号が発番され、FI伝票が転記されます。(フロッピーアイコンにカーソルを近づけると「転記」と表示されます。)テーブルBKPF、BSEG、ACDOCAを更新し、会計残高を更新する入力機能でした。

 

未転記伝票という機能は、トランザクションコードも別で、T-cd:FB50、FB60、FV70(FBV0相当)等から伝票入力を行います。フロッピーアイコンを押した時、FI伝票番号は発番されますが、会計残高は更新しません。(フロッピーアイコンにカーソルを近づけると「未転記伝票保存」と表示されます。「転記」ではありません。)
フロッピーアイコンを押すとデータはテーブルBKPFと、未転記伝票用のVBKPF「未転記伝票用伝票 ヘッダ」と、仕訳内容に応じてVBSEGS「未転記伝票-総勘定元帳」、VBSEGK「仕入先の未転記伝票」、VBSEGD「得意先の未転記伝票」のいずれかに保存されます。まだ転記されていないためBSEGやACDOCAにはデータは保存されません。

 

 

未転記伝票を転記するためには、改めて伝票を選択し、フロッピーアイコンを押します。つまり、未転記伝票は、「単なる伝票保存」と「転記」という2回のテーブル更新を行う伝票入力機能と言えます。この機能を使ってFI伝票登録の承認業務を実現します。つまり、担当者が未転記伝票機能を使い「承認前のFI伝票を登録(未転記伝票保存)」し、上司がその伝票を承認(転記)します。

未転記伝票として保存された伝票は、T-cd:FBV0またはFV50、FV60、FV70で金額等の変更や伝票の削除が可能です。登録内容が承認されず担当者に差し戻された場合は内容を修正する必要があるので金額を含めた項目が修正出来ることは理にかなっていると言えます。また、削除された未転記伝票の伝票番号は欠番になります。
転記されたFI伝票は金額等の変更が出来なかったり、伝票削除が出来なかったりしますので、この点も大きな違いになります。

登録済みの未転記伝票はEnjoy画面の場合は画面左のツリーから検索することも、T-cd:FBV3の伝票一覧ボタンで抽出条件を入力し、レポート表示することが出来ます。一覧画面では表示項目のレイアウトを定義することが出来ますので、承認者にとって伝票内容が分かりやすいような項目が表示されるレイアウトを用意することが出来ます。

ところで未転記伝票の保存には「未転記伝票保存」と「完了として保存」の2つのメニューがあります。「完了として保存」とは、未転記伝票保存時に通常の転記時と同じ入力チェックをプログラムが行って保存する、という意味です。

 

ワークフローの仕組みを使わなくても、未転記伝票だけ使っても、担当者が入力者、上長が承認者という業務を実現することは可能です。
しかし現実的には、承認業務についてはワークフローを使い、承認者に承認依頼メールを送付するなどと業務設計することが殆どと思います。
続けて、SAPシステムの承認機能についてご説明します。

■承認

未転記伝票を使った承認業務をワークフローで行うためには、SAP Business Workflowという機能を使います。SAP Business Workflowに必要な設定は、FI側とBasis側にあります。SAP Business Workflowを使う場合はBasisコンサルタントに作業を依頼する必要があります。

 

FI側の設定箇所は以下です。
IMGパス 財務会計共通設定>ツール>ワークフロー>未転記伝票のワークフロー

 

>登録:未転記伝票のワークフローバリアント
>登録:未転記伝票の画面入力
>割当:会社コード>未転記伝票ワークフローバリアント
>定義:未転記伝票のリリース承認グループ
>定義:未転記伝票のリリース承認パス
>割当:未転記伝票のリリース承認パス
>割当:未転記伝票のリリース承認処理(サブワークフロー)
>定義:未転記伝票のリリース権限者

設定手順

  1. 「登録:未転記伝票のワークフローバリアント」で定義したワークフローバリアントを「割当:会社コード>未転記伝票ワークフローバリアント」で会社コードに割り当てます。
  2. 得意先・仕入先をグループ化し、ワークフローがトリガーされる条件と承認段階を制御したい場合は承認グループを定義します。
  3. 「定義:未転記伝票のリリース承認パス」で承認パスをコード定義し、「割当:未転記伝票のリリース承認パス」でワークフローバリアント、承認グループ、伝票タイプの組み合わせに対して割り当てを行います。(つまり、どの伝票タイプの場合にどのワークフローをトリガーするかを決めます。)
  4. 金額に応じた多段階の承認を行うことが出来ますので、「割当:未転記伝票のリリース承認処理(サブワークフロー)」で、金額条件を定義します。SAP標準で3段階(2人の上長による承認)のワークフローシナリオ「タスク WS10000051 」が用意されています。Basisによるワークフロー開発を行えば、「最高3段階の承認」以外のシナリオの実現が可能となります。

このIMGメニュー以外に、どの担当者が登録した未転記伝票を承認者する上長が誰であるかの関係を定義する必要があります。これはT-cd:PPOCEで登録します。
担当者はSAPログインユーザ、承認者を「ポジション」に登録し、承認の依頼者と承認者を定義します。

SAP Business Workflowを使った未転記伝票の承認設定について、FI(アプリ)側で行う基本的なカスタマイズ設定は以上です。

SAP Business Workflowの場合、担当者が未転記伝票を保存すると、承認者のSAPシステムの受信ボックスにメールが送信され、承認者はメール内のリンクから伝票内容を確認し承認(転記)を行います。

 

■Fioriの未転記伝票と承認アプリ

未転記伝票機能に相当するFioriアプリについても確認しておきたいと思います。

T-cd:FV50のWebGUIを呼び出すFioriアプリ「未転記G/L伝票入力」が提供されています。
T-cd:FV60とFV70に対応するFioriアプリはありませんが、FB60とFB70のWebGUIを呼び出すアプリはあります。そこで債権と債務については、FioriアプリでFB60やFB70のWebGUIを表示し、画面上の「未転記」ボタンから未転記伝票保存することが可能です。

FI-GLについては未転記伝票登録用のFioriアプリ「一般仕訳の確認」が提供されています。
ここで使われているワークフローは、Flexible Workflowと呼ばれる新しいSAPのワークフロー機能です。承認者のFioriの受信ボックスにメールが送信されます。
設定もFioriアプリで設定も行います。承認依頼者側の設定は「一般仕訳確認のワークフローの管理」アプリで行い、承認者側の設定は「チームおよび責任の管理」アプリで行います。

■おわりに

今回は未転記伝票機能そのものについてのご説明と、SAPシステムが提供しているWorkflow機能を使った承認プロセスの実現方法についてご説明させていただきました。
Fioriアプリについては、S/4HANA 1809に基づいて記述しております。リリースによってFioriアプリの日本語名称が変わっていたり、機能が追加されていたりしますので、各プロジェクトのSAPリリースに対応するFioriアプリの機能のご確認をお願いいたします。

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