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「SAP ERPエンジニアが初めてSAPを学んだら」No.2 S/4 HANA Sales におけるビジネスプロセス

1.はじめに

SAP Freelance Jobs運営事務局です。この度、ERPエンジニアがSAPを初めて学び、資格取得するまでの学び・実施内容の第2回となります。
第1回でも記載しておりますが、国内にSAPエンジニアが多くいるとはいえ、どのように学び成長出来たかの記事はあまり存在しません。SAPエンジニアになる為の選択肢はOJT・e-Leaning等様々あります。
前回は最も基本的なトレーニングである「S/4HANA の概要(S4H00)」について記載しましたが、今回はSAP S/4HANAの販売管理(SD)領域の最初のトレーニングである「SAP S/4HANA Sales におけるビジネスプロセス(S4600)」を受講して感じたことを記載します。
これからご自身がSAPエンジニアを目指す方、また自社内にSAPエンジニアを育成したい方には有益な記事になっておりますので、是非最後までご一読頂けますと幸いです。

2.コース概要

コースの詳細に入る前にS/4 HANA Sales 研修の全体像からご説明すると、以下の資料に全体像がまとめられています。

 

SAP Training and Adoption INFO 2021

リンク:https://cdn.training.sap.com/cdn/pdf/SAP-Training-and-Adoption-INFO-2021.pdf/JP/JA

 

まず、SAPエンジニアやコンサルタントとしてSAP S/4 HANA Saleのスキルや知識を身に着ける場合、認定資格 CTS462 SAP Certified Application Associate – SAP S/4 HANA Salesを目指すことが一つの目安になるかと思います。

そこに向けたトレーニングコースとして

  • S4600 SAP S/4 HANA 販売での業務プロセス(4日間)
  • S4605 SAP S/4 HANA 受注管理 (5日間)
  • S4610 SAP S/4 HANA出荷管理 (2日間)
  • S4615 SAP S/4 HANA 請求管理 (2日間)
  • S4620 S/4 HANA 販売価格設定(3日間)
  • S4650 SAP S/4 HANA 販売管理共通設定(3日間)

があります。これらのトレーニングを一通り受講することで、認定資格を受験しうる知識を得ることができます。今回はこれら一連のトレーニングの中で、SAP S/4HANAの販売管理(SD)領域で最初のトレーニングである「SAP S/4HANA Sales におけるビジネスプロセス(S4600)」を受講しています。

3.「SAP S/4HANA Sales におけるビジネスプロセス(S4600)」で教わることが出来る範囲

基本的に、販売での一般的な業務プロセスと関連する主要なマスタを学ぶ内容となっています。

  • UIの紹介(Fioriの紹介)
  • 組織構造・企業構造の理解
  • 販売プロセスの概要(販売伝票・出荷伝票・商品出荷・請求伝票)
  • 中心となるマスタの考え方(ビジネスパートナー・品目・価格条件)
  • 自動決定データ・日程計画(納入計画・輸送計画など)
  • 在庫確認の方法
  • 一括処理(バッチ処理)
  • 追加のプロセス(受注生産・サービス販売・見積や引き合い)
  • 訂正や返品の処理
  • 監視や分析

前回受講した「S/4HANA の概要(S4H00)」でも一般的な販売プロセスは学習していましたが、そちらと比較するとより深く・広くSales領域を学ぶことができるようになっています。一例をあげると、「S/4HANA の概要(S4H00)」においてもマスタ構造の説明はありましたが、組織・取引先・品目が中心で内容が限定されていました。「SAP S/4HANA Sales におけるビジネスプロセス(S4600)」では上記の説明に加えて、価格条件なども説明がされています。これは一例ですが、このように各内容がより広範で深い内容になっています。

4.トレーニングの進め方

コースの進め方は前回の「S/4HANA の概要(S4H00)」と同様に、

  • 講義
  • 実機による演習

の繰り返しとなります。
今回の研修で特徴的だった内容として、講師の方が非常に細かく受講生の演習進行状況を気にされておりました。
Sales領域では受注で入力した伝票は後続の出荷処理で引用される仕組ですので、1回分からなくなるとそれ以降の時間で演習不可になりうる為、講師の方が非常に細かくカバーしていたのかと推測しております。

5.トレーニングを通して得たこと

本トレーニングを通して、以下を得ることができました。

  • SAP S/4 HANA Salesの基本プロセスは操作可能
  • 基本プロセス以外にどのような追加プロセスがあるか認識できた

6.トレーニングを通して得られなかったこと

また、本研修を通しても以下の内容は得ることができず、追加でのトレーニングの必要性を感じています。

  • パラメータの考え方・操作方法は不明
  • 演習は限られており、販売領域の追加プロセス(見積・引き合い・契約等)の詳細は理解できていない
  • ロット管理がオプション扱いであり、深く学ぶことができない。
  • パラメータの説明が限られており、初期導入への知識は不十分
  • 帳票の紹介やパラメータの紹介が限られており、業務運用に相当する知識は不十分

7.トレーニング受講後の所感・SAPへの印象

当エンジニアは日本で開発されたERPパッケージの経験を保有していますが、SAPは未経験の為、前回同様に国産ERPとは大きな差を感じています。

  • GUIに癖がある。利益の確認が受注伝票のメイン画面で確認不可であり驚いた。
  • 売上処理相当を請求と表現していることに違和感がある
  • 納入日付を時間で設定できたり、分納制御を得意先や得意先品目毎に設定出来る等、マスタはかなり細かく設定可能に思える。
  • 組織設定はパラメータ設定となり、マスタ設定では無いことに驚いた
  • 売上原価対立法が基本となっている
  • 研修受講時、基本的に簿記の知識があった方が望ましい
  • 請求書はほぼ標準では使われない
  • 伝票ステータス照会機能は非常に使いやすい。各伝票の状況が分かりやすい。
  • 訂正は独自の処理が用意されており、慣れが必要である。
  • 機能が非常に豊富な為、SAP社のサービスの中で全機能詳細を記載したドキュメントが無い。その為、SAP導入ベンダーやコンサルタント内でまとめられているノウハウの価値が高い
  • 学習コストが非常に高く、SAPコンサルタントの価値は高い。

8.おわりに

今回はERPエンジニアがSAP S/4HANAの販売管理(SD)領域の最初のトレーニングである「SAP S/4HANA Sales におけるビジネスプロセス(S4600)」の内容概要と受講した所感を記載しました。
SAP はソリューション領域やサービスが非常に広範であり、学習コストが非常に大きくなります。
次回以降も、資格取得に向けての研修受講状況や学習方法を紹介していきます。

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