「SAP MMモジュールのナレッジ共有」No.2 MMの組織構造
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■はじめに
SAP Freelance Jobs運営事務局です。
この度は「MMモジュールのナレッジ共有」と題し、数回に渡って、SAP ERPの「MM」の概要について解説していこうと思います。
今回は、MMの組織構造についてお話します。
1.SAP 組織構造とは
SAPでは、会社や生産工場などを「組織」として定義しております。
これらの各組織は関連付けることができ、構造的になっているため「組織構造」と言われます。
「組織」は、各種マスタやトランザクションが、どこの組織で利用されるデータか、識別するキー項目となるため、導入する初期段階で検討が必要になります。
各モジュール、様々な組織構造がありますが、SAPのMMでは在庫管理と購買管理の2つの観点で組織構造を検討する必要があります。
2.SAP MM関連の組織の定義
まず初めにSAP MMで利用される組織の定義と、トランザクション「SPRO」からカスタマイズ設定する際の設定ルートについて解説します。
2-1.会社コード
会社コードは「会社」を表し、各組織の最上位の組織になります。財務諸表を提出する義務がある最小の単位です。財務諸表というと財務会計の領域の設定に思われるかもしれませんが、会社コードの下の階層に、プラントや購買組織などが設定されるため、MMでも利用されます。また、事業規模が大きい企業の場合は、「会社コード」を事業単位に利用するケースもあります。
■設定ルート
SAPカスタマイジング導入ガイド(IMG)
⇒企業構造
⇒定義
⇒財務会計
⇒編集/コピー/削除/チェック;会社コード
2-2.プラント
プラントは、「工場」や「事業所」、「営業所」などの事業の活動拠点を表します。会社コードや購買組織に割当てることができます。SAP MMでは発注時や入庫時に利用され、どこのプラントで発生した伝票か常々意識する必要があります。
■設定ルート
SAPカスタマイジング導入ガイド(IMG)
⇒企業構造
⇒定義
⇒ロジスティックス―一般
⇒プラントの定義、コピー、削除、チェック
2-3.保管場所
保管場所は、プラント内の「在庫を保管する場所」を表します。在庫の種類を区別するために定義を分けて使われたりもします。
プラントに割り当てることができます。
■設定ルート
SAPカスタマイジング導入ガイド(IMG)
⇒企業構造
⇒定義
⇒在庫/購買管理
⇒保管場所の更新
2-4.購買組織
購買組織は、取引先との価格交渉や、取引先に対して発注する組織を表します。会社コードやプラントに割り当てることができます。発注時に利用され、どこの購買組織で発生した伝票か常々意識する必要があります。
■設定ルート
SAPカスタマイジング導入ガイド(IMG)
⇒企業構造
⇒定義
⇒在庫/購買管理
⇒購買組織の更新
3.SAP MMの組織の割当
項番2で解説した各組織を関連けるため「割当」というカスタマイズ設定が必要になります。
「割当」の設定するための条件とトランザクション「SPRO」からカスタマイズ設定する際の設定ルートについて解説します。
3-1.「会社コード」と「プラント」の割当
プラントは、1つの会社コードに対して1つ、または複数のプラントを割り当てることが可能です。一方で複数の会社に対して、1つのプラントを割り当てることはできません。
■設定方法
SAPカスタマイジング導入ガイド(IMG)
⇒企業構造
⇒割当
⇒ロジスティックス―一般
⇒会社コードに対するプラントの割当
3-2.「プラント」と「保管場所」の割当
保管場所は、1つのプラントに対して1つ、または複数の保管場所を割り当てることが可能です。一方で複数のプラントに1つの保管場所を割り当てることはできません。
■設定方法
「保管場所」の定義を登録する際にプラントを関連付けて登録するため、
割当の設定ルートはありません。
3-3.会社コード ⇔ 購買組織
購買組織は、1つ会社コードに対して1つ、または複数の購買組織を割り当てることが可能です。一方で複数の会社コードに1つの購買組織を割り当てることは出来ません。
■設定方法
SAPカスタマイジング導入ガイド(IMG)
⇒企業構造
⇒割当
⇒在庫/購買管理
⇒購買組織を会社コードに割当
3-4.購買組織 ⇔ プラント
プラントは、購買組織に対して1つ、または複数のプラントを割り当てることが可能です。またプラントに対して1つ、または複数の購買組織を割り当てることが可能ですので複数:複数の関係になります。
■設定方法
SAPカスタマイジング導入ガイド(IMG)
⇒企業構造
⇒割当
⇒在庫/購買管理
⇒割当:購買組織―>プラント
4.SAP MM の組織構造まとめ
本記事では、SAP MMの組織構造について解説しました。
SAPコンサルタントは組織を定義したり、割当てしたりと、「カスタマイズ作業」を求められることがあるためカスタマイズの設定方法も併せて解説しました。
またSAPの組織構造は冒頭に述べました通り、マスタやトランザクションに利用されるため、定義した後、マスタやトランザクションが登録されてしまうと変更が難しい定義になります。
そのためSAPを導入する企業の実態に合った組織構成と照らし合わせ十分に検討し、関係者と合意を取ってカスタマイズ設定を進めるようお願いします。