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「SAP SDモジュールとは」No.1 SD概要と販売伝票について

1.SAP SDモジュールとは?

SAP SDモジュールとは、販売管理を取り扱うモジュールであり、英語のSales Distributionの略になります。

SDモジュールでは、大まかにいうと3つのステップになります。まず1つ目は製品や材料などの品目を得意先から受注した際の受注伝票入力、2つ目は受注後に、その品目を出荷する際の出荷伝票登録、そして、3つ目として、販売した得意先に対して請求伝票を登録する機能を持っています。

また、請求情報をSAP FIモジュール(財務会計)に引き継ぐことができます。(売掛金の入金の確認や消込等は、FIモジュール側で行われます。)

上記は最も基本的なパターンを示しましたが、受注の中でもサンプル品などの無償出荷が行われるものや、無形のサービスなど、出荷を伴わない受注→請求の流れの業務も取り扱うことができます。

更には、受注の前段階として、引合伝票や見積の伝票を作成し、受注伝票作成時に参照登録することもできます。

SDモジュールでは、会社ごとの販売エリア(販売組織/製品部門/流通チャネル)で成り立っています。受注、出荷、請求とも、販売エリアが密接に関わっております。

今回は、受注(販売伝票)についてのお話をします。

 

2.販売伝票の構造について

SAPでは、販売関連の取引については、販売伝票として登録されます。これらは、 4 種類のカテゴリに分類されます。

 

・プリセールス伝票: 引合および見積

・受注

・基本契約および分納契約などの販売契約

・無償出荷、クレジットメモ依頼の元となる得意先の問題およびクレーム

 

販売伝票の構造としては、どの販売伝票も基本的に同一の構造を持っています。1つの伝票ヘッダがあり、その下に1行または複数行の明細があります。

1つの明細の中でも、1行または複数行の納入日程行を持つことができます。

ヘッダデータ、明細データについて、少し詳しくお話します。

■ヘッダデータ

SAPの販売伝票には、一般データと呼ばれる伝票全体に対して有効なデータがあります。伝票のヘッダデータに記録されます。

例えば、以下の通りです。

・受注先コード

その名の通り、受注先を示すコードになります。

・出荷先コード

販売伝票上の品目を、どこに出荷するのかを示すコードになります。

・支払人コード

販売伝票上の品目の支払いを行う取引先コードになります。

・伝票通貨

販売伝票上で用いる通貨を記録します。

・換算レート

会社コードの通貨とは異なる伝票通貨を用いた場合、その通貨との換算レートを記録します。

・納入日付

受注する品目の納入日付を記録します。

・出荷ポイント

受注する品目をどこに出荷するか、その場所と紐づく組織のコードになります。

・ヘッダテキスト

販売伝票ヘッダにテキスト情報を持たせることができます。

■明細データ

伝票ヘッダのデータが、伝票の全ての明細に適用されるのに対し、明細ごとに適用されるデータになります。このデータは明細レベルで保存され、主には以下の情報を含みます。

・品目コード

受注する品目のコードを記録します。

・目標数量

受注する品目がいくつなのかを記録します。

・出荷先コードおよび支払人

このコードの明細に対して、代替の出荷先または支払人を定義することができます。

・明細テキスト

販売伝票明細にテキスト情報を持たせることができます。

・納入日程行データ

1つの明細には、1つまたは複数の納入日程行が入力されます。納入日程行には納入に必要なすべてのデータが含まれます。例えば、得意先からある特定品目 20 個の注文を受けて、販売伝票に明細を 1 行入力したとします。

現時点で納入可能なのは 10 個のみで、残り 10 個の納入は来月になるため、出荷を 2つに分割して計画する必要があります。これらの出荷に関するデータ ( 日付、確認数量) は、2つの異なる納入日程行に保存されます。

納入データが関連していない販売伝票 ( 基本契約、クレジットおよびデビットメモ依頼など) には、納入日程行が登録されません。

納入日程行には以下のデータが記録されます。

 

・納入日程行数量

・納入日付

・確認数量

3.販売伝票の画面について

ここでは、販売伝票の画面構成についてお話します。

販売伝票は各画面、各タブで構成されており、大きく分けて以下の通りになっております。

 

概要画面タブページ : 販売、明細概要、受注先、調達、出荷、拒否理由

 

ヘッダ画面タブページ : 販売、出荷、請求、支払伝票、請求計画、勘定、条件、取引先、テキスト、購買発注データ、ステータス、追加データA 、追加データB

 

明細画面タブページ : 販売A、販売B、出荷、請求、国、条件、勘定設定、納入日程、取引先、テキスト、購買発注データ、ステータス、構成、追加データA 、追加データB

 

更に、それぞれの画面についてもう少し詳しくお話します。

■概要画面

概要画面では、伝票ヘッダに関するデータを選択することができます。表示領域に、その伝票に対する明細を含む領域があります。

この概要画面から、いくつかのタブページ間を切り替えることができます。タブページの販売には、伝票ヘッダの重要項目が含まれております。販売伝票の概要を把握するのに役立ちます。

概要画面は、カスタマイジングで、非表示にする項目を定義することができます。これによって、明細を表示するための領域がより大きくなります。

画面明細概要には、ヘッダデータの一部が表示されます。一部なので、明細に対して、より大きな領域を確保することができます。

受注先、調達、出荷、拒否理由のタブページには、それぞれ関連する領域のデータが表示されます。調達のタブページには、明細と納入日程行の両方が表示されます。

設定のタブページを使用して、ある 1つの明細に対する特性属性の概要を、素早く照会することができます。この照会機能は、比較的設定が単純な設定の品目、

必要不可欠な特性が頻出するモデルで作業を行う場合に特に役立ちます。

設定のタブページは、特性照会を更新した場合にのみ、販売伝票に表示されます。カスタマイジングでエントリが 1つもない場合、タブページは表示されません。

概要画面での特性照会に対する設定を参照するには、販売管理のカスタマイジングで、 販売管理 → 受注伝票 → 概要画面の特性照会を選択します。導入ガイド(IMG)で、詳細情報を照会することができます。

■ヘッダ画面

ヘッダ画面には、伝票ヘッダのデータが表示されるタブページが複数あります。

販売、出荷、請求伝票、および会計のタブページをそれぞれ表示することができます。

カスタマイズで追加できる画面については、”追加データ A” および ” 追加データ B” という 2つのタブページが用意されており、 ” 追加データ B” については、ユーザのニーズに合うように設計することが可能です。

■明細画面

明細画面では、伝票に対する1行または複数行ある個別の明細に関するデータが表示されます。この画面にも選択可能な複数のタブページが用意されています。

ヘッダ画面の場合と同様、明細画面のタブページを使用することにより、販売、出荷、請求という 3つの詳細画面の各データに直接アクセスすることができます。

他には、“販売 A” 、 ” 販売 B” 、 “出荷” 、 “請求” の各タブページ内で照会することができます。

販売データに対して 2つのページ ( 販売 A 、販売 B) が用意されており、小さな画面上でもタブページ全体を表示することができます。

カスタマイズで追加することのできる追加データは、”追加データA” 、”追加データB”の2つがあります。

■追加画面

概要画面、ヘッダ画面、明細画面に対して、販売伝票の全てのデータが表示されるわけではありません。

・納入日程行

納入日程行画面の納入日程行を参照するには、この画面を表示する代わりに、明細画面から納入日程行のタブページにジャンプして行うことができます。

(または、納入日程行テーブルの下にある拡大鏡をダブルクリックすることでも、同様の画面遷移になります。) この画面には、 1つの納入日程行に対する詳細情報が表示されます。

・分納契約

異なる納入日程計画のリリースタイプ (納入日程予測、ジャストインタイム納入日程、納入日程計画) を持つ分納契約リリースを、

1つの分納契約明細に、最大で3つまで割り当てることができます。各納入日程は、分納契約リリース (リリースヘッダ) の一般データと、納入日程内の納入日程行一覧から構成されます。

分納契約の明細には納入日程行がないので、他のタイプの販売伝票と違い、納入日程行に対するタブページは存在しません。

納入日程予測、ジャストインタイム納入日程、および納入日程計画に対するタブページがあります。これらのタブページは、分納契約タイプとは関係なく表示されます。

ページには現行の納入日程の概要が、ページ上部には納入日程ヘッダデータ、ページ下部には納入日程の納入日程行の一覧というように表示されます。

納入日程ヘッダ (納入日程予測およびジャストインタイム納入日程の場合のみ) および、納入日程行のいずれかのアイコンをクリックしても、詳細画面に遷移することができます。

メニューの補足を選択すると、出力画面などを含む他画面を照会することができます。

■従属画面によるデータの簡易入力

伝票データを素早く効率的に入力するには、受注ヘッダおよび明細に関する全ての重要な詳細データを直ちに入力し、それを一目で確認できることが重要です。

そのため、販売および明細詳細タブページが拡張されています。これらのタブページを使用し、ヘッダおよび明細についての詳細データを複写することができます。

従属画面では、ヘッダおよび明細に関する詳細データの全てを利用することができます。

SAP標準では、各項目を選択し、これらの従属画面に値を入力することができます。

なお、トランザクションバリアントの使用によって、従属画面にさらに詳細に項目を入力する、あるいは不要な項目を削除することができます。

これにより、ヘッダデータに対する入力領域の大きさや、個別に表示したい項目等を定義することができます。従属画面上の特定数の項目から、この画面領域に対するスクロールバーが自動的に作成されます。

トランザクションバリアントに対して、個別の受注タイプを割り当てることができます。

■ナビゲーション

メニューバーのジャンプを選択すると、概要画面、ヘッダ画面、明細画面間を素早く切り替えることができます。

操作の例として、概要画面からジャンプ → 明細 → 出荷を選択すると、明細画面に到達しますが、前面には出荷のタブページが自動的に表示されます。

アイコンによるナビゲーションとは対照的に、メニュー上のジャンプを使用すると、表示したいタブページを正確に指定することができます。

ダブルクリックで詳細画面に切り替えることができる領域は、強調表示されます。

これらの領域は、関連するオブジェクト上にカーソルを合わせた場合、そのカーソルが変形して表示されます。カーソルが変形したところでダブルクリックすると、

以下のオブジェクトに関する詳細情報が販売伝票処理時に呼び出されます。

・受注先または出荷先

受注先、または出荷先をダブルクリックすると、ヘッダの取引先タブページが表示されます。

・購買発注データまたは得意先発注番号

購買発注データ、または得意先発注番号をダブルクリックすると、ヘッダの購買発注データタブページが表示されます。

4.販売伝票の共通機能

ここでは、各販売伝票タイプ共通の処理の一部を紹介します。

■販売サマリ

必要な得意先の情報に関する迅速なアクセスを提供することで、販売サマリによるすべてのプリセールス活動の準備および最適なカスタマケアの提供を実現できます。

■販売伝票の削除

後続の伝票がない場合にのみ、販売伝票全体を削除することができます。

■販売伝票の明細削除

後続の伝票がない場合にのみ、販売伝票の個別明細を削除することができます。例えば、明細の出荷処理がすでに行われている場合、販売伝票の明細を削除することはできません。

■受注伝票明細の拒否

拒否理由は、 1つまたは複数の明細に入力することができます。これらの明細は、後続伝票にコピーされなくなります。

■受注先の変更

間違って入力した場合などのため、販売伝票を入力した後に、その伝票に割り当てられている受注先を変更することができます。

 

今回はSDモジュールのうち、販売伝票に関してお話させていただきました。

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