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「SAPに集約されたデータの活用方法」NO.1 SAP ODataで何ができる?概要や利用するメリットと利用イメージを解説

1.はじめに

SAP ODataと呼ばれるデータの規格があります。世界的に利用されているODataを採用したもので、SAP間のデータ連携を高速化するものです。積極的に利用することで、データ連携やデータ活用のコストを最小限に抑えられます。

ただ、重要な技術ではあるものの、テクニカルな部分が多く理解されていないのが事実です。今回はぜひとも活用を視野に入れてもらいたいSAP ODataについて解説します。

2.SAP ODataの概要

SAP ODataといわれても理解できていない人は多いでしょう。耳にしたことがない人もいるかもしれません。まずはSAP ODataの概要について解説します。

2-1.SAP ODataとは

ODataとは、Microsoft社が策定したREST APIの標準プロトコルで、HTTPを使用してWEBサーバー等とブラウザ等でデータのやりとりをするための規格です。SAPでは、ODataを利用してSAP FioriやSAP Gatewayなどのアプリケーションを開発することができます。

 

後ほど解説しますが、ODataを活用することでスムーズなデータ連携を実現できます。データ連携に関する開発コストを下げるための仕組みであるため、この機会に理解しておきましょう。

2-2.ODataを理解するために重要なREST

ODataとは、OASISという標準化団体により仕様策定されたRESTベースのWeb標準仕様です。ODataは、データを作成および消費するための標準プロトコルで、作成、読み取り、更新、削除 (CRUD) 操作のための Representational State Transfer (REST) に基づいています。ODataはMicrosoft主導で策定されたものですが、ISOでも標準化されています。

 

また、ODataには以下のようなメリットがあり、これによってSAPに採用されています。

 

  • URIを使ってデータを読み書きできる
  • 言語に依存せずに利用できる
  • JSONまたはXML形式でレスポンスを返す
  • RESTful Web サービスを使用してデータを操作できる
  • 異なるデータソースに対して統一的な方法でデータを公開・取得できる

2-3.ODataの構造

ODataは、データ構造をmetadataとして記述し、Entity TypeやEntity Setなどの要素で構成されます。ODataは、データに対してフィルタやソートなどの操作ができる規格です。なお、ODataの構造について表でまとめると、以下のようになります。

SAP ODataを利用するにあたって、このような構造は重要となるため、こちらも理解しておくべきです。

3.SAP ODataを活用するメリット

上記でSAP ODataがどのようなものであるのか解説しました。続いては具体的にSAP ODataを利用するとどのようなメリットが有るのか解説します。

3-1.共通の規格でデータをやり取りできる

ODataはHTTPを使用してWEBサーバー等とブラウザ等でデータのやりとりをするための手順などを定めた規格です。そのため、SAP Fioriなどのアプリケーションでは、ODataを使ってCRUD処理を簡単に実装できます。

 

一般的にこのようなデータ処理を実装するためには、複数のアプリケーション間でデータの仕様を理解しなければなりません。時には時間を掛けて理解したり、実装方法を検討したりすることが求められます。しかし、SAP ODataならばそのような手間は発生せず、理解のあるエンジニアならばスムーズにデータ活用へと進められるのです。

3-2.開発効率を高められる

SAP ODataは、SAP Cloud PlatformやSAP ERPなどのシステムとRESTfulなインタフェースでやりとりできるデータプロトコルです。SAP ODataを使うと、データの取得や更新などの処理を簡単に実装でき、開発効率を高められます。

 

ただ、開発効率を高められるのは、あくまでも設計や実装に関する部分です。SAPの利用用途は多岐にわたるため、データ連携やデータ活用の目的と要件は別途検討しておくことが求められます。

 

とはいえ、SAPのユーザーがそれらについて検討することは難しいでしょう。「このデータを連携してAシステムとBアプリケーションで活用できるのか」などと疑問を持っても不思議ではありません。そのため、必要に応じてSAPコンサルタントなどへ相談し、プロのアドバイスを受けることが重要です。

4.SAP ODataの導入イメージ

続いては、具体的にSAP ODataを活用するとどのようなデータ連携や活用が実現できるのか解説します。

 

今回は例として在庫管理や生産計画などの業務プロセスを実行することを考えてみます。この場合、SAP ODataを使用してSAP Cloud PlatformからSAP ERPなどのシステムにアクセスが可能です。また、アクセスすることでデータのやり取りが可能となるため、在庫や生産に関するデータを取得したり、更新したりすることもできます。さらに、在庫計画や需要予測などの機能も利用可能です。

 

今まではこれらのデータについてスムーズな連携ができない状況でした。しかし、SAP ODataを活用することでシステム間アクセスが容易になり、結果としてデータ活用もしやすくなっているのです。

5.SAP ODataが適さない場面もある

解説したとおりSAP ODataにはメリットがあり、実際に利用するイメージを持ってもらえたはずです。ただ、SAP ODataにもデメリットがあるため、データの取得や更新などの処理を実装できるといえども適さない場面があります。

 

例えば、 SAP ODataはSAPシステムとの連携に特化しているため、他のシステムとの連携には不向きです。何かしら周辺システムとの連携を考えているならば別の手法を検討した方が良いでしょう。ただ、フルスクラッチのシステムでSAP ODataに対応させるならば、この限りではありません。

 

また、 SAP ODataはデータモデルやメタデータを定義しなければ利用不可能です。ただ、これらの定義はSAP Gateway Service Builderという専用のツールで対応することが求められます。このツールはSAP Netweaver Gatewayに含まれているものであるため、エンジニアや運用担当者の智識によっては活用しにくいでしょう。この場合も、あえてSAP ODataを利用する必要がないと考えられます。

 

他にも、SAP ODataの構文はODataプロトコルに準拠しているため、一般的なプログラミング言語と仕様が異なることはデメリットです。エンジニアはODataプロトコルを改めて学習する必要があるため、初回はコストが生じてしまいます。

6.まとめ

SAPのデータ連携やデータ活用に利用できるSAP ODataについて解説しました。決まりきった規格であるため、知らないならばOdataについて理解するしかありません。共通の規格であり習得すると役立ちますが、そこまでには一定のコストが生じます。

 

ただ、習得してしまえば共通の規格でデータ連携ができるため、スムーズなデータの活用を実現可能です。エンジニアは短期間で実装できるようになり、ユーザーもデータ活用のイメージを持ちやすくなります。OData自体はSAP以外でも採用されている規格であるため、習得しておいて損はないでしょう。

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