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SAP ERPに関する技術を学ぶには?

はじめに

皆さんは、SAP ERPに関する技術的な知識をどのように身に着けてきたでしょうか。また、これからSAP界隈でキャリアを積んでいきたいと考えている新人の方は、どこから知識を得ようとしているでしょうか。今回は、意外と難しいSAP ERPに関する技術の学び方について解説します。

 

 

 

1.実はソースが少ないSAP ERPの知識

SAP ERPは、ほかの分野に比べると技術的な情報がオープンになっていません。現在はコンサルタント・エンジニア経験者が個人ブログでさまざまな情報を公開していますが、ほんの数年前までは、プロジェクトに参加する以外の方法としてアカデミーと公式ヘルプぐらいしかソースがありませんでした。また、現在ネット上で入手可能な情報も、一定以上の経験を積んだ方でなければ理解することは難しいものばかりです。

 

したがってSAP ERPの技術を学ぶ方法としては、

 

・プロジェクトにアサインされたのち、先輩からOJTで学ぶ

・SIerやコンサルティングファームの初期研修で学ぶ

・SAPアカデミーで学ぶ

 

という3つが王道だと思います。本来はSAPアカデミーが最も効率よく学べる場ですが、高額な講習費用を会社が負担してくれるとは限りません。また、SAPアカデミーで学ぶ知識は、モジュールの標準機能に関するものです。したがって、標準機能をスタンダードに使う分には非常に役立つのですが、アドオン開発や細かなチューニング(Exit関連や権限の制御など)に関しては、実務寄りとは言えない場合があります。そもそもアカデミーは認定コンサルタント資格を取得するために通う方が多いので、どうしても入門的な知識の吸収に終始してしまうのです。

 

ということで、SAPアカデミーに通う方ができない方や、すでにアドオン開発をはじめとした実務よりの知識を得たい方は、OJTで学ぶ方法が中心になるでしょう。しかしそのOJTも限界があります。先輩はいつも余裕があるわけではありませんし、実際のプロジェクトは学びの場ではなく「アウトプットの場」ですよね。そのため、自分なりに情報ソースを確保して、時間を見つけながら技術を学んでいくほかない、というのが実情だと思います。

 

 

 

2.SAP ERPの技術を学ぶためのソース

では、実際にSAP ERPの技術を学ぶためのソースについて整理してみましょう。ここでは、SAPアカデミー以外のソースについて紹介します。

 

 

2-1.書籍

SAP ERPにおいても、ほかの分野と同じように書籍で技術を学ぶことができます。例えば、SAP公式の解説書として有名な「ABAPオブジェクト公式リファレンス」があります。いわゆるABAPer向けの公式リファレンスなのですが、アドオン設計時に必要とされるABAPの技術仕様を知れることから、SEやコンサルタントでも熟読される方がいるようです。ただし、初版が2003年とかなり古く、内容もECC6.0に準拠したものなので、最新の仕様ではない点に注意しておきましょう。

 

S/4 HANAに対応した書籍としてはアレグス株式会社から出版されている「SAP ABAPプログラミング入門」があります。こちらは初版が2020年と比較的新しく、メインターゲットはECC6.0であるものの、S/4 HANAにも準対応とされていいます。

 

さらに、ABAPerの領域から脱して導入・運用に手を広げたい方は、本書の姉妹書である「図解入門 よくわかる最新 SAPの導入と運用」がおすすめです。図を用いてSAP ERPの全体像を解説しているので、SEやコンサルタントとしてキャリアを積んでいきたい方はぜひ一度目を通してみてください。

 

 

2-2.SAP Support Portal

SAP社がユーザー向けに提供しているポータルサイトです。かなり有名なサイトなのですが、「存在は知っているが使ったことがない」という方が少なくありません。SAP Support Portalでは技術情報(KBA)の検索はもちろんのこと、SAP公式のスペシャリストに対して問い合わせを行うこともできます。標準仕様の細かい挙動などに関する質問は、この問い合わせ機能を使用すると解決できるかもしれません。

 

 

2-3.動画学習コンテンツ

ここ数年で登場した学び方ですが、SAP社公式の動画学習コンテンツ「SAP Learning Hub」も活用したいところです。SAP Learning Hubは、ある程度のITリテラシーがある方を対象としているため、初歩的なITスキルの解説はありません。また、SAPの基礎知識や会計的な知識があると、内容を理解しやすいと思います。端的に言えば、「アカデミーの動画版」といった内容で、費用もそれなり(年間356000円ほど)です。しかし、アカデミーの費用と比較すると格安といって良いレベルですから、個人負担でも学ぶ価値はありそうです。ちなみにSAP Learning Hubでは、以下4つの機能(サービス)を利用できます。

 

・Learning Content

Learning Contentは、あらかじめ用意されたコンテンツ(E-bookやE-learning、Handbookなど)を利用できるサービスですね。キーワード単位で資料検索ができるので、気になる技術やソリューションを独自に掘り下げて学習したい場合に便利です。また、資料のダウンロード機能も提供されています。

 

・Learning Rooms

Learning Roomsは、「仮想空間上で他者と交流できるサービス」です。SAPの専門家や他の購入者との交流が可能で、チャットルームのような仮想空間に入室して質疑応答などを行うことができます。また、分野ごとに専門家(モデレーター)が在籍しているため、リアルタイムで分かりやすい解説を受けることが可能です。標準言語が英語になるため、ある程度の英語力は必要ですが、双方向型の学習コンテンツと考えれば利用してみる価値はありそうです。

 

・Learning Journeys

Learning Journeysは、学習フローを示してくれるサービスです。例えばSAP認定コンサルタントの資格取得を目指したいときに、どの分野から学習すべきかなどを示してくれます。また、フローの中にマウスを合わせると、必要な学習時間やコンテンツが表示されるため、効率よく学習したい方にはとても便利なサービスです。

 

・SAP Learning System Access

SAP Learning System Accessは、いわゆる「実機環境」を提供してくれるサービスです。自宅にSAP環境を構築するのはほぼ不可能ですし、会社内に設置するにしても設定やデータの準備にはコストがかかりますよね。しかし、SAP Learning System Accessを活用すれば、容易にハンズオン環境が提供されるため、実際にトランザクションコードを入力しながら技術を学ぶことができます。450以上のコースが酔いされていますが、利用時間に応じて事前に費用を払う必要があることに注意しておきましょう。

 

 

 

3.さまざまなプロジェクトを経験することが近道

以上、SAP ERPを学ぶための方法を3つ紹介してきました。特におすすめは動画学習コンテンツサービスですね。実機を触りながら好きな時間に学習できるのは非常に魅力的です。

 

もっとも、これら3つの方法をフルに活用したとしても、SAP人材としてのキャリアが保証されるわけではありません。自分の価値を挙げるための最も良い方法は「さまざまなプロジェクトを経験すること」です。ここで紹介した3つの方法は、あくまでもプロジェクトに参画する準備や、参画中の学習コストを下げるために有効です。しかし、外部から評価されるためにはプロジェクトの数をこなす必要がありますし、実戦でなければ身につかない技術も沢山あります。

 

もし、自己研鑽に限界を感じているのであれば、SAP関連人材と企業をつなぐサービスの活用も検討してみましょう。

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