トップ > 技術コラムNews > SAP技術情報 > SAPエンジニアがプロジェクトに潰されないための3か条

更新日 

SAPエンジニアがプロジェクトに潰されないための3か条

はじめに

SAP ERPに関連するプロジェクトは、IT業界の中でも激務になりがちです。特にカットオーバー直前や移行フェーズなどでは、小さなミスや不具合もつぶさなくてはならず、心身をすり減らす機会が増えてくると思います。こうした状況の中で、言い方は悪いのですが「潰れてしまう」コンサルタント/エンジニアの方が少なからずいるようです。そこで、SAP人材がプロジェクトにつぶされないための秘訣をまとめてみました。

 

 

1.なぜSAP人材はつぶれてしまうのか

ECC6.0が全盛だった時代、SAP ERPの導入プロジェクトがスムーズに進むことは稀でした。要件定義などの上流工程は比較的ゆるやかなのですが、開発・テスト・移行とフェーズが進むにしたがって激務度が増し、それについていけずに心身をすり減らす人材が大勢いたのです。具体的には、いつまでもコアな業務に携われずにキャリアアップをあきらめてしまったり、SAP ERP業界から離脱してしまったりする人材がいます。

 

こうした状況の背景には、日本のIT業界特有の「システムを業務に合わせる」という慣習が存在していたことは間違いありません。しかし、それ以上に突貫工事的なアドオン開発のやり方にも問題があったと思います。

 

例えば、

 

・要件定義フェーズで固まったアドオン画面の項目が、顧客要望を受けて開発途中で変更になり、設計とテストがやり直しになる

・SAPの標準仕様とアドオン汎用モジュールの境界線で起こった不具合が解決されず、未解決のまま埋もれてしまう

・人材の入れ替わりが激しいため、未解決の不具合がそのまま後任者に引き継がれてしまい、想定以上の負荷がかかる

 

といった具合に、アドオン開発は非常に負荷が高い業務であったと言わざるを得ません。標準機能を活用してSAP ERP本体の信頼性は担保しつつ、アドオン開発で自由度の高い実装を行う。一見、とても良くできた開発手法ですが、現実は標準機能と顧客要求の板挟みになって苦しむ人材が多いのではないでしょうか。パッケージ製品を使用しているにも関わらず、やっていることはスクラッチ開発と大差がない、という状況がSAP人材の心身を蝕む原因になっていたと考えられます。

 

 

 

2.成長する人材と退場する人材の差は?

しかし、SAP ERP業界では激務を乗り越えてさらなる成長を遂げる人材が大勢います。同じ状況下でも成長する人材と潰れてしまう人材がいるため、両者にどのような違いがあるのかを整理してみましょう。

 

 

2-1.つぶれてしまう人材の特徴

潰れてしまう人材の多くは、以下3つの特徴を持っています。

 

・自己の責任範囲に対しての認識がぼんやりしている

・自分の力量を超えた仕事を振られたとき、NOと言えない

・メンターが存在しない

 

能力や経験、スキルといった面でみれば、潰れてしまう人材と成長する人材に大きな差はありません。しかし、つぶれてしまう人材は、責任範囲の考え方が非常に曖昧で「依頼された仕事はすべて引き受けよう」と考えがちです。心意気は非常に立派なのですが、実際のプロジェクトでは次々に発生するタスクとの闘いです。それぞれの責任範囲の中で迅速かつ確実にタスクをこなしていくことが求められます。したがって、責任範囲が明確でないまま仕事を引き受けると、本来なら追わなくて良い責任を次々と引き受けることになり、いつかは自分のキャパシティを超えた波が襲ってきます。

 

また、プロジェクトの中でメンターと呼べる存在を持たないこともリスクですね。メンターを持たない人材は、自分の力量を超えた仕事を振られたとき、独力での解決しか方法がありません。もちろん、独力で解決しても良いのですが、大抵の場合は時間的なロスが大きくなります。メンターがいれば、「このBAPIをモデルにして汎用モジュールを作ってみたら」などと、解決までの時間を短くしてくれるアドバイスが受けられるからです。時間的なロスが積み重なり、いずれはキャパシティが崩壊してしまうリスクを減らすために、メンターは必ず確保しておきたいところ。

 

ちなみにメンターとは、「指導者」「助言者」を意味する言葉ですが、これは何も同じ会社の人間である必要はないのです。そもそもSAP ERP関連のプロジェクトは、複数のSIerや開発会社から寄せ集められた人材で構成されますから、所属企業が違う人間と一緒に過ごす時間が長くなります。なので、所属企業にこだわらず「自分よりも経験・知識が豊富な人材」をメンターとする心構えを持っておきましょう。

 

 

2-2.成長する人材の特徴

逆に成長する人材の特徴としては、

 

・責任範囲の認識が明確で、やるべきことに対してリソースを集中できる

・自分の力量を超えた仕事は断るか、メンターに指示を仰ぐ

・どのプロジェクトでもメンターと呼べる存在を必ず確保する

 

といった具合に「線引き」や「適切な依存」が得意ということが挙げられます。よく「スキルを伸ばしたければさまざまなプロジェクトを経験することが大事」と言われますが、そもそもさまざまなプロジェクトを渡り歩くには、つぶされないことが大事ですよね。上記3つの事柄を徹底することで、激務の中でもきっちり自分を守り、成長につなげていけるわけです。

 

 

 

3.良質な経験を積むことも大切

プロジェクトにつぶされないためには、もうひとつ大切なことがあります。それは、「できるだけ良質な経験を積み、基礎体力(スキル、技術力)を高めること」です。余裕がなく常に火の車状態のプロジェクトでは、仕事量は多くても身になる経験が少ないもの。端的に言えば雑務が多く、雑務をこなした者が評価される傾向にあります。こうしたプロジェクトに長く在籍していると、どの現場でも通用する汎用的なスキルを伸ばしにくいのです。

 

厳しい顧客要求を満たすためには、SAP ERPに関する深い知識と技術力が必要ですが、これらは雑務では磨かれません。したがって、自身の基礎体力を高めるためにも、腰を据えて専門的な業務に携われる良質なプロジェクトを経験しておきたいところです。

 

会社員の場合は自分が参画するプロジェクトは選べませんが、フリーランスであればある程度は仕事を選ぶことができます。この「仕事を選べる」という点が、自身の基礎体力を高めるためには非常に重要なのです。フリーランスへの転身を手放しで推奨するわけではありません。もし、会社員としてSAP ERPに携わっていて、良いメンターや仕事に恵まれているのなら、そのままで問題ないでしょう。

 

しかし、常に余裕がないプロジェクトで、下流工程の一部や資料整理など雑務ばかりをこなしている状況であれば、「仕事を選べる立場」へ転ずることも視野にいれてみてください。

 

フリーランスは確かに会社員に比べると不安定な働き方です。しかし、SAP ERP界隈は大勢のフリーランスがいることで成立しています。つまり、フリーランス向けの案件が豊富なのです。

 

プロジェクトに潰されない人材になるために、ぜひ一度立ち止まって、自身のキャリアパスを見直してみてはいかがでしょうか。

 

LINEで送る
Pocket

SAP案件紹介や独立前相談

ほとんどのSAPコンサルタントの方は、独立すると、まずは当社へご登録いただいております。

60秒で無料登録

案件情報やSAP技術情報を
気軽に受け取る

メルマガ登録

つの情報を送るだけで案件紹介へ

    御氏名
    メールアドレス
    電話番号
    生年月日

    つの情報を送るだけで案件紹介へ

      御氏名
      メールアドレス
      電話番号
      生年月日