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SAPでのDXはクラウドベースが重要!ソリューション例や検討ポイントを解説

はじめに

SAPは、ERP(Enterprise Resource Planning)ソフトウェアソリューションとして知られており、多くの企業がビジネスプロセスの自動化と効率化のために活用しています。最近では、SAPがクラウドDX(デジタルトランスフォーメーション)にも注力しており、よりスケーラブルでフレキシブルなSaaS(Software as a Service)モデルを提供しています。以下に、SAPを活用したクラウドDXの重要な側面について詳しく説明します。

 

 

1.SAP社が提供するクラウドサービスの例

SAP社はDXを支援するために、多くのクラウドサービスを提供しています。具体的に、どのようなサービスがあるのか、簡単に例を挙げると以下のとおりです。

 

 

2.SAP Cloud Platform

SAP Cloud Platformは、SAPが提供するパブリッククラウドベースのPaaS(Platform as a Service)ソリューションです。SAP Cloud Platformを使用することで、エンジニアは独自のアプリケーションを構築し、既存のSAPシステムを統合できます。また、SAP Cloud Platformは「ビジネスプロセスの自動化」「AIの活用」「アプリケーションの拡張」などのサービスを含んでいるため、より良い環境づくりを支援してくれます。

 

 

3.SAP S/4HANA Cloud

SAP S/4HANA Cloudは、SAPのクラウドベースのERPソリューションです。従来のSAPはオンプレミスで利用するものが多くありましたが、時代の変化とともにクラウドで利用できるようになっています。それらの中でも、SAP社がサービスとして提供しているSAPが「SAP S/4HANA Cloud」です。

 

あらかじめ用意された機能を「利用する」「利用しない」と決定するだけで、簡単にSAPを導入できます。今までのSAPは、要件定義に時間を要しましたが、これを簡略化できるように考えられています。これにより、SAPを導入して、クラウドサービスによるDXを実現できるようになりました。コストも抑えられるため、中小企業でもDXを実現しやすくなっています。

 

 

4.SAP Ariba

SAP Aribaとは、クラウドサービスとして提供される企業間取引システムです。電子的な調達や契約、購買などを管理できるものであり、購買業務の効率化に役立ちます。これらの業務は、紙が利用されていることも多いですが、SAP Aribaを利用することでそれらを廃止してDXを促進可能です。

 

なお、SAP Aribaには「Ariba Network」と呼ばれる、サプライヤーとバイヤーを接続するネットワークがあります。同じプラットフォームで、これらが取引することによって、企業間取引をより効率化する仕組みです。これもDXを推進するために重要なポイントであるため、抑えておきましょう。

 

 

5.SAP SuccessFactors

SAP SuccessFactorsは、SAPが提供する人材情報や人事関連の統合クラウドシステムです。人事に関する情報や業務であれば、SAP SuccessFactorsだけで完結できるようになっています。業務毎に、複数のシステムを導入する必要はありません。

 

クラウドシステムとなっているため、人事はもちろん、従業員や経営者もSAP SuccessFactorsを利用できます。そのため、必要な情報をいち早く取得できることが特徴です。情報が可視化されるため、それぞれがやるべきことを、素早くキャッチできます。

 

 

6.SAP Concur

SAP Concurは、出張・経費精算に特化したSAPのクラウドサービスです。精算業務は、経理の中でも負担がかかるものですが、SAP ConcurによるDXで働き方を大きく改善できます。

 

例えば、SAP Concurは出張や経費の精算に必要な証票を電子的に管理できます。今までは、印刷された領収書を送付してもらう必要がありましたが、SAP Concurならば、その必要はありません。すべて、デジタルに管理できるようになっています。

 

また、業務の多くは自動化され、担当者は内容の確認を中心とした業務に移行が可能です。人力から自動になり、DXの目的を達成する大きな手助けとなるクラウドサービスなのです。

 

 

7.クラウドベースのSAPソリューションを導入するメリット

SAPのクラウドDXソリューションを検討することで、企業はビジネスプロセスを効率化できるなどのメリットがあります。具体的なメリットについて、代表例を挙げると以下のとおりです。

 

 

8.コスト削減

クラウドベースのSAPソリューションを採用することで、コストの削減を実現できます。オンプレミスのシステムはどうしてもコストがかかりますが、クラウドベースならば、この問題を解決できるのです。

 

例えば、オンプレミスでSAPソリューションを導入すると、サーバーの維持などを意識しなければなりません。運用コストがかかり、運用するための人員も求められます。人的なコストも含めて、負担が大きくなってしまうのです。

 

しかし、クラウドベースならば、このようなコストを意識する必要がありません。少ない予算で、DXを実現できるようになるのです。コストを抑えられるという側面で、非常に大きな意味があります。

 

 

9.ビジネスプロセスの自動化と効率化

SAPのクラウドソリューションは、幅広い業務に対して提供されています。また、これらの業務をクラウド上で統合し、自動化するためのソリューションも用意されている状況です。つまり、クラウドベースでSAPのソリューションを導入すれば、簡単に幅広い業務の自動化ができます。

 

また、SAPのソリューション間であれば、簡単に情報連携が可能です。これによって、効率よく業務をこなせるようになり、これもDXに役立てられます。生産性の向上やビジネスの成長などが期待できるでしょう。

 

ただ、ビジネスプロセスを適切に自動化・効率化するためには、現場の業務を正しく理解することが重要です。誤った理解をもとに、SAPの業務を設定してしまうと、DXの失敗に繋がりかねません。

 

 

10.グローバルなビジネスのサポート

多くのSAPソリューションは、グローバルなビジネスをサポートしています。現在は、世界を相手にしている企業も増えてきているため、SAPを導入する大きなメリットです。

 

例えば、SAPのクラウドソリューションは、多言語に対応しています。日本語や英語はもちろん、その他の言語でも利用可能です。これによって、海外展開や幅広い人材の採用などが進めやすくなり、DXを加速してくれます。

 

オンプレミスでシステムを導入すると、このような言語の切り替えも手間がかかります。しかし、クラウドベースのソリューションならば、簡単に変更できることが多く、時代の変化に対応しやすいのです。

 

他にも、世界標準の機能が提供されるなどのメリットもあります。例えば、日本と海外では会計のルールが異なるため、それを踏まえた状況を作成しなければなりません。そのような部分も、クラウドサービスとして最新のルールが提供され、ユーザ側は特に意識しなくて済むのです。

 

 

11.セキュリティの担保

一般的にクラウドソリューションは、セキュリティが担保された状態で提供されています。多くの人が利用するサービスであるため、最善の状況で提供され、SAPソリューションについても例外ではありません。

 

最初からセキュリティが保たれているため、利用者はこの部分を意識することなく利用できます。オンプレミスでDXを実現しようとすると、セキュリティ設計が大きな負担です。しかし、クラウドベースのソリューションならばこの部分が不要となり、DXへのハードルが大きく下がります。

 

もちろん、利用にあたってはユーザが意識しなければならないセキュリティもあります。例えば、パスワードの運用などは、ユーザが意識しなければなりません。とはいえ、最低限の意識だけで、セキュリティを担保できることはメリットでしょう。

 

 

12.SAPによるクラウドDXを検討する際の注意点

上記で紹介したとおり、SMEのクラウドソリューションを導入すると、企業はビジネスプロセスの効率化を実現できます。また、自動化にも対応できるようになり、DXを一気に促進可能です。ただ、DXを検討する際には注意点があるため、これらについても理解を深めておきましょう。

 

 

13.導入コスト

クラウドベースのSAPソリューションを導入する際は、導入コストに注意が必要です。オンプレミスよりは低価格ですが、世界中で利用されている高機能なサービスであるため、まとまった費用が求められます。格安で導入できるサービスではありません。

 

まず、SAPと契約するためのコストが求められます。クラウドサービスを利用する際は、初期費用や月額利用料の支払いが必要です。契約によっては、高額なコストになりかねないため、事前に見積もりしてもらうようにしましょう。

 

また、状況によっては、クラウドソリューションのカスタマイズコストやトレーニングコストが必要です。特に、DXの一環で初めてSAPを導入するならば、トレーニングが必要となるでしょう。これに関するコストは、意外にも見落とされがちであるため、注意しなければなりません。

 

 

14.データの移行

現時点で基幹システムを導入してるならば、データの移行が必要です。DXとしてSAPを導入する場合、多くのデータを移行することになるでしょう。

 

一般的にデータの移行は、システムの導入でネックになりやすい部分です。適切な形式に変換する必要があるなど、設計に時間を要してしまいます。これは、クラウドベースのSAPソリューションを利用する場合も同様です。SAPの仕様に合わせて、適切なデータを準備しなければなりません。

 

なお、準備にはコストと時間がかかるケースが大半です。見切り発車で進めると、移行直前にトラブルが起きる可能性が高いため、できるだけ早く丁寧な検証を始めておきましょう。

 

 

15.カスタマイズ

SAPのソリューションは、多くのユーザが必要とする機能を標準で兼ね備えています。そのため、一般的な業務であれば、契約するだけでそのまま利用できるでしょう。それがクラウドベースのソリューションを利用する魅力でもあります。

 

しかし、現実としてはそのまま利用することは難しく、カスタマイズが求められることがあるでしょう。独自の業務が存在する場合は、クラウドベースの標準ソリューションだけでは解決できないのです。この場合は、必要に応じて自社に合わせてもらうしかありません。

 

カスタマイズが必要とはなりますが、クラウドソリューションでは対応してもらえないことがあります。提供されている、SAPのソリューションに合わせるしかないのです。この場合は、ワークアラウンドを検討して、カスタマイズの回避が求められます。

 

 

16.セキュリティ

上記で解説したとおり、SAPのソリューションとしてはセキュリティが保たれています。自分たちでセキュリティ設計しなくとも、そのまま利用すれば安全な状況なのです。

 

ただ、DXの一環でSAPを導入するならば、幅広いセキュリティを意識しなければなりません。例えば、クラウドベースのソリューションに接続する、パソコンやモバイル端末についてのセキュリティ設計が必要です。ウイルスに感染した端末が接続してくると、クラウドに保存されているデータが、知らない間に流出してしまうかもしれません。

 

これは一例ですが、DXを推進する際は全社的なセキュリティ設計が求められます。専門家でなければ対応が難しい部分があるため、アドバイスをもらいながら対応することが理想的です。

 

 

まとめ

SAPにはクラウドベースのソリューションが多く、DXに役立つことを解説しました。今回は主要なソリューションを紹介しましたが、他にも数多くのソリューションがあります。組み合わせることで、自社に適したDXを実現できるでしょう。

 

ただ、SAPを軸としたDXは魅力的ですが、クラウドベースのソリューションでも注意点があります。例えば、コストやリスクについては、必ず理解しなければなりません。「クラウドベースならば導入しやすい」という部分だけに注目しないようにしましょう。

 

 

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