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会計管理の自動化で業務改善やコンプライアンス確保

はじめに

SAPを導入することによって、中小企業は幅広い業務を自動化できます。

SAPは自動化だけを想定したアプリケーション郡ではありませんが、適切なソリューションを組み合わせることで、業務の自動化が可能です。

 

幅広い業務の自動化に対応していますが、今回取り上げるのは会計関連の業務です。

具体的にどのような業務が自動化でき、中小企業へどのようなメリットをもたらしてくれるのか解説します。

 

 

 

1.SAPによる会計管理の自動化

SAPによる会計の自動化は多岐に渡ります。

具体的にどのような業務を自動化できるのか、事例を紹介します。

 

 

1-1.請求書処理の効率化

SAPを利用した会計処理によって、請求書の効率的な処理が可能です。

近年は請求書のデジタル化が進んでいますが、まだまだこれらを手動で処理するケースが見受けられます。

人間が作業に関与すると、誤りの原因となるため、無駄な作業を省く意味でも自動化で効率化するのです。

 

また、自動化によって適切な支払いが行われると、取引先との信頼関係を築けます。

企業間取引において、支払い遅延は非常に重要な問題です。

しかし、可能な限り自動化しておけば、支払い遅延も防げるようになります。

 

 

1-2.支払い管理の最適化

会計管理を自動化することによって、支払いの最適化が可能です。

期日までに支払い手続きを済ませることはもちろん、どの程度のお金が動くのか集計することなどもできます。自動化だけではなく、情報の収集も可能なのです。

 

支払いの遅延や過剰な支払いは、無駄な情報を増やす原因となりかねません。

また、内容によっては、全社のキャッシュフローに影響を及ぼすことが考えられます。

つまり、言うまでもなく避けるべきことなのです。

 

また、支払いが適切に行われているかは、銀行から融資を受ける際に重要視されます。

ルーズな経営でないことを示すためにも、SAPによる自動化は役立ってくれるのです。

 

 

1-3.財務報告の簡素化

財務報告に必要な作業は、SAPによって自動化できます。

財務部門に大きな負担がかかる作業ですが、自動化すれば大きく効率を高められるでしょう。

働き方改革にもつながる施策です。

 

SAPには、標準で財務報告に関わる機能が設けられています。

例えば、経営者が状況を把握するための資料や株主に提供するための資料です。

中小企業では、これらの資料作成が負担になりやすいですが、SAPを活用すれば簡単に効率化できます。

 

また、これらの機能は標準で用意されていますが、必要に応じてカスタマイズが可能です。

中小企業でも、特別な会計処理がある場合は、標準機能で対応できないかもしれません。

しかし、ある程度は設定できるため、それらもカバーして自動化できるのです。

 

 

 

2.業務改善の実現

SAPで会計処理を自動化することで、業務全体の効率化が期待できます。

会計部門の負担が軽減され、効率よく業務へ取り組めるようになるのです。

自動化によって、副次的な効果がどのように生み出されるのか解説します。

 

 

2-1.業務プロセスの効率化

会計処理を自動化することによって、業務プロセス全体の効率化が期待できます。

会計部門だけではなく、インボイスをやり取りする営業部門やライン部門にも影響を与えるのです。

会計部門以外を含めた、全社の業務プロセスが大きく変化するでしょう。

 

まず、中小企業がSAPを導入することで、必要な情報はSAPに集約できます。

それぞれの担当者が、複数のシステムを使う必要がなくなり、業務プロセスが改善します。

 

また、インボイスの内容を入力するなどの手作業を軽減できます。

このような作業自体が、手間のかかるものであるため、自動化によって効率化が可能です。

部分的に作業は残ってしまいますが、多くを自動化できるでしょう。

 

可能な限り自動化すれば、誤って処理することを回避できます。

このような意味合いでも、業務プロセスが効率化できるのです。

 

 

2-2.意思決定の高速化

会計管理を自動化することによって、効率よく情報収集ができます。

必要な情報は、SAPに集約されているため、これを確認するだけで良くなるからです。

特に現在のSAPは、リアルタイムに情報収集でき、意思決定の高速化に役立ちます。

 

また、各種ツールの中でも、SAPは情報分析ソリューションを包むものです。

中小企業では、こちらのソリューションを併用することで、会計情報をいち早く利用できます。

数値に基づいた意思決定となるため、失敗が少なくなるでしょう。

 

さらに、会計情報を素早く収集できれば、経営層は意思決定に注力できます。

効果的に企業運営ができるようになり、他社に対する優位性も確保できるでしょう。

 

 

 

3.コンプライアンス確保の重要性

SAPで会計処理を自動化すると、コンプライアンスの確保にもつながります。

中小企業でも、コンプライアンスの重要性が叫ばれているため、こちらについても理解を深めましょう。

 

 

3-1.内部統制の強化

「コンプライアンス」にはいくつもの解釈がありますが、内部統制が取れていることだと仮定します。

企業が業務を適切におこない、リスクを回避できている状況です。

例えば、法令遵守や個人情報の適切な管理、不正の防止などが該当します。

 

SAPがカバーできるのは、これらの中でも会計に関わる部分です。

SAPには、会計不正を防ぐための機能が用意されていて、これにより内部統制を図れます。

中小企業でも標準機能を活用するだけであり、負担は少ないものです。

 

また、これに自動化を加えることで、より確実な内部統制を実現できます。

人間の手が介入すると、不正が起きてしまう可能性がありますが、システムによる自動処理ならば、可能性がなくなるのです。

SAPを導入するだけではなく、自動化も採用することで、中小企業は内部統制をより強化できます。

 

 

3-2.法規制への適合

クラウドサービスのSAPを利用すれば、自動的に新機能がリリースされます。

これにより、確実な法規制対応が可能です。

 

もし、システムが法規制に対応しないと、会計上の誤りを含むかもしれません。

会計監査で指摘されてしまうと、大きな問題になってしまいます。

内容によっては、取引先からの信頼を失うこともあるくらいです。

言うまでもなく、このような状況は避けるべきであり、常に法規制を踏まえたシステムを利用しなければなりません。

 

SAPは基本的な法規制はもちろん、業界独自のルールなどもカバー可能です。

法令を遵守し、透明性の高い会計処理を実現するために、大きな効果を発揮してくれます。

 

 

 

4.SAP導入における注意点

会計業務を中心とした効率化やコンプライアンスの強化のためにSAPは役立ちます。

ただ、導入にあたっては注意点があるため、以下を認識しておきましょう。

 

 

4-1.導入費用と費用対効果

SAPを導入する際には、導入費用を意識しておくことが重要です。

規模の大きなシステムになりやすいため、まとまった費用が求められます。

クラウドサービスなど、中小企業が使いやすい状況は整っていますが、それでも注意しておきましょう。

 

特に中小企業では、高額な初期投資が負担になりかねません。

計画的に投資しないと、キャッシュフローに悪影響を与えてしまうでしょう。

会計処理を効率化するためにSAPを導入するはずが、むしろ逆効果になってしまいます。

このような状況は、避けなければなりません。

 

また、費用対効果や回収の期間についても検討が必要です。

投資効率が悪いのならば、SAPが魅力的でも見送った方が良いかもしれません。会計の自動化に係る部分を軸に、総合的な判断が必要です。

 

 

4-2.SAPサポート

SAPを導入すると、サポートが必要となります。

定期的に不具合が発見されるため、これを修正してもらうのです。

内容によっては、専門的な知識が求められてしまいます。

 

ただ、これが基本ではあるものの、現在は中小企業向けのクラウドサービスが提供されています。

こちらを利用すると、SAP社が自動的に不具合の修正などをしてくれるのです。

そのため、継続的なサポートについては、実質的に意識しなくてもよくなっています。

 

 

4-3.従業員のトレーニング

様々なアプリケーションの中でも、SAPは独自の考え方を持っています。

そのため、マニュアルを読むだけでは、使いこなせないでしょう。

最初は、専門家によるトレーニングが必要だと考えるべきです。

 

従業員をトレーニングしてもらうためには、コストの支払いが求められます。

また、初回のトレーニングが終わった後は、自力で他の従業員へトレーニングしなければなりません。

SAPに限った話ではないものの、会計部門を中心に、トレーニングの必要性を認識しておきましょう。

 

 

4-4.カスタマイズ

会計処理については、企業の都合で内容が変化する場合があります。

SAPの標準から外れる場合は、カスタマイズしなければなりません。

 

ただ、上記でも述べたとおり、カスタマイズはすべてに対応できるとは限らない状況です。

独自の業務については、可能な限り要望を踏まえてもらえるものの、叶わない可能性についても考慮しておきましょう。

 

現在は、SAPをカスタマイズして利用するのではなく、業務をSAPに合致させる考え方が基本です。

中小企業で、会計の業務プロセスを変更できる余地があるならば、なるべくSAPの標準に揃えた方が良いでしょう。

 

 

4-5.データのバックアップ

万が一に備えて、データのバックアップを検討しなければなりません。

SAPに会計データを集約すると、有事の際にすべてが失われる可能性があります。

会計処理の自動化など、実現されるメリットは大きいですが、リスクについての認識も重要です。

 

バックアップの取得については、SAPの構築方法に左右されます。

基本的には、SAPを導入する際のベンダーと設計しなければなりません。

SAPの停止によって、会計処理ができなくなるインパクトを考え、最終決定を下すようにしましょう。

 

 

 

まとめ

SAPを活用した、会計処理の自動化や自動化によるコンプライアンスの強化を解説しました。

一般的な会計処理は、業務フローが複雑かつ手作業が多いため、誤りを含んでしまうリスクがあります。

しかし、SAPを活用した自動化によって、この問題は解決に向かうでしょう。

 

また、会計処理の自動化を実現することで、業務フロー全体の改善が可能です。

会計部門が恩恵を受けるだけではなく、全社的に恩恵を受けられると表現しても過言ではありません。

 

ただ、SAPに会計処理を集約することは、システム停止などのリスクを伴います。

自動化によるメリットは大きなものですが、リスクとのバランスも考慮しましょう。

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