SAPのデータがAIをもっと便利に!ソリューションや活用のコツを解説
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【コラム監修者 プロフィール】
クラウドコンサルティング代表取締役 岸仲篤史
新卒でSAPジャパン株式会社に入社。
SAPジャパン在籍中にCOコンサルとして従事したことで、会計コンサルの面白さに目覚め、
大和証券SMBC株式会社 投資銀行部門、新日本有限責任監査法人、アビームコンサルティングにて、
一貫して約10年間、会計金融畑のプロフェッショナルファームにてキャリアを積む。
その後、2017年クラウドコンサルティング株式会社を設立し、SAPフリーランス向けSAP free lanceJobsを運営し、コラムの監修を手掛ける。
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はじめに
SAPは様々なソリューションにAIを導入するようになってきました。
2024年をAI元年と定義し、AIを活用したビジネスの効率化を推進しているのです。
まだまだ発展途上の技術ではありますが、実際にAIを活用し始めている企業も増えているのではないでしょうか?
SAPの業務にAIが導入されつつあるものの、まだまだ有効活用できていない事例も多く見受けられます。
その背景には、十分なデータを確保できていないことが挙げられるため、今回はAIの活用に向けたデータ収集などについて解説します。
SAPのAIソリューションは増加中
現在のSAPは、様々なソリューションにAIを組み合わせたり、AIを単独で活用したりするようになってきました。
例えば、以下のようなソリューションがAIと組み合わせられています。
・SAP Business AI
・SAP Foundation Model
・SAP Integrated Business Planning for Supply Chain
これらは一例であり、AI関連のソリューションは次々と登場している状況 です。
これからも 新しいソリューションが導入され、SAPユーザーはよりAIを活用しやすくなる でしょう。
SAPでAIを活用するためにはデータが重要
AIを含んだソリューションが登場しているものの、うまく使いこなせていないケースが多々見受けられます。
その大きな原因は、SAPに取り込むデータが不足していることです。
一般的にAIを活用するためには、十分なデータを取り込み、それを分析・学習させることが非常に重要です。
例えば、生産関連のAI業務を実現したいならば、生産データや納品データ、不良品の数など、可能な限り多くのデータをSAPに集約する必要があります。
多くの場合、データベースにはSAP HANAを利用していると考えられるため、このデータベースに必要な情報を全て記録します。
また、場合によってはBIツールなどを利用して、関連するシステムのデータを取り込むことも必要です。
基本的にはデータの量が多ければ多いほど、SAPのAIを活用しやすくなります。
SAPのAIを活用する事例と必要となるデータの例
続いては、SAPのAIにどのようなデータを組み合わせることで活用できるのか、その例を紹介します。
各種予測
AIの活用事例として代表的なものが「各種予測業務」です。
SAPに蓄積されたデータを活用することで、より正確な予測を立てられるようになります。
従来のように「経験」「直感・勘」に基づいた予測ではなく、データドリブンな予測が可能です。
例えば、生産計画を立てるために、製品の需要予測が可能です。
この場合、今までに販売された商品の実績や個数など売上や発注情報が求められます。
また、売上の背景となる情報である、顧客の数や規模などの情報もあると良いでしょう。
加えて、世の中のトレンドやSNSでの評判を数値化したものなど、SAPに保存されているデータ以外もあると多角的な予測・評価ができます。
文書作成
契約書など、さまざまな文書を作成する支援にSAPのAIが利用できます。
保存された資料を参考に学習して、新しい契約書や関連する資料を作成するのです。
最終的には法務的なチェックが必要にはなるものの、ドラフト版を作成する業務を大きく短縮できます。
このように文書作成が必要ならば、今までの契約書であるPDF・WordなどのファイルをSAPに取り込んでおく必要があります。
また、社内で実際に利用した契約書だけではなく、法務局や法律事務所などが公開しているテンプレートを取り込んでも良いでしょう。
理想的な文書を取り込んで学習させることで、手戻りの少ない新たな文書を作成できます。
データミスの検知
今までSAPに入力されたデータを学習して、ミスを検知するような使い方ができます。
特にSAPのユーザーが入力するときのようにバリデーションチェックできないデータに有用です。
例えば、先方が送付してきたデータを自動的に反映する状況などが挙げられます。
AIにフォーマットやそこに入力されるデータの傾向を学習させると、異常値と思われる場合にアラートを出すなどの機能の開発が可能です。
これにより異常値が連携されてしまうことによる、後続処理のエラーなどを未然に防げます。
SAPのAIを活用する際の注意点
これから AIを積極的に活用したいと考えるならば、以下のポイントを考慮するようにしましょう。
十分なデータ量を用意する
AIを活用するためには、SAPに十分なデータ量を確保することが重要です。
どうしてもAIの特性上、十分なデータから学習しないと能力を発揮できません。
少ないデータから学習すると、誤った判断を下してしまう可能性があります。
ただ、SAPは学習済の標準的なAIを提供しています。
そのため、もし最初の段階で十分なデータ量を確保できないならば、標準的なものから利用すると良いでしょう。
データを連携し、学習できる環境が整えば、さらに応用的な使い方へ切り替えればよいのです。
データの品質を担保する
データを大量に用意するだけではなく、それぞれの品質を担保することも重要です。
これの品質が悪いと、AI全体の品質が下がってしまいます。
例えば、データが重複していたり、同じ内容のデータが半角・全角の違いから別物だと判断されたりするなどです。
これらの事象が重なると、AIは誤った学習を進めてしまい、思うような結果を得られません。
AIへデータを活用するならば、連携するデータはクレンジングすることが非常に重要です。
これを怠ってしまうと、AIそのものが無駄になりかねないと表現しても過言ではないでしょう。
まとめ
AIが幅広いアプリケーションに取り入れられるようになり、SAPのソリューションも例外ではありません。
単独のソリューションも、ソリューションにAIを組み込んだものも登場しました。
これらを使いこなすためには、適切かつ大量のデータを用意して、AIに学習させることが重要です。
この点を認識できておらず、AIの活用に失敗する事例は多々あるため、まずはデータを集めるところからスタートしてみましょう。