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経費清算・請求特化のSAP Concurとは? SAP人材にとっての重要度は?

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コラム監修:佐京正則

 

大学卒業後、新卒で国内のベンチャー企業に入社。

その後、約11年間、外資系企業や国内のインフラ関連企業にてSAP ERPの導入、開発、運用までを経験。

経験モジュールはSD、MM、FI。

2015年よりライターとして活動を開始。

IT製品の導入にまつわる企業課題、エンタープライズIT製品に関するコンテンツの執筆、ホワイトペーパー作成などを手掛ける。

また、CRM/ERPベンダーに対して顧客導入事例の作成支援なども提供。

ビジネス課題と企業向けITが結びついたコンテンツを得意とする。

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はじめに

SAP関連のプロジェクトに携わっていると、経費精算や出張管理の領域で「SAP Concur(コンカー)」という名前を耳にする機会があると思います。

S/4 HANAへの移行が進むなか、Concurは「ERPと接続できる経費精算システムのスタンダード」として急速に存在感を強めています。

一般的に経費精算は、独自システムやExcelベースで処理されることが多く、入力や承認、会計との連携に手間がかかる領域でした。

こうした非効率を解消するために設計されたのがSAP Concurです。

 

本記事では、Concurの基本機能からERPとの関係性、さらにSAP人材にとっての重要性までを整理して解説していきます。

 

 

 

1.SAP Concurとは?基本機能と特徴

SAP Concurは、経費精算・出張管理・請求処理をクラウド上で実行するソリューションです。

もともとは米国発のクラウド企業「Concur Technologies」が開発したサービスで、2014年にSAPが買収しました。

現在はSAPが提供する主要なクラウドサービスのひとつとして位置づけられています。

 

SAP Concurの大きな特徴は、経費処理や請求に関連するデータを一元的に管理し、従業員から経理部門までの処理フローをシームレスにつなげられる点にあります。

このことから、単なる経費精算システムにとどまらず、「業務プロセス全体を見直し、ガバナンスを強化する仕組み」として評価されています。

 

 

1-1.SAP Concurの主要機能

SAP Concurの主要な機能は以下3つです。

 

Concur Expense

日々発生する経費を、従業員がモバイルアプリやブラウザから入力・申請できる機能です。

領収書の写真をアップロードすれば自動でデータ化され、さらに経費申請書を自動生成できます。

経理担当者はワークフロー上で承認を行い、仕訳情報はERPに連携可能です。

入力の手間を削減するだけでなく、不正防止やポリシー違反の検出にも役立ちます。

 

Concur Invoice

企業に届く請求書を電子化し、支払承認までの流れを効率化する機能です。

紙の請求書やPDFをOCRで読み取り、データ化して承認フローに乗せることが可能です。

電子帳簿保存法への対応も進んでおり、監査対応や内部統制の強化にも直結します。

 

Concur Travel

出張に関する予約や精算を統合的に管理する機能です。

航空券やホテルの手配をシステムから行い、そのまま経費精算にデータを連携できます。

従業員の利便性を高めつつ、企業全体で出張コストを可視化・最適化する効果があります。

 

 

1-2.Concurの特徴と従来の標準モジュールとの違い

従来のSAP ERPでも経費や請求処理は可能でしたが、使い勝手やグローバル対応の観点では課題がありました。

Concurはクラウドサービスとして常に最新機能が提供され、外部サービスやカード決済との連携も容易です。

また、モバイル端末からも利用できるため、出張中の従業員が素早く経費の精算を行うことができます。

 

 

 

2.SAP Concurによる「出張管理と経費精算の効率化」

経費精算や出張管理は、企業にとって負担の大きい業務領域です。

従来はExcelベースのテンプレートを利用し、申請から承認までをメールや紙で回す方法が一般的でした。

 

この方式は処理に時間がかかるだけでなく、入力ミスや領収書の紛失、不正申請といったリスクが発生しやすく、効率性と内部統制の観点から課題が残っていました。

SAP Concurは、これら経費精算と出張管理の課題を改善するためのクラウドサービスです。

特に「出張管理」と「経費精算」の領域に強みを持ち、業務全体の効率化とガバナンスの強化を同時に実現します。

 

 

2-1.出張管理の重要性とSAP Concurの役割

出張業務は、交通費・宿泊費・日当など多様な費用が発生します。

従業員が個別に航空券やホテルを手配し、帰社後に領収書を提出して精算する方式では、出張コストを正確に把握しづらいこともあります。

一方、Concurの「Concur Travel」を利用すると、出張計画から精算までをシステム上で一貫して管理できます。

航空券やホテルの予約情報がそのまま経費精算に連携され、領収書の提出作業を大幅に削減できるため、出張費用の総額をリアルタイムで可視化し、費用対効果を正しく把握できるわけです。

 

さらに、各企業が持つ出張規程や承認ルートをConcurに組み込むことで、規程外の支出や不正申請を事前に防止できます。

結果として、出張コストの最適化と内部統制の強化を同時に実現できます。

 

 

2-2.経費精算プロセスの自動化と高速化

SAP Concurの大きな特徴は、経費精算プロセスの自動化です。

従業員がスマートフォンで領収書を撮影すると、OCR機能によって金額や日付が自動で読み取られます。

法人カードの利用明細や交通系ICカードの履歴を取り込んで申請書を作成できるため、手入力の労力が大きく減ります。

 

さらに承認フローはシステム上で完結し、承認の立場にある上長や経理担当者はWeb画面・モバイルアプリから即時に承認できます。

出張先や移動中でも承認ができるため、社内にいない場合でも業務が滞留しません。

また、ERPとの連携によって仕訳データを自動生成することで経理部門の負担を軽減し、決算処理の精度向上にもつながります。

 

 

2-3.経費管理の可視化と分析

経費データをSAP Concurに集約することで、部門別・プロジェクト別・従業員別に費用を詳細に分析できます。

特定の部署で出張費が増加していたり、ある経費項目だけが突出していたりといった「イレギュラーな事態」を迅速に把握できるのです。

さらに、Concurは多通貨・多言語に対応しているため、グローバルに展開する企業でも利用しやすい仕組みとなっています。

各国の税制や旅費規程に柔軟に適応できるため、海外拠点を多く持つ企業に向いています。

経費データの可視化は出張コストの削減や経費ポリシーの見直しなど、経営判断を支える仕組みとしての役割も果たします。

 

 

2-4.SAP標準モジュールとの差異

SAP ERPのFIやCOモジュールにも経費精算機能は存在します。

ただし、利便性やユーザー体験、運用効率などの面でSAP Concurに劣ります。

実際にERP標準の経費精算画面は複雑で、モバイル端末にもほぼ対応していませんでした。

一方のSAP Concurは利用者の利便性を重視して設計されており、出張の手配や法人カードとの連携といった周辺業務までを包括的にサポートします。

企業全体の経費精算を効率化する「フロントエンドの基盤」として機能する点に価値があるわけです。

 

 

 

3.請求書業務の効率化と電子帳簿保存法にも対応

一般的な企業では、請求書処理を紙やExcelベースで行ってきたと思います。

入力や承認に多くの手間がかかり、支払遅延や入力ミスのリスクが常に存在していました。

この状態に電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も加わり、経理部門の負担は増す一方です。

SAP Concurの「Concur Invoice」は、請求書をOCRで自動データ化し、承認フローに取り込むことでこの課題を解決します。

支払期限に基づくアラート機能も備えており、滞留や支払遅延を防止できます。

 

結果として、請求書処理の精度とスピードを高めながら、担当者の業務負荷を大幅に軽減します。

 

 

3-1.会計システム連携と法規制対応

Concur Invoiceで読み取られたデータは仕訳情報として会計システムに自動連携されます。

「ExcelとERPに入力する」といったような二重入力が不要になり、処理状況もリアルタイムで可視化されるため、支払漏れや二重払いを防止できます。

 

また、電子帳簿保存法に準拠した形で請求書を保存できる点も強みです。

検索性に優れ、なおかつ改ざん防止の仕組みも施されるため、税務調査や監査に耐えられる証憑を保管します。

インボイス制度に対応したデータ処理も可能で、適格請求書の要件を満たす処理フローを構築できます。

 

 

3-2.実務におけるメリット

請求書処理をシステム化することで、経理担当者は入力処理や金額の照合といった単純作業から解放され、支払管理や異常値の確認など「重要度の高い業務」へ集中できます。

さらに、Concur Invoiceは多通貨・多言語に対応しており、海外子会社の請求書も一元的に管理できます。

各国の税制や請求フォーマットの違いを吸収しながら、本社主導で処理を統制できるため、グローバル企業にとっては特に有効なソリューションです。

 

 

 

4.SAP ConcurとERPは連携できる?

図版①

SAP Concurはクラウド型のシステムであり、SAP ERPやS/4 HANAとの接続が可能です。

ただし、本質的にERPとは別のシステムであり、S/4 HANAとの接続には別途開発が必要になることもあります。

 

一般的な流れは以下のとおりです。

・標準機能を使い、Concurで承認された経費精算・請求書データをERPに取り込む

・ERP側で仕訳や支払処理に反映

 

ただし標準機能だけでは、企業ごとに異なる勘定科目や承認フローをすべてカバーできない場合もあります。

この場合は、追加開発や外部ツールを利用して補完するケースが少なくありません。

 

 

4-1.実装パターンの例

上の図にあるように、ConcurとERPの接続方式は主に二つに分かれます。

 

・SAPとの接続ツール(Adapter)を介したリアルタイム連携

SAP ERPと接続するための専用ツールを使用する方式です。

一般的には「Adapter」と呼ばれるようなツールを使い、ConcurとERPとの間で項目マッピング、マスタの突合を行いながら、ConcurのデータをERPに直接取り込みます。

会計マスタや購買マスタと突き合わせたうえで仕訳を生成できるため、整合性を保った状態での自動計上が可能です。

リアルタイムに近い処理が実現できるため、月次決算やキャッシュフロー管理にも有効です。

 

ただし初期設定やマッピング作業には一定の工数がかかります。

ベンダーによっては、このAdapterを製品化して売り出していることもあります。

自動化という観点では、こちらの方式をメインに検討することになるでしょう。

 

・ファイル連携(FTP経由)によるバッチ処理

SAP ERPと外部システムとの連携でよく使われる「ファイルの受け渡し」による方式です。

Concur側で出力した承認済みの経費清算・請求書データを、CSVやXML形式でFTPサーバーに配置し、ERP側で定期的に取り込む方式です。

技術的には非常にシンプルで、既存のファイルサーバーを流用できることもあり、工数的にはこちらが小さくなるでしょう。

 

一方で、ジョブを新たに作って夜間バッチ処理を流すことが前提とするため、リアルタイム性は確保しづらい傾向にあります。

取り込み処理のタイミングによっては決算処理やミスの発覚か遅れるリスクもあるうえに、従来のExcelベースの方式と大差ない処理速度になることも。

ジョブ設計やファイルの受け渡しルールを丁寧に設定することが前提になるでしょう。

 

 

4-2.連携における留意点

ConcurとSAP ERPの連携設計では、経費データを「いつERPに反映させるか」が大きな論点になります。

リアルタイム性を重視する場合はAdapterを用いた方式が適し、導入スピードやコストを優先する場合はファイル連携が有利です。

グローバル企業では、通貨や税制の違いをどう処理するかも大きな課題となるでしょう。

技術的な難易度は高くないものの、業務要件とシステム運用方針の詰めは入念に行う必要がありそうです。

 

 

 

5.SAP ConcurはSAP人材の必須スキルになるか?

SAP Concurは、すべてのSAP人材が必ず習得すべきスキルではありません。

正直なところ、日本ではそこまで普及しておらず、やっと検討する企業が増えてきたという印象です。

 

ただし、経費精算や出張管理は会計・人事・調達など多くの部門にまたがる業務領域であり、企業活動全体に影響を及ぼします。

導入企業数が徐々に拡大している現状を踏まえると、Concurを理解している人材は今後重宝される存在になると予想されます。

ちなみにS/4 HANA移行のプロジェクトでは、周辺のクラウドシステムとの同時導入が主流になりつつあります。

このシステムの代表格として、Concurは徐々にその名を知られるようになっています。

 

 

5-1.Concurとフリーランスとしての市場価値

経費精算や請求書管理は「バックオフィスの共通課題」であり、業種や業界を問わず需要があります。

会計モジュール(FI)や在庫購買モジュール(MM)に精通しているエンジニアやコンサルタントが、Concurのスキルも併せ持っていれば、ERPとクラウドの両方に強い人材として差別化できます。

 

さらにConcurは「導入後の定着」が難しいとされるシステムです。

業務プロセスが変更されることへの抵抗や、従業員教育の課題が常に存在します。

そのため、業務を理解した運用・定着のノウハウを持つフリーランス人材は、長期案件に参加しやすくなるでしょう。

 

 

5-2.Concurを知る上で重要なことは?

Concurを扱ううえでは、単に操作方法を理解するだけでは不十分です。

経費精算や出張管理の業務フロー、電子帳簿保存法やインボイス制度といった法規制、そしてS/4 HANAとのデータ連携方法までを理解する必要があります。

これらを身に着けることで、ERPと周辺クラウドソリューションをつなぐアーキテクトとしてのポジションが見えてきます。

つまり、今後のSAP人材がフリーランスとしてキャリアを伸ばすためには、「ERP本体の知識」+「周辺クラウドの知識」という組み合わせが強力な武器になるわけです。

Concurはその第一歩として有望な選択肢と言えます。

 

 

 

6.まとめ

SAP Concurは世界的に普及しているものの、日本国内では導入事例がそれほど多くありません。

外資系企業や大手グローバル企業に限られる傾向があります。

案件数は決して多くありませんが、その分希少性が高く、Concurを扱える人材は今後需要が増していくと考えられます。

ERPのFIやMMといった王道スキルに加えてConcurを習得すれば、案件の幅を広げながら市場で差別化できる武器になります。

Concurに関する知識やスキルは「高付加価値な人材になるための源泉」かもしれません。

ERPのコアモジュールとともに、関連する周辺システムの知識とノウハウも積み上げていきましょう。

 

まずはさまざまなプロジェクトの情報を集め、自分のキャリアに適した道を探ってみてはいかがでしょうか。

 

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