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【第3回】SAPの業種別モジュールの詳細とは?PP・HR・PS・QM・PM・WM・CRMを徹底解説

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【コラム監修者 プロフィール】

薮内貴之

 

SAPベーシスを中心に、SAP導入やインフラ・インタフェース設計を担当。

大手企業のベーシスから出荷まで幅広く支えつつ、周辺システムの設計や運用サポートを経験。

現在は単純なSAPのみならずAWSなどクラウドのインフラを含めてサポート。

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はじめに

企業がSAPを導入する目的は、部門ごとに分断されがちな業務を一元化し、効率的に運用することです。

これまで財務会計(FI)や管理会計(CO)、購買管理(MM)、販売管理(SD)といった基幹モジュールを解説してきましたが、業種によってはさらに高度な管理が求められるでしょう。

 

今回はSAPをさらに使いこなすモジュールとしてPP(生産管理)・HR(人事管理)・PS(プロジェクトシステム)・QM(品質管理)・PM(プラント保全)・WM(倉庫管理)・CRM(顧客関係管理) の7つのモジュールを詳しく解説します。

 

 

 

1.SAPの業種別モジュール概要図

 

 

 

 

2.SAPの主要モジュール:PP(生産管理)

製造業において、生産計画や製造指示を正確に管理することは競争力に直結するでしょう。

SAPのPP(Production Planning)モジュールは、需要予測から製造指示、進捗管理までを統合的にサポートします。

 

 

2-1.需要予測と生産計画

PPモジュールによって販売履歴や市場データを基に需要を予測でき、最適な生産計画を作成します。

これにより、欠品や過剰在庫を防ぎながら、需要に即した供給を実現できるのです。

資材所要量計画(MRP)機能を活用すると、必要な資材や部品を正確に計算もできます。

計画精度が向上することで、コスト削減と納期遵守につながるのです。

 

 

2-2.製造指示と進捗管理

計画に基づいて製造指示を発行し、作業現場の進捗をリアルタイムで管理できます。

作業ごとの工程管理、仕掛品の状況把握、機械や人員の稼働率分析などが可能です。

また、進捗が遅れた場合には即時アラートを出し、対応を促進するなどの機能もあります。

生産ラインのボトルネックを特定し、全体効率の改善を実現できるでしょう。

 

 

2-3.在庫管理・購買(MM)との連携

PPモジュールとMMモジュールを統合することで、生産計画に基づいた資材購買や在庫補充を自動化できます。

たとえば、在庫が不足すると購買発注が自動生成され、調達プロセスが機械的に進められるなどです。

さらに、データ統合により余剰在庫の発生を防げば、キャッシュフローの改善につながります。

生産と在庫・購買が一元化されることで、製造現場をより安定させられるのです。

 

 

2-4.PPモジュールの業務活用と効果

・新製品需要に基づき、生産と購買を同時に自動計画

・生産工程での遅延をダッシュボードで即時把握

・在庫レベルが閾値を下回るとMMモジュールが購買発注を起動

・繁忙期に合わせて生産能力を再配分し、納期遅延を防止

 

 

 

3.SAPの主要モジュール:HR(人事管理)

SAPのHR(Human Resources)モジュールは採用から退職まで、人材ライフサイクル全体を管理する仕組みを提供します。

 

 

3-1.採用から退職までの統合管理

HRモジュールは採用活動から入社手続き、配置転換、昇進、退職までを一気通貫で管理できます。

従業員データベースを中心に、応募者情報、雇用契約、研修履歴などの一元化が可能です。

また、データを管理するだけでなく、戦略的な人事施策に活かすなどの使い道もあります。

 

 

3-2.給与計算・勤怠管理の自動化

出退勤データを基に勤怠状況を集計し、給与計算や社会保険料算定を自動化します。

残業時間や休暇取得状況もリアルタイムで反映され、給与の誤計算リスクを大幅な低減が可能です。

各国の税制や労働法規に対応でき、グローバル企業でも正確な処理を実現します。

 

 

3-3.人材データの活用による戦略人事

人事データを活用し、スキルや評価情報を可視化することで、適材適所の人材配置が可能になります。

人材不足を特定し、研修計画や採用戦略に反映するなどが可能です。

人材の確保に向けて先手を打てるため、長期的な人材育成や従業員満足度の向上、離職率の低下につなげられます。

 

 

3-4. HRモジュールの業務活用と効果

・新卒採用プロセスを一元管理し、選考進捗を可視化

・勤怠データを給与計算と自動連携し、毎月の作業を削減

・人材評価データを基に適材適所の配置や昇進を決定

・人材のスキルギャップを把握し、研修プランを最適化

 

 

 

4.SAPの主要モジュール:PS(プロジェクトシステム)

製造業や建設業、IT業界では、大規模なプロジェクトを計画通りに進めなければなりません。

SAPのPS(Project System)モジュールは、プロジェクトの全体像を統合的に管理してくれます。

 

 

4-1.プロジェクト計画とWBS管理

プロジェクトの計画をSAPに登録し、管理することが可能です。

多くのプロジェクトでExcelや外部のSaaSを用いて、プロジェクトを管理しているでしょう。

 

しかし、PSモジュールがあれば、別のサービスを導入する必要がありません。

また、SAPはプロジェクト管理にも力を入れているため、WBSを作成しタスク単位での管理機能が備わっています。

進捗やリソース配分を可視化でき、効率よくプロジェクトを推進できるのです。

 

 

4-2.コスト・収益のリアルタイム把握(FI/CO連携)

PSモジュールは、FI・COモジュールと連携して、コストや収益をリアルタイムに追跡できます。

これにより、赤字プロジェクトの早期発見や予算超過の防止につなげられるのです。

コスト管理とプロジェクト管理を同時に実現できることは、SAPならではといえるでしょう。

 

 

4-3.PSモジュールの業務活用と効果

・工期・予算をWBSで可視化し、進捗を定量管理

・建設業で工事進行基準会計に対応し、収益認識を正確に処理

・製造業で新製品開発プロジェクトのコスト管理を強化

・IT業界で大規模システム導入案件のタスク・リソースを統合管理

 

 

 

5.SAPの主要モジュール:QM(品質管理)

SAPのQM(Quality Management)モジュールは、製品の品質を維持・改善する仕組みを提供します。

 

 

5-1.受入検査・工程内検査・最終検査の管理

QMモジュールは、原材料の受入検査、生産ラインでの工程内検査、出荷前の最終検査を統合的に管理します。

検査結果はシステムに自動反映されるため、合格・不合格の判定や再検査手続きもスムーズに進められるのです。

人的なミスが最小限に抑えられ、品質保証の一貫性を保ちやすくなります。

 

 

5-2.不良品の記録と原因分析

SAPへすべてのデータを集約しているため、不良品が発生した場合、発生場所や原因を詳細に記録できます。

統計的品質管理(SQC)を用いて原因を特定し、改善策を策定することまで効率化が可能です。

データに基づく品質改善は「データドリブンな施策」として、対外的に評価されやすいでしょう。

 

 

5-3.PPやMMとの統合による品質改善サイクル

QMモジュールはPPモジュールやMMモジュールと密接にデータ連携されています。

そのため、不良品が発生した場合には生産計画や購買先に即座に反映できることがポイントです。

素早い対応や指示により、全体での品質改善、全社的な品質向上に貢献できます。

 

 

5-4. QMモジュールの業務活用と効果

・サプライヤー評価を基に購買先選定を最適化

・生産工程での不良率を自動集計し、原因分析を迅速化

・出荷前の検査結果をリアルタイムで共有し、顧客満足度を向上

・ISO認証取得のための品質監査データを自動生成

 

 

 

6.SAPの主要モジュール:PM(プラント保全)

PM(Plant Maintenance)モジュールは、設備保守を効率的に管理できます。

 

 

6-1.定期点検・予防保全のスケジューリング

PMモジュールは設備ごとに定期点検を自動スケジューリングし、予防保全を徹底できます。

計画的な点検は突発的な故障を減らし、設備稼働率を安定させるのです。

部分的に人間が介在する必要はありますが、ヌケモレなく設備をメンテナンスしやすくなります。

 

 

6-2.故障記録と履歴管理

設備の故障記録をSAPへ履歴として残せます。

これにより、同様のトラブルが発生した場合でも、迅速な対応が可能です。

また、履歴データを活用すれば、故障傾向を分析し改善策を打つなどの対処もできます。

 

 

6-3.IoTやセンサーとの連携による予知保全

IoTやセンサーを利用し、振動や温度などの異常をリアルタイムで検知できます。

AIによる予兆分析と組み合わせることで、設備の故障を未然に防ぐ「予知保全」が可能です。

ただ、近年はIoTやセンサーが独自にアプリケーションを提供することが増えています。

それらとSAPやPMモジュールとの組み合わせ、相性について考慮することも重要です。

 

 

6-4.PMモジュールの業務活用と効果

・工場設備の定期点検を自動スケジューリング

・突発故障の修理履歴を参照し、交換部品を最適化

・IoTセンサーで異常温度を検知し、故障前に保守対応

・設備寿命データを基に投資計画を立案

 

 

 

7.SAPの主要モジュール:WM(倉庫管理)

WM(Warehouse Management)モジュールは倉庫内のオペレーションを最適化します。

 

 

7-1.入庫・出庫・棚卸の効率化

入庫時にはバーコードやRFIDをスキャンすれば、その内容をSAPへ記録できます。

これを収集し機械的に処理することで、出庫や棚卸の自動化が可能です。

在庫精度を高めつつ作業時間を削減でき、誤出荷や在庫差異の最小化につながります。

 

 

7-2.ロケーション管理と最適配置

SAPに在庫データや基本情報を登録すれば、倉庫内のロケーションを最適化できます。

結果、ピッキング作業の効率化を実現できるのです。

 

現在はAIとの統合が進み、在庫配置の最適化も可能となりました。

ロケーション管理と最適配置で、多角的に物流コストの削減に貢献します。

 

 

7-3.MMやSDとの連携によるサプライチェーン最適化

WMモジュールはMMモジュールやSDモジュールと連携できます。

これらのデータ連携により、購買から販売までのデータを一気通貫で把握できるのです。

サプライチェーン全体を可視化でき、納期遵守や在庫コストの削減などを実現できます。

 

 

7-4.WMモジュールの業務活用と効果

・入庫時に自動的にロケーションを割り当て

・出庫時に効率的なピッキングルートを提示

・棚卸をRFIDで自動化し、在庫差異を最小化

・SDと連携して出荷指示を自動生成し、納期遵守を強化

 

 

 

8.SAPの主要モジュール:CRM(顧客関係管理)

SAPのCRM(Customer Relationship Management)モジュールは、顧客情報を活用して営業・マーケティングを支援します。

ただ、近年はSAP以外のCRMアプリケーションを使うことも増えてきました。

 

 

8-1.顧客情報と購買履歴の一元管理

CRMモジュールは顧客の属性、購買履歴、問い合わせ履歴をまとめて管理できます。

これらのデータは、営業活動などの礎となるものです。

蓄積されたデータを活用することで、顧客ごとに最適な提案やサービス提供ができます。

 

 

8-2.営業活動の効率化と提案営業

SAPは、リアルタイムに各種データを登録、参照できることが特徴です。

つまり、営業担当者は商談履歴や顧客の購買傾向を素早く参照できます。

これにより、データに基づいた「営業力」を強化できるのです。

 

 

8-3.CRMモジュールの業務活用と効果

・顧客の購買履歴を活用し、パーソナライズ提案を実施

・商談履歴を一元管理し、営業活動を効率化

・キャンペーン効果をデータ分析し、ROIを最大化

・SD/FIと連携し、顧客ごとの利益率を可視化

 

 

 

9.まとめ

SAPには非常に多くのモジュールがあり、第2回で解説したもの以外にも注目したい機能があります。

今回はそれぞれの機能を細かく解説したため、ぜひ、導入するかどうかの参考にしてください。

 

ただ、現在はSaaSなどが普及しているため「必ずしもSAPが良い」とも断言できなくなってきました。

たとえば、プロジェクト管理は専用のツールが望ましい場面もあります。

そのため「SAPが最適かどうか」「SAPの場合はどう運用すべきか」を考えなければなりません。

とはいえ「SAPを導入すべきか」は専門知識がなければ判断が難しいでしょう。

 

そこで、SAPの各モジュール導入にお困りならば、クラウドコンサルティングへご相談ください。

SAPの専門家やコンサルタントが皆さんの要望をヒアリングし、最適な方法をご案内します。

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