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SAP Success Factorsについて

SAPはSAP Success Factorsと呼ばれる人事関連のソリューションを提供しています。

SAP Success Factors

ドイツのSAP社はERPソリューションの大手企業として知られています。IT業界で働く人に限らず、幅広い業界の人に知られていて、実際に利用している人も多い製品です。SAP社はERP関連の製品が有名ではありますが、実際にはSAP Success Factorsと呼ばれる人事関連のソリューションを提供しています。今回はあまり知られていませんが、SAP社が提供する人事関連のソリューションとは、どのような製品であるのかご紹介します。

SAP Success FactorsはSAP社が提供する人事システム

SAP Success Factorsは冒頭でもご説明したとおり、SAP社が提供する人事関連のソリューション・人事システムです。まずはどのような製品であるのか解説します。

SAP Success Factorsの概要

SAP Success FactorsはSAP社が提供する人事関連システムの総称を指します。特定の製品を指す言葉ではなく、複数の製品をまとめてSAP Success Factorsと呼ぶのです。具体的な内容については後ほどご説明しますが、人事関連の業務ごとに製品が用意されていて、それらをまとめていると考えましょう。

 

SAP Success Factorsは最初からSAP社が取り扱っていた製品ではなく、元々はSuccess Factors社が開発していた製品です。2011年にSAP社がこちらを買収したことでSAP社の製品となり現在に至ります。

なお、複数の製品から構成されているため、厳密にはSAP Success Factorsと呼ばれる製品は発売されていません。ここは間違いやすいポイントであるため、正しく理解するようにしておきましょう。

SAP Success Factorsはクラウドで提供

SAP社はクラウドでのサービス提供に力を入れるようになっていて、SAP Success Factorsもクラウドで提供されるようになっています。SAP社といえばS/4 HANAなどの製品が主要なものとなっていますが、これらもクラウドで提供される時代です。SAP Success Factorsは複数の製品から構成されますが、どれもクラウドでの利用を前提としています。

 

クラウドで提供されているサービスであるため、導入にあたってはサーバーなどを用意する必要がありません。今までのSAP製品はオンプレミスで利用するものが大半でありそのイメージが強いかもしれませんが、SAP Success Factorsは状況の異なった製品なのです。

SAP Success Factorsで実現できる4つの業務

SAP Success Factorsは人事関連の幅広い業務に対応していて、例えば以下の業務を実現できます。

  • 従業員エクスペリエンス管理
  • コア人事・給与計算
  • 人材管理
  • 要員計画

続いてはこれらについて具体的に解説します。

従業員エクスペリエンス管理

従業員エクスペリエンスの管理にSAP Success Factorsが役立ちます。近年は会社側が従業員に寄り添って満足度を高めることが重要視されているため、このような取り組みに役立てられるのです。従業員エクスペリエンスやエンゲージメントの質が高まると考えましょう。

 

例えば、従業員エンゲージメントを高めるために、以下のような機能があります。

  • アンケートの作成と回答による情報収集
  • レポートの作成や提供
  • アクションプランの提案
  • AIなどを活用した情報分析

具体的な機能については一例ですが、従業員の満足度を高めるために情報収集から分析、レポートの作成まで可能です。

 

従業員エクスペリエンスは従業員のモチベーション向上や接客態度の改善などにつながると考えられています。事前にSAP Success Factorsで不満がある部分を洗い出しておき、それらを解決できるように行動すれば、最終的には顧客満足度の向上などにもつながるのです。

コア人事・給与計算

一貫性を持った「コア人事」の確立にSAP Success Factorsが役立ちます。また、評価や人材配置だけではなく、日頃から重要となる給与計算もSAP Success Factorsに集約した対応が可能です。

 

例えば、従業員の状況を適切に把握するために、以下の情報を管理したり集計できます。

  • 在籍や取引先など人の情報
  • 組織情報
  • 勤怠管理情報
  • 福利厚生に関わる情報

どのような人が在籍しているのか把握できなければ、適切な人材配置はできません。組織情報など基本的な部分も含めて、SAP Success Factorsで情報管理が可能です。

 

また、人材管理に合わせて給与計算も可能です。企業によってはタレントマネジメントシステムと給与計算システムを別々に運用していると考えられますが、SAP Success Factorsではこれらを一元管理できます。給与計算の処理はもちろん、算出された結果を集約して支払額を把握することも可能です。

 

他にも人事関連のドキュメントを集約する機能があり、従業員などへ簡単に公開できます。就業規則など公開が義務付けられているものはもちろん、社内のルールなど任意で公開したいのでも簡単に公開が可能です。

人材管理

優秀な人材を確保すべく、人材管理に関する機能が整っています。社内の人材管理からこれから採用する予定の人物まで幅広く対応可能です。

 

例えば、適切な人材管理に力を入れるべく、以下のような機能が提供されています。

  • 効率的な採用プロセスの実現
  • 採用候補の管理
  • それぞれの従業員に対する目標設定

人材管理といえば社内をイメージされがちですが、SAP Success Factorsは上記に示したとおり会社に関わる全ての人を管理できます。

 

また、収集した情報については、報酬などへ反映する仕組みが設けられています。SAP Success Factorsは給与の計算に必要な機能を有しているため、これらと組み合わせることで人材管理の結果を給与に反映できるのです。

要員計画

要員計画や要員を確保するための人件費計画に対応できます。業務に必要な情報だけではなく財務に必要な情報も処理できるため、全社的な観点から要員計画を立案可能です。

 

例えば、必要な要員を確保するために、SAP Success Factorsと他の製品なども組み合わせて以下のような情報分析ができます。

  • 必要となる人材の予測
  • 人材が不足する部分の特定
  • 人材配置に向けたアクションプランの作成

純粋に必要な人材を予測するだけではなく、人材配置に向けたアクションプランも作成できます。人材が不足している事実を把握するだけでは、要員を配置するところまでは行動できていません。そのため、具体的にどのような行動をすれば良いかまで把握できるようになっています。

 

また、在籍している人材や取引先の人材を含めて、人材分析が可能です。企業側の観点から分析できることはもちろん、必要に応じてアナリストなど外部の人間に権限を与え、情報の傾向を確認してもらうこともできます。

 

適切な要員を配置するためには、要員のスキルを数値的に確認しなければなりません。また、どこの要員が不足しているのか数値から判断する必要があります。SAP Success Factorsを導入することによって、全社的なデータの収集が可能となり、数字というエビデンスをもとに要員の配置ができるようになるのです。

SAP Success Factorsが持つ4つのポイント

SAP Success Factorsの機能にはどのようなポイントがあるのかも解説します。

人材データの効率的な活用

SAP Success Factorsを導入することで人材データを最大限、効率的に活用できます。適切にデータが管理されていなければその都度情報収集が必要ですが、システムで一元管理していればそのような状況にはなりません。

 

例えば、社内の1部門で人材が不足している場合「新しく人を採用する」「既存の人材を異動させる」と大きな2つの選択肢があります。この時に全社的な人材の情報が把握できていないと「異動できる人がいるのか」という状態に陥るのです。また、生じた疑問を解決する術がなかなか見つかりません。

 

しかし、SAP Success Factorsのようなシステムがあると、このような状況を解決可能です。社内の人材についていち早く情報を得られるため、新しく人を採用するなどの判断ができるようになります。また、判断結果に応じて速やかな行動が可能です。

 

人材に関する情報は全社的な資産であり、効率よく活用することが求められます。SAP Success Factorsはそのような活用を大きくサポートしてくれるツールなのです。

グローバル対応

SAP Success Factorsは海外で開発されているツールということもあり、グローバル対応が可能です。日本語のみならず英語などでも利用できるようになっていて、日本語以外を扱う企業でも使いやすくなっています。

 

ツールとして日本語にしか対応していないと、ユーザビリティが下がってしまいます。日本語が理解できない人はツールを利用することが面倒になり、次第に使われなくなってしまうのです。これではシステムを導入した意味がありません。

 

しかし、ツールとしてグローバル対応できていればこのような問題を防げます。日本語が理解できない人にも適切なユーザーインターフェースを提供でき、日本語以外での情報提供を促せるからです。これからはグローバル人材の活用が重要となってくるため、世界的に利用しやすいSAP Success Factorsにはメリットがあります。

 

なお、海外で開発されたツールであることから、日本語ドキュメントが一部不十分です。英語の方が理解しやすい部分があり、「英語中心のツール」と認識した方が良いかもしれません。

定期的な機能改善

一度、導入して終わりのツールではなく、定期的な機能改修が提供されています。人材関連の業務は新しい理論が提唱されたり、トレンドが変化したりするため、これらに対応するためです。

 

新しい機能が提供されないツールは、使い続ける過程で利便性が悪くなる可能性があります。時代にそぐわないツールとなってしまい、ツールを利用することがむしろ時間の無駄になってしまうのです。

 

その点でSAP Success Factorsは新しい機能が提供されるため、常にトレンドを踏まえた業務ができます。

 

 

必要に応じた拡張

SAP Success Factorsは他のクラウドサービスと組み合わせることで機能拡張できるようになっています。基本的には製品として提供されている機能を利用しますが、会社の業務にそぐわない部分や不足している部分はカスタマイズでの対応が可能です。

 

ただ、カスタマイズを頼りすぎるとクラウドサービスであることの意味が薄れてしまいます。カスタマイズはできますが、可能な限り標準で利用することがおすすめです。

SAP Success Factorsを使いこなすために注目したい3つのこと

SAP Success Factorsはツールであり、導入すれば簡単に業務を改善できるわけではありません。そのため、以下に注目してSAP Success Factorsを導入するようにしましょう。

  • 導入前に課題を洗い出す
  • 導入の目的を明確にする
  • 対応方法の方針を持つ

導入前に課題を洗い出す

SAP Success Factorsを導入する前に現在の課題を洗い出しておきましょう。SAP Success Factorsは複数の製品をまとめたキーワードであるため、実際は課題に応じた製品を導入します。漠然とした課題では具体的に導入すべき製品が定まらず、課題の解決に向けてやるべきことがスムーズに決まりません。

 

企業の抱える課題は数多くあり、例えば以下が考えられます。

  • 誰を育成すれば良いのかわからない
  • 研修を受講したはずだが誰なのかわからない
  • そもそも社員の能力やビジョンが把握できていない
  • それぞれの部署が独自に情報を完了している

このような課題は多くの企業が抱えていますが、すべてが当てはまるとは限りません。部分的に当てはまることも、より深い課題となることもあるでしょう。

 

また、SAP Success Factorsを導入するにあたっては、解決したい課題に優先順位をつけるべきです。多くの機能を持つ製品であるため、すべてを解決しようとすると負担が大きくなるかもしれません。例えば、現状の把握に重きを置いて、それ以外はコストなどとのバランスから評価します。

導入の目的を明確にする

導入の目的についてもよく考えるべきです。基本的には上記でご説明した課題解決に役立つものですが、その他も踏まえて検討が求められます。導入の目的が明確でなければ、導入してからの活用について周知徹底が難しくなるからです。

 

ここで検討すべき導入の目的は具体的であることが重要です。SAP Success Factorsは業務の細かな部分までサポートしてくれるツールであるため、その部分についてピンポイントに活用しなければなりません。どの機能をどのように利用したいのか検討しておかないと、SAP Success Factorsのメリットが薄れてしまいます。

 

例えば「人材管理を効率化したい」というアバウトな目的はおすすめできません。具体的な目的を見直して「従業員が持つスキルを一覧形式で表示できるようにして人材配置を効率化したい」などとしましょう。このように具体的な目的を持つことで、SAP Success Factorsが持つどの機能をどのように活用するのかが明確化されるのです。

 

一般的にシステムの機能は多い方が良いと思われがちですが、SAP Success Factorsのように機能が多すぎるとシステム群は導入しても使いこなせません。どれを利用したいのか考えて、導入フェーズへと進めていくことが重要です。

対応方法の方針を持つ

SAP Success Factorsはクラウドで利用できるサービスであるため、提供される機能が限られています。フルスクラッチで開発する自前のシステムではないため、自社向けシステムとのギャップが発生するのです。

 

このギャップが発生した場合に、どのような対応をするのか方針を決めておかなければなりません。例えば以下のような対応が考えられます。

  • 業務フローを見直してSAP Success Factorsに合わせる
  • カスタマイズして現在の業務フローに適合させる
  • ワークアラウンドを検討する

システムを導入するにあたってワークアラウンドも検討すると、もはやシステムを導入する意味がなくなります。そのため、基本的には業務フローの見直しかSAP Success Factorsのカスタマイズが求められます。ただ、SAP Success Factorsはご説明したとおり必要に応じてカスタマイズできるため、その点は心配不要です。

 

重要となるのは、このようなギャップについてどのように対応するかです。その都度検討していると導入までに必要な期間が長引いてしまうため、基本的な方針を定めておきましょう。

 

一般的にはカスタマイズすると基本コスト以外にカスタマイズコストが必要です。それを避けるためにカスタマイズするのではなく、業務フローを適合するように見直します。

 

ただ、カスタマイズすることが「悪」というわけではないため、どうしても適合しない部分はカスタマイズで乗り切りましょう。なお、カスタマイズを認めると際限がなくなるため、優先順位を定めておくことが重要です。

SAP Success Factorsの導入イメージ

SAP Success Factorsにはご説明したとおり多くの機能があります。それらの機能を組み合わせて、具体的にどのような業務を実現できるのかご紹介します。

組織デザインの見直し

会社全体のリソースを有効活用できておらず無駄を感じているならば、組織デザインの見直しに活用できます。SAP Success Factorsは従業員が保有するスキルなどを可視化できるため、社内に不足しているスキルや必要なスキルを把握できるからです。また、保有するスキルと配属のミスマッチも解消できます。

 

小規模な問題であれば、該当する従業員を異動させることで解決できるかもしれません。また、上司からフォローされることで解決できることもあるでしょう。SAP Success Factorsを利用して問題が可視化されれば、ピンポイントに解決すればよいのです。

 

しかし、問題の規模が大きくなると小手先の対応では難しくなります。根本的に組織を見直さなければならないこともあるでしょう。そのような場合においてもSAP Success Factorsで状況を整理しておけば、いち早く最適解へたどり着けます。

ジョブ型報酬制度の導入

近年は少しずつジョブ型報酬制度の導入が進んでいますが、日本ではまだまだ年功序列制度が中心です。これから、報酬制度を切り替えたいと考えているならば、SAP Success Factorsを導入してみても良いでしょう。

 

SAP Success Factorsならば従業員が持つ細かなスキルを把握できます。これによって、従業員を適切な「ジョブ」に配置することが可能です。高い専門性を持つ従業員を配置しなければならないため、適切なスキルを保有しているかどうかは非常に重要です。

 

また、SAP Success Factorsにはスキルの把握だけではなく給与計算の機能があります。スキルと給与をつなげられるようにすることで、比較的低いハードルでジョブ型報酬制度の導入が可能です。

 

ただ、ジョブ型報酬制度を成功させるためには、適切なスキルの評価が重要です。SAP Success Factorsを導入すれば制度としては構築できますが、運用できるかどうかはまた別の観点と考えましょう。

従業員のキャリアアップ

教育状況を管理する機能を活用することで、従業員のキャリアアップが期待できます。SAP Success Factorsは現在保有しているスキルはもちろん、どのような研修を受けたかやその結果についてもで管理可能です。これらを適切に管理すれば、会社側から従業員のキャリアアップを指示できます。

 

例えば、特定のスキルを保有している従業員に、所定の研修を指示できるようになります。従業員が自発的に研修を受けようとしなくても、スキルアップを会社が計画してそれに従うよう指示できるのです。また、その結果について報告することも求められます。

 

原則として自分のキャリアは自分で考えなければなりません。ただ、自分のキャリアを考えてくれず、成り行きに任せてしまう従業員が多いのも事実です。そのような状況を打破するためにSAP Success Factorsが役立つと考えましょう。

まとめ

SAP社が提供する人事関連システムのSAP Success Factorsについて解説しました。SAP Success Factors製品スイートで単独の製品というわけではなく、複数の製品から成り立っています。業務ごとに 細かく 製品が分かれていて、ユーザはそれぞれの製品を利用するイメージです。

 

SAP Success Factorsは幅広い業務に対応しているため、基本的にはこの製品で人事関連の全ての業務に対応できます。他の製品と組み合わせて利用することは可能ですが、単体で解決すると考えておいて良いでしょう。

 

ただ、機能数の多い製品であるがゆえに、使いこなすことは難しくなっています。ユーザは導入の目的を明確にして、課題解決に役立つ機能から利用すべきです。最初からすべて 使いこなそうとすると、とてもじゃないですが対応できなくなるでしょう。

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