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    「SAP FI概要の教科書」No.3 AR編

    ■はじめに
     
    前回はFIモジュールの概要として、FI-AP(債権管理)の機能を7つご紹介させていただきました。今回は、FIのサブモジュールであるAR(債権管理)について概要を説明いたします。債権管理は債務管理と逆の立場になりますので、同じような機能が用意されています。
     
    ■FI-ARの主な機能
     
    1.得意先マスタ(S/4HANAよりBPマスタに統合)
    SAPシステムでは、原料・資材などの仕入先を「仕入先マスタ」で管理し、商品等の販売先を「得意先マスタ」で管理します。従って債権管理で管理するマスタは「得意先マスタ」になります。また、SD(販売管理)モジュールと共有するマスタとなります。
     
    得意先マスタは以下のように3つのエリアで構成されています。
     
    クライアントレベル(仕入先コードがキーになっているテーブルで管理)
    名称、住所など1つの仕入先固有の情報を管理します。
    会社コードレベル(仕入先コードと会社コードがキーになっているテーブルで管理)
    FIで必要な情報を管理します。その仕入先コードに債務を計上する場合の勘定科目(統制勘定)を買掛金あるいは未払金など1つを設定します。またFI伝票に対する初期値として支払方法(銀行振込、支払手形等)等を設定します。
    販売エリアレベル(得意先コードとSDモジュールの組織の組み合わせである販売エリアがキーになっているテーブルで管理)
    SDで必要な情報を管理します。(月末締め翌月末払、等のこと)を設定します。
     
    2.債権の計上転記、取消転記
    FI-GLやAPと基本的には同じです。「仕訳テンプレート」の登録や伝票入力項目の入力必須属性の制御、カスタマイズ、変更可能な項目についてはFI-GLやAPと同じです。
    FI-ARで転記した債権伝票はFI-ARで反対仕訳を登録しますが、SDモジュールから発生した債権計上伝票を反対仕訳したい場合は、SD側で処理を行います。このようにしてSAPシステムでは、取引を入力したモジュール(機能)から取消処理を行うことでFIに反対仕訳を転記し、ビジネス取引と会計伝票の関連性を担保しています。
     
    3.特殊仕訳
    得意先に対して売掛金だけではなく受取手形も発生するというように、複数の債務が発生する場合、特殊仕訳機能が利用できます。
    伝票入力時に特殊仕訳コードを入力することで、得意先マスタに設定した統制勘定ではなく、カスタマイズで設定した勘定に転記が行われます。標準で、手形W、前受金Aの特殊仕訳コードが用意されています。

     
    カスタマイズでは、伝票入力時にWを入力した場合には、得意先マスタの統制勘定が売掛金である場合は「受取手形」勘定を使った仕訳にする、と設定します。(以下はカスタマイズ画面イメージ)

     
    受取手形と前受金については専用画面が標準で用意されています。
     
    同一の得意先に売掛金も未収金も発生する、という要件がありますが、この場合には特殊仕訳ではなく代替統制勘定機能を利用することが一般的です。
     
    4.得意先の明細レポート
    得意先明細照会や得意先明細ブラウザなどの、標準レポートが用意されています。

     
    これらのアイコンを使い、明細レポートのレイアウトの定義/降順・昇順ソート/フィルタ/合計・小計、またエクセルダウンロード等を行うことが可能です。
    柔軟な明細レポートなので非常に活用しやすいです。
    得意先明細ブラウザではマスタの名称(テキスト)が表示できるようになりました。
     
    5.入金消込
    1件1件消込入力を行うマニュアル消込の伝票入力画面が用意されています。自動消込については、締め請求機能を利用している場合は「架空口座番号」「振込依頼人名」をマッチング条件とし、自動消込を行うことが出来ます。
    現実的には、入金データと債権計上データのマッチング条件は各企業により様々であり、締め請求機能の導入に関わらず自動消込プログラムをアドオン開発している事例が多いです。
    最近では、SAP Cash Application(機械学習機能による入金消込の自動化ソリューション)も提供されており、日本での動向に注視したいところです。また2018年12月にFBデータのXML化が導入されています。XML化の目的の一つに入金データに消込作業の効率化(突合情報の入力エリア拡大)が謳われています。入金消込は複雑なアドオンを開発しなくても良いような業務改革やシステム改革を一考したい業務の一つです。
     
    6.外貨建債権の期末評価
    決算用の機能として、外貨建債権管理の評価プログラムが標準で用意されています。
    換算レートタイプを使い、外貨計上用のレートと評価用のレートを別に登録しておくことが出来ます。
     
    7.残高確認書
    決算処理の1つとして、また監査目的で、企業が計上している債権金額と得意先が認識している金額が一致しているかどうかを確認する業務があります。この業務を支援する機能として、残高確認書という文書を作成する機能があります。
    残高確認書は、このSAPscript機能を使っており、サンプル文書が標準で提供されています。
     
    8.督促処理
    期日を過ぎても入金してこない得意先に対して督促状を作成する機能です。日本では入金遅延があった場合に書面を送付するという業務はあまり聞きませんが、外国生まれのSAPシステムには督促状作成の機能が用意されています。
     
    ■おわりに
     
    今回はFIモジュールの概要として、FI-AR(債権管理)の主な機能をご紹介いたしました。FI概要の最終回は、FI-AA(固定資産管理)についてご紹介させていただきたいと思います。